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いざ王都へ?

「ラティス様、これは大変栄誉な事です。戦功を上げ貴族位を王様からいただくのですから、胸を張ってまいりましょう」


ユンカーはこう言ってくれはするが、俺が王様と謁見するなんて考えた事もなかった。

この時代、王様の権威は低下しているとは言っても、王様は王様。

俺からしたら雲の上の存在。

もちろん元の時代でも会ったこともなければ見たこともない。

謁見の作法とかもあるんだろうけど、ギルバート達に聞いてもよくわからない。

俺同様に、みんな王様なんかにあった事も会う予定もないのだから、そんな作法知っているはずはない。

ただ俺の知識として、王様に不作法を働けば、最悪斬首。

これはまずい。

戦争に赴くのとは違ったプレッシャーが一気にのしかかってきた。


「ううっ」


どうにか戦争を乗り切ったのに、不作法で死ぬのは絶対に避けたい。

一縷の望みを託しリティアに聞いてみたが、やっぱり謁見のマナーなんか知るはずがなかった。


「ギルバートさん、本当に二週間もかかるの?」

「私とユンカーだけであれば十日もあれば十分ですが、ラティス様のペースでは早くて二週間といった所でしょうか」


俺は、シュテルンに跨り王都を目指しているが、ギルバートさんの話によれば王都までは二週間以上かかるらしい。せっかく内股の股擦れも完治したというのに、また傷んでしまうのはもう確定だ。

俺の他にギルバートさんにユンカー、それと兵士が八名の計十一名での移動だが、やっぱり俺が足を引っ張っている。

途中街がある所では宿を取るつもりだが、それ以外の所では野営する予定になっている。

王都への道は特に何事もなく順調で既に十日が経過した。

そのうち宿に泊まれたのはたったの二日。

つまり八日間は野営したのだが、食糧の大半は現地調達。

野営地の近辺で狩りをして鳥やウサギをしとめ、捌いて食べた。

こういうのを野趣溢れる食事と言えばいいにだろうか。

普段の食事とは違い、ほぼ焼いただけの肉だが、取り立てだからか普通に美味しかった。

特に初めて食べたウサギの肉は思っていたより癖がなく、かなり美味しかった。

さすがに八日間も野営すれば最初よりは慣れてはきたものの、ベッドとは違い、硬い地面で眠ると疲れが取れにくい。

日を追う毎に身体全体が痛くなってきているのは気のせいではないだろう。

それと一日中馬で移動というのは思った以上に重労働でおまけに退屈だ。

ほとんど変化のない道をひたすら進んでいくのはかなりキツイ。王都が遠い。

王都に着く前に燃え尽きてしまいそうになる。

今日で出発してから十三日目。


「ギルバートさん、そろそろ王都に着くかな。 結構いいペースで来てるんじゃない?」

「そうですね。うまくいけば明日には王都に入れるかと」

「ようやくか……長かった」

「ラティス様。私の事は今後ギルバートと呼ぶようにお願いします。話し方もあくまでも配下へのものに徹底してください。これから貴族となられるのですから王様や他の貴族に今の呼び方と喋り方を聞かれるのはまずいのです」

「そういうものか。わかった。これからは気をつける」


理屈はわかるが、ギルバートさんを呼び捨てにするのは少し気が引ける。

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