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サンドニ男爵

『ガキキイイン』

『グシャッ』


兵と兵が当たる音や馬のいななきが響き渡る。


「押せええええええ〜!」

「このまま押し込めえええええええ!」


俺も周囲に押されてどんどん前へと出て行く。


「ラティス様、あれがサンドニ男爵でしょう」


確かに前方に一際目立つ鎧を身に纏った中年が見える。

武闘派と言われるだけあってメルベール男爵とは違い、お腹が出ている風はなく、今も槍を振るい戦っている。

あの首を落とせば勝てる。

だけど、あの槍の感じ、俺ではやられる。


「ラティス様、このギルバートにお任せください」

そうギルバートさんは言い残し前方へと駆けていく。

「サンドニ男爵とお見受けする。我こそはレクスオール一の忠臣ギルバートなり。その首貰いうける」

「笑止、返り討ちにしてくれるわ」


サンドニ男爵がギルバートに向け槍を振るうが、ギルバートはさっと躱しすれ違い様に剣を一閃する。


「ぐふっ……」


ギルバートの一振りは確実にサンドニ男爵の急所を捉え、サンドニ男爵は馬から落ちた。


「今だ、首を取れ!」


落ちたサンドニ男爵に兵が群がり、すぐに首を取る事に成功した。


「サンドニ男爵を仕留めたぞ〜! ラティス様がサンドニ男爵を仕留めた!!」

「ラティス様がやったぞ〜!」

「この戦、ラティス様の勝利だ!」


いや、俺が仕留めた訳じゃないし、やってもない。

倒したのはギルバートさんだし、首を取ったのは誰かもわからない。

だけどサンドニ男爵の首をあげたのは間違いなく、戦場には兵の歓声が響き渡り、その瞬間形勢は一転し、大将を失ったサンドニ軍は総崩れし、ベルメール軍は陣に入り込んでいた騎兵を殲滅し、そのまま残りのサンドニ軍に襲いかかった。


「うわあああああ〜逃げろ〜!」

「ひいいい、助けてくれ」

「ぐわああああああ」


完全に勢いと数の差が現れ、サンドニ軍は一瞬のもと壊滅した。



「終わった……」

「はい、お見事でございました。さすがはラティス様。この戦場は全てラティス様の掌の上でございましたな」

「ラティス様の神の如きその覇気。兵達も皆その覇気に突き動かされたのでございます」

「ラティス様、正に戦場の鬼神、戦神です。さすがはグリフォンの化身」

「全てはラティス様のお力。流石です」


みんななにか勘違いがあるようだ。


「ラティス様万歳!」

「ラティス様〜!」

「ラティス様が勝ったぞ〜!」

 

俺を取り囲んでいる兵達も勝鬨をあげるが、まるで俺が勝たせたかのような、事実とは異なる事態に一抹の不安を抱いたものの、結果として勝った事に安堵した。

レクスオール戦記通り俺はサンドニ軍に勝った。

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