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不死身のラティス?

「オエエエエェェ〜」

「なんとも軟弱な。これから勇猛で知られる若の代わり演じてもらうというのに」


俺は、今まで争いの無い時代を生きてきた。ご先祖様達のおかげもあり100年以上に渡り戦らしい戦はなく、俺も末端とはいえ辺境伯家にゆかりのある家で、それなりに裕福に生活していた。

剣術の訓練も幼い頃より週に二回は行っていたが、当然本物の戦闘に加わった事はなく、争いごとで亡くなった人を見るのはこれが初めての事だ。

突然、こんな場面に出くわして今まで吐かなかった事が奇跡だ。


「オェエエエエエ〜」

「そろそろいいか。もう、何も出んだろう。そういう事だ。お前、いや、あなた様は今から若だ」


そういう事ってどういう事? 無茶苦茶だ。


「まあ、吐きながらでもいいから聞いてください。ご存じの通り今はリクエ子爵軍との合戦の最中です。旗頭の若の下我らがレクスオール士爵軍も奮闘はしておりますが、リクエ子爵軍の数はベルメール男爵軍の倍。ここで旗頭たる若を失えば我が軍は完全に崩壊してしまいます。つきましてはこれより若となり我が軍の旗頭として戦っていただきます」


「オ……エエエエエェ!?」


「ヤツら不可侵条約を破り突然攻め入ってきたのです。ヤツらに義はありません。この不肖ギルバートはじめこの五名が全身全霊、命を賭してお護りいたします。またすぐにヤツらが攻めてきます。ご準備を」


「エエエエエェ」


「若がしっかりしてくれなければ、レクスオールは敗けてしまいます」


「いや、急に若って……」


冗談のような話だがギルバートさんとやらの態度、表情どれをとっても大真面目。本気で俺をラティスに仕立て上げるつもりらしい。



「失礼します!」

「暫し待て。すぐに出る」

「はっ」


中の一人が、テントから出て対応する。


「若、早速で申し訳ありませんが、敵襲です。出陣願います」

「出陣って……」

「心配ありません。このメルダスが横に付きますゆえ」

「いや、そういう問題じゃ」


テントの中なので様子はよくわからないが、慌ただしく人や馬の移動がされているようだ。

聴こえてくる声や音からして本当に敵が攻めてきたようだ。


「それでは若、この剣を帯剣願います。レクスオール士爵家に伝わる剣エルブラントです。代々レクスオール家の当主が身につけてきた剣です。若の正当性を証明するものとなります」

「エェェ」


『エルブラント』 聞いた事がある。たしかレクスオール辺境伯家に伝わる宝剣の一振り。主人の力を増幅し、ラティスが振るった一撃は天を穿ち地を割ったと伝えられている。

無理やり手渡されたその剣は確かに重みはあるが、そこまで特別であるようには見えない。

どう考えても、誇張されて伝わったとしか思えない。


「似合っておいでです。さあ、この兜を!」

「ビルドワースわかっているな」

「はっ、おまかせを」


俺はグリフォンを模した兜をかぶせられ、先ほどまで乗っていた馬シュテルンの下へと連れて行かれた。

言われるがままにシュテルンへとまたがり戦場へと駆り出される事となってしまった。


「聞け! 皆のもの。ラティス様は先ほどの戦いで負った怪我から完全に復活なされた! さすがは武名高きレクスオール家のご当主となられたお方だ! ラティス様は不死身! リクエ軍程度の攻撃でラティス様を廃すことなどできん! 勝機は我らにあり!!!」


「オオオオオオオオオオオオオオオオオ〜!!!!」

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