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ラティス様万歳


「今回、領民の中で狩人がいれば全員連れていきたい」

「森にて弓で仕留めますか。確かに狩人は適任ですな」

「まあ、それもあるけど狩用の罠を仕掛けてもらいたいんだ。可能であれば四百五十人分」

「なるほど。敵が気づいていなければ効果は覿面でしょうね」

「ああ、まともに正面から当たるのは避けたい」

「わかりました」


そのあと大まかな作戦を話してから、屋敷に狩人の一人を連れてきてもらった。


「今回頼みたいのは捕獲用の罠だ。時間もないから原始的なのでもいいから簡易に設置できるものを出来るだけ多く設置したい」

「わかりました」

「それと罠にかかった敵には後方から弓で射ってもらいたい」

「まかせてください」

「あと、念のために用意してもらいたいものがあるんだ」

「はい」


時間が惜しいので狩人の人に頼み事をしてから、すぐに挙兵する事にしてシュテルンへと跨る。

レクスオールの兵は基本騎兵なので、全員で歩調を合わせて森へと駆けるが、やはり俺が一番遅いので思った程の速度は上がらない。

おまけに先日の股擦れが完全には癒えていないので内腿が痛い。

それから休憩を挟みながら距離を稼ぎ、なんとか予定していた時間には目的地へと着くことが出来た。

おそらくベリンガムの兵はここを通るはず。

地図を見る限り森といえばここのはずだ。

レクスオール戦記では森で戦ったとあったので、それを信じるしかない。

ここに来るまでの間に既に作戦は全員に周知してある。

この時代の人には少し理解してもらうのが難しい部分もあったが先の戦いでのラティスとしての成果とお決まりのグリフォンの化身でみんな納得してくれた。

あとはいざという時に撤退できるよう離れたところに馬を置き、狩人を中心にみんなで罠をはり準備を進めるだけだ。

俺も必死に慣れない作業に加わりベリンガムへの対策を進めていく。

ほぼ丸一日を費やし、想定していた作業を完了することができたが、まだベリンガムの兵の気配はないのでどうやら間に合ったらしい。


「ラティス様、後はベリンガムの阿呆共が網にかかるのを待つだけですな。その前にラティス様から皆にひとことお願いします」


え? ひとことって言ってもベリンガムとの戦いにおける口上はレクスオール戦記にのってなかったぞ。


「ラティス様、お願いします」


みんなの視線が痛い。

なんか目がキラキラしているというか明らかに期待している目に見える。


「え〜リクエの戦いを終えたばかりなのに皆には苦労をかける。今回の敵はベリンガム四百五十だ。こっちはわずか七十だが負けるわけにはいかない。うん、とにかく誰も死ぬな。死なずにいこう。誰も死なずにベリンガムを倒そう。罠は十分にはった。あとはベリンガムがかかるのを待つだけだ。打ち合わせ通りにやればきっと大丈夫だ。いや絶対にいけるから。絶対に勝とう」


敵が近づいている可能性もあるので今回は落ち着いた口調で皆に語りかけてみた。

ラティスのような素晴らしい言葉は出てこなかったが、俺の思っていた事はなんとか口にできたはずだ。


「ラティス様、万歳」

「ラティス様、万歳」

「ラティス様、万歳」


俺の意を汲んでくれて、小さな声ながらみんな気持ちが伝わったのか俺を讃えてくれる。

もうやるしかない。

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