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ただの人

「それにしてもラティス様はしばらく会わない間に本当に立派になられましたね」

「そ、そうかな」

「はい。私が寄宿舎に行っている間に、領主様達が亡くなって、しかもいきなり敵との戦争にラティス様が出られたと聞いてびっくりしました」


寄宿舎ってことは学校に行っていたのか。それでしばらく会ってなかったってことか。

だからこの距離でもバレないのか。


「リティアは学校はいいの?」

「はい。もう単位は全て履修していましたし。あとは卒業だけだったので大丈夫です。お屋敷のことは私に任せてくださいね」

「ああ、助かるよ」


家もそこまで大きくないし住んでいるのは俺だけだしリティアに任せておけば大丈夫かな。

食事も美味しく食べ終わったので、今日はもうなにもする事は無くなった。


「リティア、そろそろ今日はもういいよ。ありがとう」

「ラティス様。もういいよというのは?」

「いや、特にやる事もないし、もう帰ってもいいよ」

「ラティス様、何か勘違いがあるようですが、私も今日からこちらに住まわせていただくのですよ?」

「え!? そうなの? いやだけどギルバートさんの家すぐ近くだし、別に住まなくても」

「ラティス様。夜や朝方に何か用があったらどうするんですか? お屋敷を見させていただくという事は当然住み込みでということです」

「そうだったんだ。俺は助かるんだけど」

「はい、それでは私の使わせていただく、お部屋だけ決めていただければ」

「ああ、別に空いている部屋はどこを使ってもらっても大丈夫だから」


俺の家にも家の事をしてくれる使用人が一人だけいたが、五十を超えたおばちゃんだったので特に異性として意識した事はなかったがリティアは年が近い上にかなりの美人なので意識するなという方が無理がある。

ただその事を気取られて変態扱いされては困るので、平静を装い返事をしておく。

二人での生活にかなり心配したが、完全な杞憂に終わり、何事もなく二日間が過ぎた朝、ギルバートさんが飛び込んできた。


「ラティス様! 一大事でございます! ラティス様!」

「お父様、どうされたのですか?」

「ラティス様はいるか? すぐに会いたい」

「ギルバートさん、その様子、もしかして」

「はい、まさかでございます。先ほどユンカーが夜通し馬を飛ばして戻ってまいりました。ラティス様の言った通りでございます。ベリンガムが出兵いたしました!」

「やっぱりか。それで数は?」

「おそらく四百五十ほどかと」

「レクスオールから出せる兵の数は?」

「最大で七十〜八十です。先の戦いで負傷者もおりますので」

「四百五十対七十か……」


六倍を超える戦力差。絶望的だ。


「なあに、こちらには三千のリクエ軍を打ち破ったラティス様がおられるのです。たかだか四百五十程度のベリンガムなどものの数ではありますまい」

「いや、あれは……」


あれはレクスオール戦記になぞってたまたま上手くいっただけで、四百五十のベリンガム軍も絶望的な数だ。


「ハッハッハッ。グリフォンの化身たるラティス様がおられるのです。なんの心配もいりませんな」


ダメだ。この人戦闘に関しては本当に脳筋だ。

しかも前回の戦で俺のことを盲信している節がある。

確かに、自分でもグリフォンの化身だなんて大ボラ吹いたけど、普通に考えたらわかる事だ。

俺がグリフォンの化身なわけがない。

ただの人だ。

いやこの時代においての俺はただの人ですらない。それ以下だ。

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