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ラティス・レクスオール

「レイシア・ガルディナだったな。お前、若の縁者か? ガルディナとは聞いたことのない家名だな。だがその風貌。不思議な事もあるものだ。今日の今日までお前の事を見た事がないのだが」

「いや、あの、若って……」

「若とはもちろんラティス・レクスオール様のことだ」


ラティス? それにレクスオール? どこかで聞いた事がある名前だ。

ラティス……ラティス・レクスオール。

俺のご先祖様と同じ名前か! 

かつて救国の英雄とまで呼ばれたシューティングスターの異名をとった俺の遠い遠いご先祖様。その名前がラティス・レクスオールだ!

俺の家はあくまでも末端のそのまた末の分家だが、俺の本家の家名はレクスオール。小さい頃からイヤというほど聞かされてきたラティスの英雄譚。

幾多の戦を勝ち抜き、生涯戦で無敗を誇ったと言われる、この国史上一番の英雄。

それが俺のご先祖様であるラティス・レクスオールだ。

おれも子供のころはよくラティスのようになれと言われて育った。


「ラティス・レクスオール……」

「お前もこの戦に出向いているのだ、主たる方の名前は存じているだろう」

「それは、はい」

「先ほどの戦で若が倒れた。だが今はリクエとの戦いの最中。メルベール男爵軍も踏ん張ってはいるが正直厳しい。レクスオール士爵家の旗頭たる若を失ってはレクスオール家は崩壊してしまう」


リクエ子爵とメルベール男爵の戦い。

聞いた事があるような。

たしかリクエっていうのは、ラティス・レクスオールが初めて世にその名を轟かせることになった戦いだったような。

俺の記憶によれば、圧倒的に数で勝るリクエの軍をメルベール男爵の寄子であるラティス・レクスオール率いる少数精鋭のレクスオール軍が破ったはず。

え!? それっておかしくないか? いや、俺がおかしいのか? ここがその合戦場だと本気で思ってしまった俺もおかしいし、もしここが本当にご先祖様が名をあげた合戦場だとすれば、奥に寝かされている若って、ラティス本人ってこと!?


「レイシア、心して聞け。若が倒れたのは周囲の者数十名が見ていた。ただし、若が亡くなったのを知っているのはここにいる六名のみ。レイシア、この戦の間若となり戦うのだ」

「え〜っと、すいません。言っていることの意味がわかりません」

「突然のことで動転するのはわかるが、この戦いの間は若として振る舞ってくれぬか」

「いやいやいや、無理ですよ」

「無理ではない。すでにお前は若の鎧に身を包んでいるではないか」

「いや、鎧が一緒でも顔が違うでしょう」

「レイシアお前ならいける」


この人は何を言ってるんだ? いくら同じ鎧に身を包んだ所で顔が違うんだ。

無理に決まっている。


「ちょっと来てみろ」


そう言われて、俺は奥に寝かされているラティスの下へと連れてこられた。


「見てみろ」


そう言われて寝かされたラティスの遺骸をまじまじと確認してみる。


「うっ……」


完全に亡くなっている。

殺された人を見るのはこれが初めてのことだ。


「どうだ、似ていると思わんか?」

「いや、なにがですか?」

「ひとつしかないだろう。お前と若の顔だ」

「いや、いや、似ているも何もこれじゃあわかりませんよ」


ラティスの遺体には矢が刺さり、しかも馬上から落ちたせいか顔が潰れてしまっている。


「レイシア、よく見るのだ。 お前と若は驚くほど似ておる。お前の方が少し細いが、それは鎧でわからん。髪の色も同じだ。若の方が少し髪は長いが、兜をかぶり、日を過ごせば同じく伸びるだろう。それに顔だ。白っちょろいが日に焼ければ、驚くほど似ておる」


確かに髪の色は同じにみえるけど、そんな無茶な。

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