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俺の責任

「この度は申し訳なかった」

「え? あなたは……」

「ああ、ラティス。ラティス・レクスオールだ」

「それって、領主様?」

「あ、ああ。そうだ。あなたの家族が今回の戦で亡くなったのでしょう」

「ううっ。アンドレが亡くなりました」

「アンドレはその命を賭して敵将の首をハンニバルと共に上げました。この領地を護った英雄です。私もアンドレのおかげでこうして戻ってくることができました。礼を言います。本当にありがとう。そして本当に申し訳ない」


俺はアンドレの奥さんであろう人とその子供に向け深々と頭を下げた。

もしかしたら、領収たるラティスが領民に頭を下げることは良くないのかもしれない。

だけど、この家族を前に俺は頭を下げることしかできなかった。


「ううっ、うわわあああ〜。あの人が英雄。あの人が〜。うううあああああああ〜」

「父ちゃんは英雄。領地を護った英雄なんだ。俺たちを護ってくれたんだ」

「ラティス様、そろそろ」

「うん、わかった。それではこれで失礼します。また追って連絡がいくと思います」

「はいぃ〜」


俺の言葉に意味があったのかはわからないが、俺に従い死んだ者の家族に謝罪と感謝を伝えたかった。


「ラティス様」

「すいません。勝手な真似して」

「いえ、一介の兵にまでそのような心遣い。並の領主のできることではありません。亡くなった者もさぞ喜んでいることでしょう」

「そうだといいんですけど」


俺のスタンドプレイともいえる行動だったが、この姿は、領民や兵達の目に焼き付き、少なからず衝撃を与え士気と忠誠心を高める事となったらしい。


「ラティス様、ここがお屋敷です」

「ここですか」


着いた家は確かに周りの家よりは少し大きいが、元々俺が住んでいた家よりも小さかった。

やはりこの時代のラティスはそれほど裕福ではないようだ。


「既に家の者は全員退去しております」

「そう」


どうやらギルバートが気を利かせて、先に家の者達に暇を出していたらしい。

脳筋の癖にこういう事はできるらしい。

中に案内されると、ギルバートが声をかけてきた。


「それでは私たちはここで。また明日お迎えにあがります」

「ああ、うん」


よくわからないまま返事をして、ギルバートさんを帰してしまったのが良くなかった。

家はそれほど広くはないので、見て回れば勝手はわかったが、大きな問題がいくつかあった。

一番の問題は、家の者が誰もいないので綺麗の片付いてはいるが、どこを探してみても食べる物が一切見当たらない。

そしてもうひとつ。

お金のある場所がわからないので何かを買うこともできない。

おまけにギルバートさんたちがどこに住んでいるのかもわからない。

せっかく家に着いたというのに、お腹が空いて全く落ち着かない。

辛うじて水の出し方だけはわかったので、干涸びて死んでしまうというような事はなかったが、かなり厳しかった。

思わず「ギルバート〜!」と叫んでみたが、もちろん誰も来なかったので諦めてさっさと眠ることにした。

やはりあの人は脳筋だ。

人を強引に主人に仕立て上げたくせに主人にこの扱い。酷い。

慣れない行軍で身体は疲れているのに空腹で眠ることができない状況は思った以上に辛かったが、ベッドでゴロゴロしているといつの間にか眠りについていた。

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