ピンクの髪色の令嬢ジェシカvsドミニク王子
ゆるふわ設定でお届けします。
何卒ご容赦くださいませ。
ご都合主義です。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
「本日は、編入性を紹介する。本人から自己紹介をしてもらおう」
「ジェシカです。家の都合で入学が遅くなっちゃいました。皆さんと仲良くなれるか心配。仲良くしてくれると嬉しいです! キャハッ恥ずかしい!」
「ジェシカ君、基本、席は自由となっている。本日は空いている後ろの席に座りなさい」
「私、目が悪いので、そこの席がいいです!」と指を指したのは、キャサリン様の席だった。
「私は…」
「えーダメって言うんですかぁー ひどーい」
「キャサリンは目が悪いからこの席じゃないと無理だ、諦めてくれ」何故かドミニク王子が答えた。
「(しょうがないな、ドミニク後にまわすか…まあ序盤だし)じゃあ、そこ!」
「エマも目が悪いんだ。ごめんね」クロードが答える。
「(何なのクロードまで)じゃあ、そこね!」
「ミシェル嬢も目が悪い。他を当たってくれ」セイン様が答える。
「はぁ!? ねえ、先生、お願ーい」とジェシカは先生の腕に触りながら言った。
「キャサリン君、後ろの席に移動しなさい」
「はい」
「では、私も行こう」
「ドミニク王子はそのままじゃないとー。私、まだ教科書持ってないんですー」先生の腕に触ったまま言った。
「ドミニク王子は移動の必要はありません」
「ドミニク王子ー。教科書見せてくださーい。あっ離れてて見えなーい」
ジェシカ様はギュッと胸をドミニク王子の肘辺りに押し当て、腕を両手で掴むようにくっついた。
私は震えが止まらなくなり、目の前に座っているエマを見ると、エマも震えていた。
振り向くと、キャサリン様は真っ青になって震えていた。
「悪いが、私の婚約者の具合が悪いようなので失礼する」
そう言ってドミニク王子は、ジェシカ様を振りほどき、キャサリン様の所へ行き、彼女を横抱きにして、教室から連れて行ってしまった。
「え!? どういうことよ!?」
「先生、エマの具合が悪いので医療室へ連れて行きます」
「ミシェル嬢の具合が悪く医療室へ連れて行くので失礼します」
生徒たちは、目の前の状況を、固唾を呑んで見ていたが、やがてヒソヒソと話し出し、それは騒めきに変わっていった。
「何これ、ハードモードなの? ドミニク王子の教科書を返して好感度上げるって事か。じゃあ、きちんとノートも取ってあーげよ」
私たちは、医療室で温かいハーブティーを頂き、少しだけ落ち着きを取り戻した。
「今日は、このままミシェル嬢の邸に向かおう。マーサの助けがいる。荷物は従者に頼むから気にしなくていい」
全員が無言で頷いた。
迎えの馬車は来ていないので、ドミニク王子が急ぎ呼んだ馬車に6人で乗り込んだ。
「一体どうしたのです? こんなに真っ青になって震えて。早く中にお入りください!」
サロンに毛布とタオルと温かいハニーミルクが運び込まれた。
「マーサ、学園に、私達のクラスに。ピンクの髪色の女性が編入してきた。マーサの講義通りの事をやっていたよ。そして訳の分からない事を呟いていた。序盤だしとか」
「何ですって!?」
ドミニク王子は一連の出来事をマーサに話した。
「ドミニク王子はジェシカ様に触られても、何ともなかったのですか?」
「ああ、全く何も問題は無かった」
「でも、教師はジェシカ様の言う通りになったと。魅了を受け付けない何かが有るのでしょうか」
「ミシェル嬢から貰ったハンカチだろうか?」
そう言ってセイン様はハンカチを取り出した。
ドミニク王子もハンカチを取り出すと、意匠の部分が焼け焦げたようになっており、辛うじて意匠だと分かる程度にボロボロになっていた。
「これのおかげか! もしこのハンカチが全て焼け焦げていたら…ミシェル嬢、改めて礼を言う。ありがとう」
「では、急ぎそのハンカチを大量に作らねばなりませんね」
「これを作る時に、魔法は使ったのだろうか?」
「回復魔法を使いながら作りました」
「同じ意匠で、皆それぞれの魔法を込めて刺繍をしよう。それを全員が持ち歩くしかない。それに魔法によっての効果の違いも知りたい」
「一体、何枚作ればよろしいのかしら。毎日作れるだけ作りたいけれど…」
「基礎・初級実践テストの準備もあるからね」
「家族にもお願いする? 枚数は沢山あった方がいいでしょう?」そう軽い感じでエマが言った。
「これは、基礎・初級実践テストが終わるまで、強化合宿をするしかないな。ミシェル嬢の邸では色々と問題が出てくるだろうから王宮で行おう」
ドミニク王子は陛下と王妃殿下に緊急の謁見申請を、全ての出席者の名前を入れて出した。
王命とあれば行かざろう得ないからか、それぞれの両親達の予定は聞いていない。
夕刻からの謁見許可が下り、それぞれの家へ緊急連絡を飛ばした。
第二回(改題)マーサの断罪に遭わない為の講義と、ピンクの髪色の令嬢に対しての対策会議は王宮で開かれることになった。
何事かと集まった王家、公爵家、伯爵家の前で、マーサは堂々と説明を終えた。
次にドミニク王子が、それに対して対策をしてきた事、実際にピンクの髪色の女性を見かけ、対策強化を行った事。
そして、本日、ピンクの髪色の女性が現れた事と彼女の行いを話した。
「確かに、その能力は危険極まりないな。して、何か策はあるのか?」
ドミニク王子はハンカチを見せ
「これが無ければ。私は操り人形になっていた事でしょう。そこで国を助ける為と、子供を助ける為に、我々に力を貸していただきたいのです」
「何をすればいいのだ」
「こちらの加護のお守りを、出来るだけ沢山作って頂きたいのです。意匠は決まっており、魔法を込めながら刺繍をします。我々だけではどうやっても足りなく、間に合わないのです」
「それは、お前達の分だけでは無く、全生徒と教職員、王宮で働く者達、皆に持たせたいところではあるな」
「王家主催の刺繍サロンを開催しましょう。各々自身と家族へ必ず持たせる事にいたしますわ」
「エステルルンドでは侍女、従者を総動員して作らせましょう」
「ローズブリンクも同じく」
「アーネルも同じく」
「カールステットも同じく」
「ダールグレンも同じく」
「また、危険防止と強化合宿の為、友人4人と婚約者1名、対策会講師1名を、基礎・初級実践テストが終わるまで、王宮にて保護していただきたいのです」
「もちろんだ。ミシェル嬢のお陰で傀儡にならずに済んだのだ。ピンクの髪色の令嬢の件は、こちらでも調査しよう。王族に魔法をかけ操ろう等、反逆とも取れる内容だからな」
「発言、よろしいでしょうか」
「もちろんだ、ミシェル嬢」
「加護のお守りは、まだ検証が済んでいなく、刺繍だけで効果があるのか、魔法を込めなければ効果が出ないのか分かっておりません。
また、どの魔法でもいいのかも検証しておりません。参考にした本には『思う気持ち』とだけ記載されていました」
「それは、こちらで調べてから、あなた達に渡すので、安心なさい」
「ありがとうございます」
「因みに、本の題名を教えてもらえるかしら?」
『刺繡に込められた意味 ~意匠から紐解く伝統の加護の魅力~』という本です。
「素敵な本と出合ったのですね。良かったこと」
「ありがとうございます」
「では、ご子息、ご令嬢は責任を持って王家が保護する。ドミニク、我々を頼ったのは、賢明な判断だった」
そして第二回(改題)マーサの断罪に遭わない為の講義と、ピンクの髪色の令嬢に対しての対策会議は無事に終わった。
最後までお読みいただきありがとうございました(*'ω'*)
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