マーサの断罪に遭わない為の講義と、いるかどうか分からない令嬢に対しての対策
ゆるふわ設定でお届けします。
何卒ご容赦くださいませ。
ご都合主義です。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
「お嬢様! 何をどうしたら、ドミニク王子様までもがいらっしゃる事になるのですか? それに公爵家のご子息様まで! あれほど、お気を付けなさいませと申し上げましたのに」
「マーサ。大丈夫よ。みんなマーサの持っている聖女シリーズと断罪シリーズを読んで勉強したいそうだから」
「本当にそうなのでしょうか…。まさか小説を読んで、その通りにするなんて事があっては…」
「みんな友達よ。そんな事、言わないで」
「お気持ちは分かりますが、裏切りと欲望が渦巻いていたではないですか」
「もう! 大丈夫よ!」
「分かりました。いざという時の為に、すぐに逃げ出せる準備はしてありますので、ご安心ください」
マーサは、私が聖魔法を賜ってから、心配性に拍車がかかってしまった。まあ、断罪シリーズ恐ろしいものね。
◇
先に到着したのはエマとクロード。それからセイン様。続いてドミニク王子とキャサリン様が到着した。
「皆様、ようこそお越しくださいました。本日の講師は、私の侍女であるマーサです!」
「お嬢様!?」
「だって、みんなマーサの話を聞きに来たのよ。そしてマーサの本を読みにね!」
「私からも、お願いするよ。マーサ」
「恐悦至極に存じます、ドミニク王子。ではお部屋へ移動しましょう」
サロンへ移動すると、既に本は用意されていた。
「マーサ、私がお茶を淹れるわね。私はマーサの話を、諳んじれる程に聞いているから。みんなに話していて」
「では、こちらが庶民の間で流行している断罪シリーズ、聖女シリーズでございす。最初に覚えておいて欲しい事は、ピンクの髪色の女性がいたら関わらない。馴れ馴れしい女性から、お菓子、特に手作りのお菓子や昼食を貰って食べてはいけないと言う事。体に触ってくる女性、ぶつかってくる女性は要注意ですし、触られた時点で終わりですわ」
「それは、男性も女性もだろうか?」
「良い質問でございます。女性がピンクの髪色の女性に関わると、十中八九、間違い無く、冤罪で断罪や国外追放、処刑などの不幸に見舞われます。
男性の場合、もし婚約者がいたとしても、ピンクの髪色の女性の虜となり、愛していたはずの婚約者を蔑ろにし婚約破棄、冤罪なのに調べもせずに断罪、国外追放や処刑をする確率が高くなるのです」
「それは、何か魔法を使っているのか?」
「魅了の魔法とも、精霊や神、龍の愛し子とも」
「愛し子ならば」
「キャサリン様、お気を付けくださいませ。ドミニク王子はあっさり、ころっと唆されるでしょう」
「え、ええ!?」
キャサリン様が冷たい目でドミニク王子を見ている。
「いや、愛し子と言うのであれば、国防に繋がるのではないのか? 国で保護しては駄目なのだろうか」
「放っておくのが一番にございます。国に保護されると、段々欲が出てきて全てを欲しくなるのです」
「そうか、分かった…」
「次に黒髪、黒目の女性も同じく関わらず逃げましょう。彼女達は、その多くが私が主人公! 何をやっても許されるのよ! と傍若無人に振舞います。能力も高めです。
後はピンクの髪色の女性とほぼ同じですね。そして彼女達に共通しているのは王や王太子等の王族との婚姻や家格の高く容姿端麗な方との婚姻を強行し、湯水の如くお金を使います。政務には関わらず、使用人を虫けらの様に扱う事もあります」
「ヒェッ」 誰かの喉が鳴った。
「聖女には大きく分けると4種類でしょうか。虐げられる聖女、綺麗事だけ言う聖女、悪女としか思えない聖女、まともな聖女。
皆、聖女の高い能力、能力と言っても様々なのですが、それを有しております。国の為にボロボロになるまで働かされ、挙句、お前は偽物だと捨てられたりする聖女。
生きてるものを殺すなんて間違ってるわ! 魔獣だって生きてるの! 大災害が起こっても私達なら乗り越えられるわ! と祈るだけで国を危険に晒す聖女。
かと思えば、祈ってほしかったらお金や宝石を貢ぎなさいよ。そこのお前、陛下を呼んで暇なのよ! と働く事さえしないという、いっそ清々しい聖女」
「ま、待て、マーサ。情報が多すぎる。ちょっと休憩を挟んでもいいだろうか」
「かしこまりましたドミニク王子。皆様、お茶を淹れ直して参ります」
マーサがサロンを出て行った後、皆が話し始めた。
「マーサの言っている事は、小説の中の話なのだろう?」そうドミニク王子が言うと、キャサリン様が「私は神殿で危うく悪役令嬢と言う者になりかけましたわ」
「あの時は、私もとんでも令嬢になってましたわ。キャサリン様や私の様に突然いつもと違う行動を取る事を強制力と言うのだそうです」
「あの時のミシェル嬢の威勢の良さには笑ってしまったな」セイン様がそう言ってまた笑っていた。
「だけどさ、小説にしては、あまりにも沢山話が有りすぎるし、妙に具体的なところが、不気味なんだよな。キャサリン様だってミシェルだってあんなに感情的になった事なんて今まで無いだろう? ミシェルはまあ感情的と言うか、まあいいか。これって考えすぎかな?」とクロードが珍しく不安を口にする。
それぞれが、マーサの本を手にして、読み始めた。
昼食の時間になっても、真剣に読んでいるので、マーサは片手でつまめるサイズのサンドイッチを厨房にお願いした。
セイン様がおもむろに「我々は必ず誰かと一緒に行動をした方が良いと言う事だな。濡れ衣を着せられた時に必要だろう。ただ、仲が良いもの同士が2人きりでは、口裏を合わせていると言われかねない」
「2人いれば、流石に矛盾点を指摘できるのではないかしら? エマとキャサリン様はどう思われます?」
「ドミニク王子とキャサリン様は大丈夫な気がしますわ。練習場が地獄の様になってましたもの」
「セイン様とミシェル様も大丈夫でしょうね。ウフフフフフ」
「私はセイン様と一緒なのですか?」
「ミシェル嬢、僕と一緒は嫌なのかい? 僕にミシェル嬢を守らせて欲しい」
「甘言を囁く殿方は信じてはいけないと、書いてあったではないですか」
「そこは、セインを信じてやってくれないか。王子として頼む…ブフッ それに、それでは世の男性は女性を口説けないし、僕はキャサリンに愛を囁け無くなる」
「えぇはい…。エマとクロードはどうするの?」
「俺たちは闇魔法だから、何とかなるよ、なあエマ」
「ええ、そうね」
「それと、やはり私の愛しのキャサリンが聖女になるのが、断罪を避けられる方法だろうね。なにより、聖魔法ではないから、悪女のような聖女になる事も無いのだろう?」
「ええ。キャサリン様が青い炎の聖女になるのは必然ですわね。それに絶対に素敵ですもの」
「問題はミシェル嬢の聖魔法だね。悪役令嬢なる者は、聖魔法を持つ者に執着するのだろうから」
「私は聖魔法持ちですから、その、悪女のような聖女になる事はあり得るのかしら…急に性格が変わったり、思考が変わったり…」
「お嬢様、心配ご無用にございます。その者達は、元々の性格に難が有ったのです。お嬢様は厄介事に巻き込まれない。これか最善策です」
「それは、中々に難しいだろ」
「そうよね」
「ええ!? エマ? クロード?」
「そこは、パートナーの僕が必ずお守りいたしますよ」
「パートナーって!?」
「2人1組なんだからパートナーだよね?」
「そうとも言いますわね…」
「これからは、学園で行事がある前には、ミシェルの邸に集まって作戦会議を行おうか」
「それがいいな、キャサリン、いいかな?」
「もちろんですわ」
「僕も、それに賛成だ」
「大体、行事の前に、厄介な令嬢が現れる事が多いのです。周囲の情報にもご注意くださいませ」
「ドミニク、直近の行事は1ヵ月後の基礎・初級実践テストとその後の新入生歓迎パーティーだろうか」
「ああ、実技を訓練しつつ、警戒をする。中々に面白いな」
「あっ! マーサ! そのぶつかってくる女性や触ってくる女性はどう対処したらいいの? 触られたら終わりって。突然だったら防ぎようが無いわ」
「状態異常無効、状態異常回復、魅了抵抗、魅了無効、防御結界等でしょうか」
「それらの魔法は、今後の研究課題だが優先度は高いな」
そうして、第一回マーサの断罪に遭わない為の講義と、いるかどうか分からない令嬢に対しての対策会議は終了した。
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