94.第七王子は悪魔を祓う(うっかり)
年内最後の更新です。
俺、ノア・カーター。
いろいろやってこの世界の統治する帝王になっちまったぜ!
どうしてそーなんのよ!? ねえ!?
「はぁ~……ろりえもーん」
カーター領の、自分のベッドにて。
俺はゴロゴロしている。
おなかの上には白猫状態のロウリィが乗っていた。
『なんすかノア太くん?』
「なんか適当に良い感じに世界をぶっ壊して再構築し、すべてゼロから始める秘密道具だしてよー」
『んも~。しょうがないなぁ~』
え、あるの、そんな秘密道具。
『はい、ノア・カーター』
「ノア・カーターだって!? どういうことだいろりえもん!?」
『そっすよノア・カーター。こいつは知能がゼロでどうしようのないどあほうっすけど、無駄に力が強くて、世界をぶっ壊し再構築して、すべてをゼロから始める力があるっす!』
「わー、すっごいやぁ……って、俺やないかーい!」
『るねっさーんす!』
「『でへへへへっ』」
そんなふうに俺たちが漫才やってたそのときだ。
『ノア様』
ずず……とベッドの影から黒犬の悪魔、ナベリウスが登場する。
『ナベタンどうしたんすか?』
『敵情視察だ』
「はぁ? 敵だぁ……?」
俺は起き上がって、ナベリウスの話を聞く。
『ノア様、あんたを狙って悪魔達が押し寄せてきてるぞ』
『んなっ!? 悪魔って……あのっすか!?』
『そうだ、あの、悪魔だ』
以前ソロモンとか言う馬鹿が、俺のもとへ総攻撃しかけてきたことがあったな。
んでソロモンが率いてる、化け物たちが悪魔って……。
『死んだんじゃなかったんすか?』
『悪魔は殺したくらいじゃ死なん』
「え、マジ? Death★ビーム」
『うぎゃぁああああああああああああ!?』
俺はナベに向かって指先からビームを出す。
ぴちゅんっ! と音とともに、ナベリウスの体が雲散霧消。
「死んでんじゃん」『死んでるっすね』
『殺す気かぁあああああああああああ!?』
ナベがかろうじて影の分身を作って逃げたのを、俺は目視していた。
『なぜビームうった!?』
「え、悪魔は死なないかどうか確かめようって思って」
『悪魔は貴様だぁああああああああ!』
はぁ……とナベリウスが溜息をつく。
『ともかく……悪魔は殺したくらいじゃ死なないのだ』
「へーあっそぉー……」
俺はコロン、と横になる。
『ノア様よゆーっすねぇ』
ロウリィが俺の顔の前に座る。
俺はロウリィのおなかに顔を埋める。
「まーな。だって前にめっちゃ余裕で勝ってるし? 今更悪魔って言われてもねぇ~……はぁ、燃えない」
ふがふが、と俺はロウリィのおなかに顔を埋めながら言う。
『確かにノア様一回倒したっすからね。今回も余裕っすよ』
「あーあー、だめだねぇ悪魔は。張り合いなさ過ぎ。もっとさー、強くないと困るんだよね」
『いや、貴様確かやられたがっていなかったか……?』
ナベリウスがげんなりしながら言う。
「ばっきゃろう。あのね、確かにやられたいよ? でもさー、低級の雑魚にやられて死にましたー、じゃ、なんか俺かっこ悪いじゃん?」
『安心してくれ、ノア様はずっとかっこわるいから』
「Death★ボール」
『ふぎゃぁあああああああ!』
『ちょっとのあさまー。ボールで遊ぶなら外で遊んでっすよー』
ナベはギリギリ生きていた。
「とにかく、俺は悪魔みたいな雑魚とはやらないよ。てか、俺が手を下す前にカーター領の馬鹿どもが殺すだろ」
『いやまて……よく聞けノア様。悪魔は、強くなるんだよ』
「あん? 強くなる、だぁ?」
ナベリウスが説明したところに寄ると……。
悪魔は負の感情の集合体。
つまり、強い恨み、憎しみ、などの負の感情を得ると、さらなるパワーアップが望めるのだという。
『悪魔どもはノア様に1度大敗を喫して、ノア様に強い恨みを抱いている』
『なら前より強くなってるってことっすね、なべたん』
なるほど……。
く、くくく……!
「くはははは!」
『『やめとけ』』
「まだ俺何も言ってないでしょ!?」
ペットどもがあきれた顔で言う。
『何も言わなくてもわかるっすよ。どーせまた余計なことしようとしてたんすよね?』
「よ、余計なことじゃないもん! ぼく余計なことなんて一度もしたこと無いもん!」
『やめとけロウリィ、どうせオレ様達が言ったところでこの馬鹿は話聞かないから』
へーんだ! ペットのばーかばーか!
「馬鹿って言う方が馬鹿なんだよばーか」
『『うわ、すっげえばかっぽい……』』
にやりと俺は笑ってペットどもに言う。
「俺、今からちょこっと悪魔のとこへ行ってくる」
『何しに行くんすか?』
「悪魔をびびらせてくるわ」
ナベリウスがはて、と首をかしげる。
『なぜ悪魔をびびらせる?』
「だって悪魔って負の感情の集合体だろ? なら悪魔どもが俺に、更におびえてくれたら、更に更に強くなれるってーこったろ?」
ならば話は単純だ。
俺を倒せるくらいにまで、悪魔をびびらせまくる。
そーすりゃ、パワーアップした悪魔と俺とが互角のバトルをして、結果、悪魔に討たれて死んだノア・カーターとなる!
『なんつーか、最近目的がすげかわってるきがするんすよ。この人引退したいだったのに』
『最近じゃ死のうとしてるムーヴしているよな』
『たぶんほらノア様、シングルだから』
『ああ、シングルだからな』
馬鹿って書いてシングルタスクって読んでそれを省略しないで!?
「とにかーく! 俺は悪魔どもをびびらせてパワーアップさせてやる! めざせ、悪の帝王を倒せるくらいの大悪魔!」
俺はぱちんっ、と指を鳴らして転移する。
一瞬で、悪魔達の大群の頭上へとやってきいた。
「おー、いるいる悪魔たちがよぉ~」
眼下には森が広がっており、異形の化け物どもが、俺の領地めがけて歩いてくる。
「とりま、ちょーっくらびびらせやっか」
俺は右手を掲げる。
びびらせる魔法が、確かあった。
「えーっと……【絶望のオーラ】」
これは闇魔法の一つ。
相手をびびらせて、戦意を喪失させる闇オーラを出す魔法だ。
まずはね、手始めにね。
ここから徐々にオーラのレベルを大きくしていき、最終的により強い悪魔を作るわけですよぉ……。
「レベル1っと」
どがぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!
「ふぁ……!?」
え、なに!?
悪魔達が……爆発四散した!?
「どどど、どうなってるの!? え、誰か敵襲を受けたの!?」
と、そのときだ。
「さすがです、のーあーさーまー!」
「うぎゃあああああああ! リスタが出たぁああああああああああああああ!」
俺は空中から落ちる。
ふわり、とリスタが優しく抱き留める。
にこぉ……とわらう彼女を見て、「ひぃ……!」と知らず声が出る。
『もはやどっちが悪魔かわからなんな』
『リスタがノア様にとってのもはや妖怪とかもののけになってるっす』
ペットどもが追いついてきやがった。
リスタはまた目をキラキラさせながら言う。
「素晴らしい魔法でした! あの魔法で、我々を悪魔から守ってくださったんですねぇ!?」
俺のだした絶望のオーラは、俺の体をまとうようにして、まだ発動中だ。
『てか、悪魔すら恐怖でびびり殺したってオーラを見て、この人無事なんすけど?』
『シングルだから、こいつも……』
『ああ、確かに、シングルっすね……』
馬鹿って書いてシングルタスクって読んでさらに略さないで!?
俺とリスタが同列みたいじゃないか!?
『『いや、馬鹿さ加減にかけては、同レベル』』
そんなぁああああ!?
一方でリスタが深々とうなずく。
「さすがノア様! 悪魔の到来を誰よりも察知し! 闇のオーラで敵を殲滅するなんて!」
「いやいや! おいナベ! 相手強くなったんじゃなかったのかよぉ!?」
ナベがはぁ……と深々と溜息をつく。
『あんたのほうが、素で何兆倍も強いだろうが』
「えー!? でもでもぉ! 強くなったってぇ!」
『いくら強くなっても戦力に決定的な差が開いてるんすから、勝てる訳ねーっすわ』
あ、あれれぇ? おかしいぞぉ?
俺って……なんか……強くなりすぎ?
『そりゃ、あんだけモンスターとか、魔族とか、領民とか、悪魔とか、化け物たちと戦ってりゃ、嫌でも経験値がたまって強くなるっすよ』
『ロウリィ、領民を化け物にいれてやるなよ……』
つ、つまり……?
俺は、悪魔を……普通に倒しちゃったってこと?
「さすがですノア様!」『はいはいさすノア』『さノ』
さすがですノア様をさノって略さないでよぉ!
「んもぉおおおおおおお! どうしてこうなるのぉおおおおおおおおお!?」
今年もお世話になりました。
来年も頑張って書いていきますので、よろしくお願いします。
あと書籍版が年明け1月17日に出ますので、そちらも買ってくださるとうれしいです。
今年も一年お世話になりました、来年もノア様のバカ騒ぎにおつきあいいただけますと幸いです。




