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04.第七王子は領民に有能さを知られてしまう


 俺は左遷され、カーター領ってとこで領主をやることになった。


 俺が今いるのは、この領地で最も栄えている場所、つまり領主の館だ。


「ふはは! いい! 最高! 山! 森! 田舎、最高!」


 館って言うからどんなもんかいって期待していたら、期待以上だった。


「そして幽霊屋敷! くぅ! 良いね!」


 領主の館とは名ばかりに、おんぼろ館がそこにあった。


 穴あき放題、庭には草ボウボウ。

 噴水の跡地らしき場所があった。ちなみに水なんてでちゃいない。


「こんなド田舎の領主の館になんて人がくるわけないだろうし。うん、のんびりできそうだぜ! なぁ、ロウリィ?」


 しーん……。


「あん? どこいったおい?」


 いくら呼んでも出てこない。

 それどころか、肩にも乗ってなかった。


「ま、まさか……落としてきちゃった……そんな……」


 ロウリィを、14年間付き添った、俺の腹心を……。


「ま、いっか!」


 そのときだ。


『よくねええええええええええええ!』


 ばさりっ! と上空から何かが降りてきた。


 それは1匹の白い竜だった。


「おお、ロウリィ。いるじゃんか」

『てめええノアぁあああああ! 乙女を置いてくなんてどういう了見だこらぁあああああああ!』


 この白竜が魔神ロウリィの正体。

 俺が封印術を施したことで、猫サイズにまで魔力が制限されていた。


 この女は怒りで封印術を打ち破って、本来の竜の姿になって、ここに来たってわけだ。


「え、何怒ってるの?」

『あんたにとって自分ってなんなんすか!? 14年連れ添った大事な部下じゃないんすかぁ!?』


「まあ」

『まぁ!? こんの……今日という今日は許せねえ! ぶち殺してやるっすぅ!』


「ほー」


 俺は魔力を少し、ほんの少し解放する。


 ずぉ……! と空を突くほどの大量の魔力が立ち上る。


『うひぃいいいいいいいいい!』


 竜は震えると、その場にべたん! と伏せの体勢を取る。


『さーせんした! ノア様に逆らいません! 絶対!』


「おう。おまえこの先も俺の舎弟な」


 と、そんなふうにしていると……。


「す、すごい……です……」


「え?」


 誰かの声がした。

 よく見ると、ロウリィの尻尾の先に、誰かがしがみついていた。


「こんな大きな竜さまを、にらんだだけで、屈服させてしまうなんて……」


 ……なぜだろー?

 なんだか、とっても、いやーな予感する。


 女は尻尾から降りると、ととと、と俺にかけてきた。


「領主様……!」


 女は俺に正面から抱きつく。

 むぎゅ! 良い匂い! 柔らけえ!


 じゃ、なくって!


「だ、誰だよあんた……」


 俺は女をベリッと剥がす。


「わたしはリスタ! アインの村のリスタと申します! あなたに先ほど助けてもらった村娘です!」


 は……!? お、俺が……助けた……!?


 ど、ど、どーゆーこと!?


『ノア様。さっきこの子、亀に襲われてたんすよ。で、ノア様が助けたんだって、めっちゃキラキラした目で言ってたっすよ』


 ……は!?

 はぁあ!?


 や、や、ヤバいどうしよう……か、亀に襲われてたところを、助けた!?


 ってことは、俺が魔法と剣を使ったところを、見たって事じゃねえか!


『ちなみにアインの村って言うのは、カーター領内の村っすよ』


「………………つ、つまり?」


『おめでとうっす。着任初日に、領民にノア様の実力が、バレたって事っす』


 リスタはキラキラした目で俺を見てくる。


「ありがとうございます! 火山亀から領民を救い、さらに竜を従える……新しい領主……いえ、救世主様!」


 うーん、なるほど、なぁる、ほどー……。


「……ば、」

「ば?」


「バレたぁああああああああああああ!」


 どど、どうしよう。

 ヤバいヤバいぞ。


「領民に俺が有能だって事ばれちまったじゃねえかくそトカゲぇ!」


 俺は怒りのあまり、伏せ状態のロウリィを蹴飛ばす。


『あ、あの! お言葉を返すようですけどね、ノア様』


「んだよ! 遺言は10秒以内に言えよ! はい、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1!」


『ノア様が有能なの、わりと前から城の人にバレてたっすよ!』


 ……………………はい?


 ロウリィ、なんつった?


『だからー! ノア様が気付いてないだけでっ、あんた結構色んなことやってきてるんっすよ』


「え、た、たとえば……?」


『前にモンスターの大群が王都に襲いかかってきたことがあったじゃないっすか』


「あ、ああ……。睡眠の邪魔だからぶっ殺したけど」


『あれ、現場にいた騎士団長と騎士たちに見られてるっすよ?』


「なっ!? よ、夜だったし……隠蔽魔法で姿を隠しただろ!?」


『あんたあのとき寝ぼけてて、隠蔽魔法が不完全だったんすよ』


「なんだって!?」


 そのほかにも……とロウリィが続ける。


『ノア様、わりと有能ムーブしてたっす。それを知ってる人ってわりといたんすよ。ま、あんたも親父さんも、駄馬兄さんも気付いてなかったけど』


 そんな!


「お、お、親父と駄馬兄と……俺、もしかして……同類?」


『ま、抜けているってところにかけちゃ、三人同列っすけどね』


 一方で……放置していた村娘リスタが、笑顔で俺に言う。


「ようこそカーター領へ! 新しい領主様! みな、あなた様が来るのを心よりお待ちいたしてました!」


 ああああああああああああ!

 やべーーーーーーーーーー!


「あ、あのねリスタくん……。お、俺は本当は、無能……なんですよ?」


 きょとん、と目を点にする。

 だが、リスタは笑顔になって言う。


「なるほど! 能ある鷹は爪を隠す……本当にすごいかたは、謙虚であられる。そういうことですね! さすがノア様です!」


『はいこの瞬間、ノア様ご所望の楽隠居計画は、見事に崩れ去ったのでしたー。これで無能はさすがに無理あるっすよー』


 どうしてこうなったぁああああああああああ!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ストーリー的には面白いかな?と思うけど、相手が領主だと知りつつ、このいきなり抱きつく村娘に引きまくった。
[一言] ロウリィといいこの村娘といい作者巨乳好きだろ
[良い点] 好きです [一言] 頑張ってください
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