表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/122

03.村娘、新しい領主に助けられる

 

 ノアが火山亀を消し飛ばす、ほんの少し前の出来事だ。


 カーター領内にある村【アインの村】。


 アインの村に住む村娘、【リスタ】は、村の民とともに震えていた。


「また……モンスターが暴れているのですね……」


 リスタ。くすんだ金髪に、ふわふわした髪質の、巨乳の女だ。


 彼女が震えているのはもちろん、モンスターが出現したからである。


「安心しろ。この村はかつて【いにしえの勇者】様がかけてくれた【結界術】によって守られている。壊れることは絶対にないよ」


 ……そう、このカーター領。

 別名、【冥府領】。


 そう言われるのは理由がある。


 カーター領内には、【奈落の森アビス・ウッド】と呼ばれる、巨大な魔の森が存在するのだ。


 ここに住まうモンスターは、恐ろしく強大な力を持つ。


 ゆえにそこに住まう民が困らぬよう、かつてここを訪れた勇者によって、モンスターから身を守る結界を施されたのだ。


「そ、そうだ! 勇者様の結界があれば、おれたちはぜったい安全なんだ!」


「そう……ですよね。大丈夫、ですよね……」


 リスタが震えながら見上げる。

 その先には、巨大な火山を背負った亀がいた。


 ぎろり、と亀とリスタの目が合う。


「ひっ……!」


 そして、亀は背中から噴石を放出した。


「く、来るぞぉおおお!」


「大丈夫! 壊れる事なんてない……って、え、ええええ!?」


 バキッ……! 村の上空にひびが入ったではないか。


「そ、そんな! 代々村を守っていた結界が、壊れかけているだと!」


 村人達は恐れおののき、絶望した。


 亀はその間も噴石を背中から放出し続ける。


「このままではいずれ結界が壊れてしまう。どうすれば……」


 暗い表情の村人達を見て、リスタは決意する。


「わたしが、おとりになります!」

「リスタ! そ、それはいかん!」


 自らがエサとなって、火山亀を引きつけるつもりだった。


 村長はそれを許さない様子、だがリスタの決意は硬かった。


「わたしは、みんなが大好きです。だから……守りたいんです」

「リスタ……」


「ごめんなさい!」


 リスタは村の結界の外に出る。


 火山亀は飛び出てきた新鮮な人間エサを見つけ、彼女を追い掛ける。


「はぁ! はぁ! はぁ! はぁ……!」


 リスタは必死になって村から距離を取る。


 だが向こうは歩幅も巨大。すぐに追いつかれる。


「きゃっ……!」


 リスタはけつまづいて転ぶ。

 そこに、火山亀が近づいてきた。


「村のみんな……ごめんね。わたしがどんくさいせいで……」


 本当はもっと距離を離したかった。

 でも……もう遅い。


 火山亀が襲いかかろうとした、そのときだ。


 びくんっ! と亀が体を大きく硬直させたのだ。


「え……? なに……?」


 ぶるぶるぶる、と亀が体を震わせている。

 地震? いやちがう……恐れているのだ。


「この奈落の森に住まう、恐ろしいモンスターが、恐れるほどの何かが……いるっていうの?」


 そう、このタイミングで実は、ノアを載せた馬車が森にさしかかっていたのだ。


 Sランクモンスター火山亀が恐れたのは、馬車に乗っている、恐るべき魔法力と闘気オーラを秘めた、【なにか】。


 瞬時に悟る。あそこには、化け物がいると。


 ……もちろん禁書庫の魔神の存在にも火山亀は気付いていた。


 だが、それ以上にヤバい何かがいる。警戒していたのはそっちだった。


「ガアメエエエエエエエエエエ!」


 亀はリスタを無視すると、馬車に向かって攻撃し出す。


「なっ! ば、馬車の人! 逃げてぇええええ!」


 だが悲鳴もむなしく馬車が、火山亀の攻撃によって潰される。


「そんな……」


 だが、炎のなかから、何かが出てきた。


 赤いマント。

 白いピカピカのシャツ。

 黒いスラックス。


 高貴な雰囲気を漂わせる……黒髪の少年だ。


 身長は170くらいだろうか。

 ひょろりと長い体に、ボサボサの黒い髪。

 一見するとだらしのない、貴族の坊ちゃんのような見た目。


 だが……その目は、猛禽類のように鋭かった。


 彼は剣で魔法を斬り、そして炎の魔法で火山亀を消し飛ばした。


「…………うそ、でしょ? 一撃で……?」


 ぺたん、とその場で尻餅をつくリスタ。

 そして……彼女は見た。


 炎の向こうに、右手を差し出して立つ……高貴なる者の姿を。


「あ、ま、待ってください!」


 彼はふわりと飛び上がると、そのまま空の彼方へと消えていった。


「……わ、わたしを、助けてくれたの?」


 とくん、とリスタの胸が高鳴る。


「すごい……なんてすごい人なんですか。見ず知らずのわたしを助け、見返りを求めず颯爽と立ち去っていく、それこそ……いにしえの勇者様のようではありませんか!」


 リスタの目の中には、さきほど自分を助けた謎の青年の姿と、そして尋常ならざる力が、ハッキリと焼き付いていた。


「いったいどこのどなた……ん? あれ、何か落ちてます……?」


 リスタは近くによる。


 そこにいたのは、1匹の白猫だった。


『むきゅぅ〜……ノアのあほー。あとで殺すぅ〜……』


 魔神ロウリィが、気を失っていた。

 精神的ショックがデカすぎて、意識を手放していたのである。


 ノアは気絶してぽとんと落とした相棒に気付かず、浮遊魔法で去って行ったのだ。


 さて、そんな事情を知らないリスタからすれば……。


「ね、猫が、しゃ、しゃべったぁあああああああ!」


 そう驚くのは、至極当然のことであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 二度人生を送った下地がある上で今生15年過ごしたとは思えない 今生での常識の欠如と人間性の悪さが際立ちます
[良い点] とても面白いです [一言] 頑張ってください
[良い点] 良い点が見当たらない。 [気になる点] 人物に魅力がないため、短編集で未完結になるようなストーリーにしか感じない。この方の他の作品もブックマークに追加するまで読み進められなかった。機械的に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ