103.第七王子は悪行をなす(定期)
俺、ノア・カーター! いつの間にか神になってたよ!(絶望)
「はぁーん……どうしてこうなるんだよぉ~……」
場所は大ダーク帝国、帝城。……いつも思うけどこの国の名前どうにかならないの!?
「まさかノア様、知らぬ間に神になるなんてねえ」
「世も末だな……」
うんうん、とうなずくのは、人間姿のロウリィ&ナベリウス。
ロウリィは白髪に猫耳の女。
ナベリウスは、黒髪に犬耳の女。
ギザギザとした髪の毛を腰のあたりまで伸ばしている。ぴんととがった犬耳に、どことなく蛮族っぽい服装をしている。
「なぜオレ様の外見を子細に描写してるのだ?」
「2巻のキャラデザが来たからっすよ、多分」
2巻? キャラデザ?
「ええい! うるせアニマルズ! 今はきんきゅーじたいでしょーが!」
だんっ! と俺はテーブルを叩く。
「どうして俺神になってるんだよ!? 俺なにかしちゃいましたかね!?」
「ヒント、帝国民、みーんな信奉者っす」
「神とは、神と信じるものが多ければ成立するものなのだ」
なんだよそのクソルール!
「でもよかったじゃないっすか。神になったことで、神から攻撃されても、対抗できるじゃねーっすかね」
現在、俺は神とケンカするはめとなっているのだ。
「つーかよぉ。俺がやりたかったのは、神に挑んだ愚かな人間、って図なのに。その俺が神になってどーすんのよぉもぉ~……」
俺はあくまで人間で居たかったのだ……!
ちくしょうめ!
「なぁナベ。神から人間に戻る方法ってしらね?」
「そもそも人間が神になったのがイレギュラー過ぎるのだが……」
ちっ、役に立たねえ犬っころめ。
「いや待てよ……神と信じるやつが多いから神になるんだ。だとしたら、神っぽくない動きをすれば……神じゃなくなるんじゃね?」
ぴきーん! ひらめきました!
「「待て待て待て待て」」
ロウリィとナベのやつが、俺を止めようとする。
「ノア様なにするかわからないけど、やめとくっす」
「そうだぜノア様。何するか知らないけどやめとくほうが無難」
「何するかわからないなら邪魔しないでくれますぅ!?」
ロウリィが溜息交じりに言う。
「あんたこんだけやることなすこと裏目にでてるんだから、そろそろ学べっすよ」
「じゃーかーしーーーー! 俺は俺の信じる道を行くんだよぉおおおおおおおお!」
「無駄にポジティブなんだなこの人……」
ナベが溜息をつく。
「聞け! ペッツ! 俺は今から……神らしからぬ行動……そう! いわば、ノット神ムーブをする!」
「「ノット神ムーブ?」」
「いえす! 神っぽくないふるまいをして、人間どもから信用を失わせる行動! 無能ムーブ? 帝王ムーブ? もう遅い!」
時代は神!
「ノア様も領主→帝王→神と順調にレベルアップしてるっすね」
「こんなのが出世するとか、世も末だな」
ペットどもを魔法でぞうきん絞りの系に処しておいた。
「くく……! 今から俺は、神らしからぬ行動をする。帝国民ども! 見ていろぉ! 貴様等を恐怖のどん底に沈めてやるからなぁ! しゃーっしゃしゃっしゃ!」
「ノア様の悪行ってだいたい成功に終わるんだよなぁ……なぜわからないのか?」
「ノア様ほら、馬鹿だから」
かくして、俺は神らしからぬ行動をするため、街へ繰り出すのだった。
★
帝国の帝都カーターにて。
「神様だ!」「神様ー!」
俺が少し街へ来るだけで、大勢の人だかりができる。
「うわー、すげー人気っすね」
「無駄に人望が厚いんだよなこいつ」
「リスタのせいっすね」
「ああ、だいたいリスタのせいだ……」
そもそも論としてここで有能がバレたの、あの女のせいなんだよなチクショウ……。
「ノア様! 今日はどのような用事で?」
「うむ、偵察にな……」
街の人たちを押しのけて、俺は八百屋のまえまでやってきた。
「おい、八百屋の親父」
「ははあぁ! これはこれはノア様ぁ!」
手をハエのようにこすりながら、八百屋の親父がやってくる。
「今日は何の用事で?」
「ふむ……良いリンゴだな……」
「へい! どうです、お……」
やつが言う前に、俺はリンゴを手に取る。
しゃくっ!
「ほぉ、美味い!」
もうひとつ食べて、しゃくしゃく!
「の、ノア様が……まだお金払ってないのに……リンゴを食べてらっしゃる……」
くく……! これぞ悪行!
「「せこ……」」
ペットどもは魔法で以下略。
「どうした? まさか、神から金を取るというのか? んんぅ~?」
「い、いいえ! め、滅相もございません」
「よーし、良い心がけだ。美味かったぞリンゴ。じゃあね。金は払わねえけどな! がはは!」
俺は八百屋を後にする。
後からついてくるロウリィたち。
「の、ノア様今のが悪行なんすか?」
「見ただろ? 権威にかさをきて、無断飲食! いやぁ悪っぽい!」
「なんというか、こすいというか……」
やかましいぞわんころ!
次だ次!
「うえーん! おかーさーん! おかーさーんどこー!」
「ノア様、あんなところに迷子のぼっちゃんがいるっす」
「ほぅ……迷子かぁ……くくく!」
俺は迷子の元へ行く。
「おう坊主。迷子か」
「ノア様……」
帝国民たちが俺を見ている。
「ノア様はさすがだ」「迷子を助けようとなさっている」「見事でございますな!」
くくく! 馬鹿どもめえ! そんなことするわけないだろうがぁ!
「坊主……あまったれるな!」
「ふぇ……?」
俺は……あえて怒る!
「迷子になったくらいで泣きわめくな。人生は長い。この先道に迷うことは幾度となくあるんだぞ? そのたびに貴様は泣きわめくのか? んんぅ~?」
子供がぽかんとしている。
くく……いいぞぉ!
「じゃあな坊主。母親はてめえで探すんだな」
俺は迷子を放置してロウリィたちのもとへ。
「どーよ俺の悪行!」
「「ふーん……」」
しらー、と冷たい眼を俺に向けるアニマルたち。
「んだよ。どう見ても迷子を放置して、しかも説教垂れるやべえやつだったろ?」
「いやぁ……ねえ?」「隠しきれないいい人オーラが出てたぞノア様?」
ああん? 節穴アイのペットどもめ。
次だ次!
「きゃー! ひったくりよぉ!」
おっとぉ! 次はひったくりかぁ!
「なんか都合良く事件が起きるっすねさっきから」
「ああ、なんか妙な力の波動を感じるな……」
アニマルどもを無視して、俺はバッグを持って逃げるひったくりの前に出る。
「ノア様がひったくりを捕まえてくださるぞ!」
「安心だ!」
がしっ、と犯人の襟首をつかむ。
「転移!」
「「「!?」」」
俺は犯人を転移させた。
「の、ノア様……どうして……?」
バッグの持ち主らしい女が、俺に近づいてくる。
「貴様かぁ? ひったくりごときにひっかかる間抜けは?」
「ま、間抜けって……」
「そうだろ? 自衛もできんのか貴様は。とられて当然だな。次から気ぃつけろよ」
くくく……どうよ、俺の悪行っぷり!
見てたロウリィたち!?
「ナベちゃんこの肉串うめえっすよ」
「ほんとだいけるな」
「見て! ねーえー! 見ててよ! ぼくの悪行ぉ!」
ロウリィたちが肉串をもぐもぐしてやがる!
俺を無視して!
「なんで見ててくれないのぉお!?」
「ノア様駄々っ子みたいっすよ」
「どうせ失敗して上手くいくんだから」
うるせええええええええええええ!
★
「さノですわ! ノア様!」
後日、俺の部屋にて。婚約者のサラがやってきた。
「ど、どうしたサラ……?」
「ノア様……聞きましたわ。ノア様の……善行を!」
「ぜ、善行……?」
「はい! こちらをどうぞ!」
サラが懐から羊皮紙を取り出して、ロウリィに渡す。
「ええとなになに……【ノア様がリンゴを試食なさってくれたおかげで、リンゴがめちゃくちゃ売れて大金持ちになりました!】 ……なんすかこれ?」
「街の人たちからのお礼の手紙ですわ!」
お、お礼だぁ!?
次の羊皮紙をナベリウスが読む。
「子供から。【神様のおかげで、おかあさんを自力で見つけることができました】その母親からだ【気弱だった息子があの日以来、自分で行動するようになりました。ノア様の叱咤激励のおかげです、ありがとう神さま!】」
あっるぇえええええええええええ!?
「なんか、悪行のつもりが、善行になってるっすね」
「いつも通りだな」
うんうん、とロウリィとナベ!
くそぉお!
「あ、あいつは!? ひ、ひったくり犯は!?」
「自首したそうですわ!」
「じ、自首ぅううう!?」
サラがうなずいて言う。
「ノア様が転移した先が、街の外だったそうですわ。そこで気づいたのです。ノア様の真意に!」
「し、真意って……」
「なぜひったくりを助長したのか……そう、それは自分で過ちに気づいて欲しいからの、あえての行動、だと!」
深読みしすぎだろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
「犯人は自首したそうですわ。そしてバッグの持ち主とお付き合いスタートしたそうです!」
「なーんでじゃあああああああああああああああああああああああああ!」
なんで!? ねえ悪行だったのに!? これ完璧に善行じゃーーーーーーん!
「さノ! ノア様の神とあがめるひとが、さらに増えましたわ!」
「「あーやっぱりねー……」」
納得するアニマルたち!
ちっくしょおぉおおおおおおおおおおお!
「どうしてこうなるんだよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
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