102.第七王子は虫の神と戦う
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無能王子コミカライズはじまります!
電撃大王(https://dengekidaioh.jp)様にて、
4/27連載スタート!
紙の雑誌です!
めっちゃかっこよく、可愛く書いてもらえました!
ぜひ買って、ノアたちの活躍を見ていただけますと幸いです!
大ダーク帝国の皇帝、ノア。
ノアの命を狙うものがいた。
天界。神々の住まう居場所にて。
何もない白い空間に、白髪の老人が立っている。
「バカな……ありえん……!」
神々のリーダー……主神が声を震わせる。
主神はついさっき起こったことを見て驚愕する。
「神の魔法を……人間ごときが再現しただと!?」
ノア・カーターが放った魔法。
それは神の奇跡を再現するもの。またの名を神域級魔法。
ノアは無自覚に神レベルの魔法を操っていたのだ。
「しかも……バカな。神を倒してしまうなど……!」
そう……。
ノアの帝国に現れたゴキブリ。
あれは神だったのだ。
正確に言えば、神の体の一部だったのだが。
それでも、倒せるものでは決して無かった。
「なぜ倒せるのだノア・カーター!」
と、そこへ……。
「落ち着いてくださいませ、主神さま」
「おお……アトラクよ!」
主神のそばに現れたのは、巨大な蜘蛛のばけものだ。
「虫神アトラク=ナクア、ここにはせ参じました」
この世界には無数の神が存在する。
日の神、水の神……など。
この世に存在するものは、神の模造品。
裏を返せば、神がいたからこそ、世界にそれがあるといえた。
水の神がいるから水があるのだ。
虫の神がいるから虫が存在する。
アトラクは無数に存在する神の一柱。
虫の原型ともいえる神。
「アトラクよ。ぬしの体の一部が、人間にやられたが」
主審にノア抹殺の命令を受けていたのだ。
「問題ございません。あれは本気ではありませんでした。地上に住まうサルごとき、わたくしめが瞬殺してまいりましょう」
「うむ。そうだ。殺せ。そして神に逆らったあやつめに、そして地上の人間達に教えてやるのだ。神の威光をな!」
「御意!」
アトラクは恭しくうなずいて、その場から消えるのだった。
「くくく……! ノア・カーター! 所詮は人間! 神には勝てぬのだ! わっはっはー!」
★
アトラクは地上へと降り立つ。
場所は帝都カーターの郊外にて。
「うげええ……! ロウリィ、でっけえ蜘蛛だぜ蜘蛛!」
黒髪の青年……ノア・カーターはアトラクを前に震えていた。
『ふぎゃー! 蜘蛛こわいぃ! いやー!』
「俺もいやー! 蜘蛛きもい! きもーい!」
ノアは白猫ロウリィを抱きかかえてガタガタとふるえる。
「くくく……! 神の威光を前におびえるか人間よぉ~……」
にやりと笑うアトラク。
やはり所詮は人間。神の前では無力というわけだ。
しかし一方で、そんなノアたちの様子をあきれたように見ている犬がいた。
『いや、虫神よ。たぶんこのバカは神におびえてるんじゃなくて、虫に』
『む? 貴様その声……ナベリウスか! 悪魔の!』
悪魔と神は古来より戦いあってきた。
当然ナベリウスは敵の素性を知っているし、逆もまた然り。
『おいノア様。神がきたぞ。どーすんだ?』
ナベリウスからの問いかけにノアがブルブルと震える。
「無理無理無理!」
『ふははは! やはりおびえてるではないか、神に!』
「蜘蛛むりぃいいいいいいいいいいいい!」
完全に戦意喪失しているノア。
そしてその様子を、ライブ中継で、大ダーク帝国の国民達を見ている。
ノアの婚約者であるサラディアスが、宮廷魔導師たちを使って作らせた魔道具【映写機】
城壁にとりつけられた映写機から、映し出された映像が、帝都カーター中に広まる。
帝都上空に出現した巨大なスクリーンに映し出されるのは、ノアが震える姿。
「そんな……!」「ノア様がおびえている!?」「あの完璧なノア様が!?」
信じられない……と帝都民たちが驚愕する。
ここで虫ごときにおびえるなんて……と失望しないのが帝都の民たち。
「相手はそれほどまでに凶悪な敵なんだ!」「ノア様がんばれー!」「ノア様ぁあああああああああ!」
……そんな風に応援されているなど(そもそも映写機すらしらない)つゆしらず、ノアは震えていた。
『ノア様たおして! あれ!』
「いやだよ! 蜘蛛とか触れない!」
『あんた腐っても国王でしょ!? 国民のために蜘蛛倒してよ!』
「国民なんて知るか! 俺は蜘蛛がきらいなんだよ! うぞうぞしててさぁ!」
一方でアトラクは、相手を完全になめきっていた。
神におびえる哀れなる人間、と思っている。
「さらばだ、神に逆らう愚かなる人間よ」
ぴた……とノアの震えが止まる。
「なに……? 貴様、今なんて言った……?」
先ほどまで無様をさらしていたノアが、急に正気を取り戻したのだ。
「おまえ……なんつったよ?」
『な、なんだ……このプレッシャーは……?』
ノアが急にやる気を出してきたのだ。
背後に黒いオーラのようなものを幻視する。
『か、神に逆らう愚かな人間、といったのだ!』
「はっ……! 神に逆らう愚かな人間……だとぉ……?」
ノアは内心でこう思った。
(かっこいー!)
と。
どこまでいっても心は厨二病。
神に逆らうと俺かっけー、と。
後世にも神に逆らった人間、と書かれれば、格も保てるというもの。
ノアは思った。
とりあえず逆らってみるかと。
とりあえず、てきとーに攻撃して、そしてやられようと。
そう、神に逆らえばかっこいい、と言う実にアホな理由でやる気を取り戻したのだ。
「失礼なやつだな……神だと?」
びしっ、とノアが自分を親指で差す。
「俺が、神だ」
その自信満々に言い放つ姿に、帝都民たちは、熱狂する。
「「「かーみ! かーみ! かーみ!」」」
一方でアトラクはノアが人が変わったみたいにやる気を出したことに戸惑うしかない。
『ふ、ふん! バカが! 死ね!』
「はっ! 教えてやろう……神に逆らったらどうなるかをなぁ……!」
『ノア様それまた敵のセリフっすよ!』
アトラクの命令で、世界中の虫たちがいっせいにノアに襲いかかってくる。
ノアは神の魔法……神域級魔法……。
ではなく、
「地獄の業火に焼かれて死ね!」
と無駄にかっこいいポーズを取って、手から火を放つ。
それは下級火属性魔法【火球】。
初心者の魔法使いなら、誰もが使えるような魔法……。
当然、神域級魔法ではないため、神を殺すことは不可能。
だが……。しかし。
ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
『ぐわぁああああああああああああああああああああああああああ!』
大量の虫、およびアトラクが、ノアの放った魔法によって大ダメージを負った。
「ば、バカな! あ、ありえん! 人間ごときの魔法で、神が傷つくなどぉ!」
ノアが驚愕の表情で叫ぶ。
『だからノア様、それあっち。あっちでのたうちまわってる、虫の神のセリフだから』
『ぐわぁああああああああああああああああああああああああ!』
火だるまになった虫神アトラクが地面を無様に転がる。
『貴様ぁ……! 何をしたぁ……!?』
「いや、俺もよくわからんが……」
その様子を見ている帝都民たち、発狂する。
「うぉおおおおおおおお!」「すげええええええええええ!」「さすが神!」「かーみ! かーみ!」
空気を震わせるほど神コール。
それを聞いて、ナベリウスが気づく。
『そうかわかった……ノア様。あんたは神だ!』
『ナベちゃんまでどうしたんすか、頭おかしくなったんすか……?』
違う! とナベリウスが首を振る。
『いいかよく聞け。驚くべき事だが……ノアは本当に神になったんだ』
『「はぁあああああああああああ!?」』
ノアおよびロウリィが驚愕する。
『神とは信仰心……つまり多くの人間の意識が作り出すものなのだ。神が居るから人間がいるのではない。人間が神が居ると信じているから神が居るのだ』
『つ、つまり……なんすか? 大ダーク帝国のひとたちが、ノア様を神だと強く思ってるから、いつの間にかノア様も神になっていた……と?』
『その通りだ。神になったのだから、神に攻撃が通る』
ノアは、自分がいつの間にか神にさせられていたことに驚愕する。
「うそだろぉ……!?」
そしてノアの放った魔法はつまり、神が放った魔法。
適当な火球の魔法が、一撃必殺の神の魔法だったのだ!
ノアは適当に反逆して、適当に負けようと思っていた……。
だが、適当に放った魔法で、倒してしまった……。
「「「さノ! さノ! さノぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」
帝都民たちの声で地面が……この星が揺れる。
「さノ! ノア様はやはりすごい!」「神を倒してしまうなんて!」「さすが神!」
「「「さーの! さーの! さーの!」」」
……さて。
いつの間にか本当に神にさせられていた、神はというと……。
もちろん……。
「どうしてこうなったぁあああああああああああああああああ!?」
【★お知らせ】
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