出会い 2
思いつきの見切り発車で歩行者よりも遅く走行しています。一日、一話投稿できればいいなくらいのスタンスでやっていきたいと思います。
顔を隠すように立っている男を見て、心臓が握り潰されるような痛みが走った。
なんとかそれに耐えて、逃げるように家族のもとへ歩く。
ドクドク、ドクドク、、、、、
まるで今も全力疾走をしているのではないかと思うほど、心臓が鳴り止まない。
父が、心配そうに声をかけてきたが、何を言っているのかよくわからなかった。
しばらくして、少し落ち着くともう一度あの男を見たいという欲求にかられて、再び玉座の方をチラリと見る。また、心臓がバクバクと忙しなく動き始める。
男の顔が頭から離れないまま、上の空でシモンとダンスを踊る。
それからは、気がついたら家に帰っていた。
「シャル、陛下にお会いしてから何だか変だよ?どうかした?」
シモンが、少しかがんで私の顔を覗き込む。
「そんなことないですわ。シモンお兄様。少し疲れてしまったみたいです。」
「そう?まあ、シャルは、初めてだったからね。疲れるのも無理はないよ。」
特に後ろめることなんてないけれど、心臓が苦しかったことを言うのは憚られて、誤魔化してしまった。
「もう、夜も遅いわ。トリスタン様もシリルもまだ帰ってこないだろうから、もう眠りなさい。」
今日は、体調不良で舞踏会を欠席した母のアリスが、簡素なワンピースに上着を羽織って、未だ玄関にいた私たちに話しかけてきた。
「お母様、もうお加減は大丈夫なのですか?横になられていたほうが、いいのでは?」
「もう、私は大丈夫よ。あなたは心配性ね。ふふっ。それよりも、シャル、デビュタントはどうだった?ちゃんと、楽しめたかしら?」
アリスの問いかけに少し戸惑って、答えようとすると、さっきの男の顔を思い出して、なぜだか顔が熱くなる気がした。
それを誤魔化すように、楽しめました。と、微笑みながら答える。
すると、何を感じたのかアリスは、どこか嬉しそうな顔をして、明日お昼が過ぎた頃にお茶をしましょう。と身内から見ても可愛らしい笑みで告げた。
なんで、嬉しそうだったのかわからないけれど、アリスとお茶をするのは久しぶりだったのでワクワクとした気分で、空気になっていたシモンとアリスにおやすみのキスをして、部屋に下がった。
湯浴みをして、寝る前のホットミルクを飲んでいると、侍女のマリーが何かききたげにこちらを見ていることに気づいた。
「どうしたの、マリー?何か聞きたいことがあるのかしら?」
少し、首を傾げて聞くと、マリーはゔっと何かに耐えるようにして、口を開く。
「僭越ながら、お嬢様。デビュタントで何かございましたか?王宮からお戻りになられてから、何だか上の空に感じられてしまって、、、もしかして、私に何か至らない点がございますか??それでしたら、なんなりとお申し付けください。お嬢様のご命令であるならば、このマリー、首をかき切る覚悟d」
「何言ってるの‼︎マリーに問題なんて何一つないわ!ただ、、、」
何だか物騒な言葉がマリーから聞こえた気がしたけれど、それを聞こえなかったことにして、話していいものかと考える。
「ただ、、?やはり、どうかなされたんですか???」
「あのね、デビュタントの挨拶で陛下のお側に寄ったとき、後ろに立っていた、あれは騎士の方かしら?その方を見てから、顔が頭から離れなくて、思い出すだけで何だかドキドキするの。何かの病かしら?」
「まあ!まあまあまあ‼︎それは、それは。お嬢様、病ではありませんわ。安心なさいませ。それでは、今夜はもうお休みください。失礼いたします。」
そう言って、マリーもアリスと同じようにどこか嬉しそうに、カップを持って部屋を出て行った。
「??マリーもお母様もなんで似たような顔をしていたのかしら?でも、病ではないのなら、一安心ね。明日、お母様に聞いてみましょう。」
そう決めて、長いような短いような一日に終わりを告げた。
その頃、部屋を出たマリー。
はぁ!お嬢様がもしかして、もしかしなくても恋を!?しかも、さっきのお嬢様の言い方からして、一目惚れ!このマリー、必ずやお嬢様のお役に立つと誓います‼︎そうと決めたら、まずは今いる使用人にこのことを伝えなくては!
次の日、レイヴァロワ家に仕える使用人全員に、シャルロットが恋をしたと言うことが伝わっていた。
レイヴァロワ家は、めちゃめちゃ美形揃いです。まあ、男性衆は、美醜逆転なので察してください。土下座。もうちょっと経ったら、人物紹介出したいと思います。シャルロットは、これでもかって言うくらい美人です。もう、びっくりするくらいに美人です。
お読みいただき、ありがとうございました。