出会い
初書きなので、お手柔らかにお願いします。
一目見た時から、目が離せなかった。その時から、あなたに囚われていた。
ー数分前ー
「どうしましょう、私とても緊張してきたわ」
ガタガタと揺れる馬車の中で、艶の中に未だ幼さを残す声でシャルロット=レイヴァロワ侯爵令嬢が同乗している侍女に話しかける。
「お嬢様が心配されることなんて、一つもございません!どうか自信をお持ちください。」
「そうは言っても、、、」
「いいえ!今日のために、カーテシーやダンスの練習を頑張ってこられたお嬢様を嘲笑うものなど、このマリーが許しません。」
「でも、、」
突如、馬車の前方からコンコンと音がした。
そろそろ、目的地に着くのだろう。
「お嬢様、今一度申し上げますが、絶対にお嬢様を貶めるような人間はいません。胸を張って、デビュタントをお楽しみください。」
「わ、分かったわ。やっぱり、侯爵令嬢たるものいつでも堂々としていなければ、お父様に迷惑がかかるものね。私、頑張るわ‼︎」
一年に一度行われる王宮主催の舞踏会。これは、ここルベルトワ王国の淑女の成人を祝うパーティーでもある。この国では、女子が16歳で成人するという、貴族特有の決まりがある。反対に、男子にはそのようなものはなく、ある程度成長し、その家の当主の判断で成人かどうかが決まる。
私、シャルロット=レイヴァロワは、16年前侯爵令嬢として姓を受けた。我がレイヴァロワ家は、代々宰相を輩出してきた名門といわれる歴史が長い家だ。現当主の父、トリスタンも宰相を務めている。
そんな家柄だからか、幼い時から勉強はもちろん、ダンスに刺繍、楽器などいろんなことを教わってきた。元々の頭がいいのか上限を知らずになんでも飲み込んでいった。だんだん、成長していくにつれて、才女と呼ばれるようになったのは露知らず。そんな私には、大きな欠点があった。それは、とてつもない恥ずかしがり屋で人見知りなことだ。けれども、侯爵令嬢。人前で簡単に弱みを見せることなんて許されない。けれど、それを見越してか、お父様やお母様は、私を無理やりお茶会やパーティーに連れていくことはなかった。
そして、今日。私は、デビュタントを迎える。
今まで、屋敷で家族とぬくぬく育ってきた私は、外に出たことが片手で足りてしまうほど少ない。
この舞踏会が近づくに連れてガチガチに緊張していく私をほぐそうとしたのか、お父様やお母様、お兄様たちまでも、心配して、行かなくていいと口を揃えて言った。そんな優しい家族のためにも、私はこの門をくぐる。
マリーと離れて、双子の兄の弟のシモンお兄様にエスコートしてもらう。先に到着していたお兄様が、腕を組む前に「綺麗だよ、シャル」とおっしゃってくださって、少しだけ自信を取り戻して微笑む。
王宮の舞踏会なだけあって、招待状がなければ入れない。会場の扉のよこに立っている初老の門番にそれを渡し、名前を読み上げてから入場する。門番が顔を赤らめていたのを横目で見て、少し首を傾げる。
入場すると、すでにパーティーを楽しんでいた大勢が息を呑みこちらを凝視する。私は、人見知りが発動してしまい、固まりかけたが、侯爵令嬢としての意地で足を前に動かす。シモンの腕をこれでもかと掴み、なんとか優雅に歩いているように振る舞った。
少しして、トリスタンとシモンの双子の兄、シリルと合流した。デビュタントは、国王陛下がいらっしゃるまで始まらない。なので、それまで家族で暫し会話をしていた。しばらくすると、国王陛下が現れ、開始が告げられる。爵位順に挨拶をする決まりになっており、侯爵家の私がトップバッターとして、陛下の目の前まで進む。散々練習したカーテシーを披露し、お声がかかるまで頭を下げて待つ。
「面をあげよ、シャルロット嬢。そなたとは、初めて会うな。あのトリスタンが外に出したがらない理由がよく分かる。今宵の宴を楽しまれよ。」
「ありがたきお言葉、感謝いたします。」
決められた言葉を返して、陛下の前を辞そうとする。その時、陛下の後ろに隠れるように立っている男から、目が離せなくなった。
私の運命が変わった瞬間だった。
お読みいただき、ありがとうございました。




