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小さな国のお話  作者: 夢良
13/14

練習試合 5

早く、練習試合を終わらせたい!!!!


「準々決勝1戦目。

 第一部隊副隊長テオドール=ヴェスタン 対 第二部隊所属アンリ=ロルシー」


第一部隊隊長のベルナール=ナンテイユが、よく通る低い声でそう告げる。


テオドールは、準々決勝からの出場のようだ。

どうやら、前回の優勝者というのはかなり優遇されるらしい。


先ほどまで目の前にいたはずだが、相手を前にしたからかとても勇ましく、凛々しい。

シャルロットは、テオドールから目が離せなくなる。


すると、

「きゃあああ!!!アンリ様よ!!!!」

「アンリ様!!!!!こっち向いて!!!!!」


王族専用席にまで聞こえる黄色い歓声。

テオドールに意識を奪われかけていたシャルロットですら、騒々しいと思えるほど聞こえてくる。


シャルロットは、何事かとテオドールから視線を外し、少し辺りを見回す。

 

「ロルシー殿はあいも変わらず人気者だなぁ。」


シリルが感心したように声に出す。


「??お兄様、あの方をご存知でいらっしゃるのですか?」


確か、アンリ=ロルシーという名はロルシー男爵の嫡男だったはずだ。

ロルシー男爵は、領地を持たない貴族で、確か元騎士だったと記憶している。

ルベルトワ王国は、国自体がとても小さく領地を持たない貴族は少なからずいる。

けれど、その生活はあまり平民と変わらず、裕福な商家と大差ないという。


シリルは、貴族としてアンリ=ロルシーを知っているというだけではないようだ。


「あのアンリ殿は、数年前に入団をしてから持ち前のあのルックスで、淑女たちの心を虜にしているんだよ。貴族だと言っても、男爵だし、ちょっと裕福なら平民とか貴族とか関係ないからね。それに、ヴェスタン卿とまではいかないけど、腕も立つ。」


それを聞いて、しっかりとアンリを見る。


(・・・?持ち前のルックス、、、?お兄様の方が全然、、、)


アンリは、シリルと同じ系統の顔をしていたが、シリルやシモンの方が贔屓目なしで、かっこいいと言える。

それに、大きな違いはアンリの纏う雰囲気だ。

何かこう、自信に満ち溢れているが、それは戦いに関するものではないような気がして、シャルロットの人見知りセンサーが反応する。

この男とは、あまり関わらない方がいいかもしれない。


そうこう考えているうちに、試合が始まる。


「両者構え!!!始め!!!!」


その合図とともに、二人が動き出す。









びっくりするほど早く試合が終わった。

勝ったのは、テオドール。

瞬きをする間に終わった。これがきっと瞬殺ということだろう。

会場全体がテオドールが勝つとは思わず、何が起こったのか分かっていない。

負けたアンリ当人ですらあまり、理解できていないようだった。


「勝者、第一部隊副隊長テオドール=ヴェスタン!」


隊長のベルナール=ナンテイユが当然とばかりに勝者を告げる。


(え、、?何が起こったのかしら?)


あまりの速さにハラハラどころではなかった。


「おお〜。さすがヴェスタン卿。こんなにあっさり終わるとは思わなかったけど、圧勝だね。これで、アンリ殿もしばらく大人しくなるかな。」


シリルが当然とばかりにテオドールを褒める。

だが、最後の言葉が引っかかる。


「お兄様、大人しくなるって?」


「あのアンリ殿は、あのルックスだから、ちょっと最近噂が絶えなくてさ。女性の。モテるからって調子に乗ってたんだよ。前回の練習試合も出てないから、ヴェスタン卿を舐めてたんだろうね。シャルも気をつけてね。あまり近づかない方がいい。」


「分かりました、お兄様。」


あんなにあっさり勝敗が決まるとは思っていなかったが、対戦相手を軽く見るなんて、騎士としてどうなのだろうか。

シャルロットの中でアンリの評価がどんどん下がっていく。


「今回も、ヴェスタン卿の優勝かな。シャルロットと約束もしたし。もし、負けたら、、、ははは」


なんだか語尾が不穏な気がしたが、いつも優しいシリルに限ってそんなことはないだろうと軽く流す。

だが、本当にテオドールが優勝してしまうと、他の女性に言い寄られてしまうのではないかと言う不安がいまだシャルロットの中に渦巻いている。


(さっきの一戦もとても洗練された動きですごく格好良かったわ///あんな殿方、普通、世の女性が放っておくはずないもの!!!やっぱり、私が強くならなければ!!!)


テオドールが他の子女からシャルロットのような思いを向けられることはない。

けれど、シャルロットには周りがあまり見えていなかった。



もう少しで終わるかな?早く二人っきりにしたいです。

次話は、テオドール目線です。


お読みいただき、ありがとうございました。

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