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万華鏡

作者: テマリ

青い空にのぼっていくシャボン玉はすごくキレイでした。


皆が頭上を通る何羽もの鳥の群れを見上げる隣で、私はガラス板に張り付いてぐにゃぐにゃと形を変えながらも、決して割れない透明なシャボン玉に夢中。


あれはゴムボールなのかな? なんて思うけど、鳥が当たると割れて分かれる。

シャボン玉でもゴムボールでもない、シャボン玉みたいなゴムボールみたいなものはどこから出てるんだろう?と、ガラスに張り付くとシャボン玉はもっと下から来てるみたい。

おじいちゃんとおばあちゃんはまだ空を見上げてる。

私は1人で坂道を下ってシャボン玉がどこから来てるの見に行くことにした。


坂道はまっすぐじなくてグルッと曲がってる。フワフワと浮き上がってくるくる回るシャボン玉はいつも私の右手のほうにある。


私はガラスの壁にくっつきながら坂道を降りてくと、お父さんくらいのおじさんおばさんがガラスの向こうで凧揚げのタコみたいな黒いのを眺めてる。

私にはゴミ袋にしか見えないし気にせず坂道を降りることにした。


くるくると回りながら降りると今度はお兄ちゃんくらいのカップルがデートなのかな? 2人でクレヨンみたいにキレイな魚をガラスに張り付いて見つめてる。

スーパーにあるじゃん? そんなことを思って私はまたキラキラしたシャボン玉を追いかける。


くるくるくるくると坂を下りると、坂道は終わってようやく平たい道になる。ここはどうやらガラス板の底の底。

ようやくたどり着いたと思ったら、ガラス板の向こうはキラキラと光る宝石みたいな小石と、くるくる回りながら空にあがるシャボン玉がたくさん。


キレイだなってガラス板に張り付いてシャボン玉がどこから来てるのか探すと、床にポッカリ空いた穴からポコポコって上がって来てた。


キレイだけど、って少しガッカリしながら見下ろしてると横に知らない男の子が来た。

その子は私の横で同じガッカリした顔で穴を見てたけど、しばらくすると急に顔がパァーっと明るくなって、なんだろって思って見てたら、彼はシャボン玉をずっと目で追ってた。

私も試しにシャボン玉を目で追ってみると、キラキラしたお魚にさっきのカップル、変な顔したマンタとおじさんおばさん、その上にはたくさんのペンギンとおじいちゃんとおばあちゃん。


青くて大きい私たちが眺めてるガラスの瓶には、空からたくさんの光とたくさんの色でぐるぐるとキラキラと光ってて、私と男の子はずっと、ずっと幸せにそれを眺めてました。

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