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後日談


 後日談。

 

 

 アタシたちはあの後、一段落したあと、神田先生たちが屋上にやってきて、事情を聞かれ、正直に話した。

 客観的に見ればサイコロジカル(狂った論理)がまかり通ってしまったような話だけど、とにかく正直に話した。

 

 まぁ、当然のように警察に連れていかれ、いろいろ話した。

 少年法にはギリギリ入っている年齢とはいえ、流石に少年院に送られることはなくて四人とも一安心。

 

 そして今。

 アタシはと言えば病院のお世話になっていた。利き腕をポッキリと折っから、そりゃあ病院に行く他なかった。

 これから数ヶ月ぐらいは難儀な生活を過ごしそうだ……。

 

 そして今、アタシの病室に来ているのは優華だ。

 他の二人は二人で、何か家の用事があるのだそうだ。まぁ……親の説教か何かかな?

 

 そして本題だ。

 

 「優華」

 

 「何?」

 

 「少し質問してもいいかな?」

 

 「いいよ」

 

 「じゃあまず一番気になるところ。アタシをいつからああさせようとしたの?」

 

 「ああ……って?」

 

 ……もしかして、優華は一部鈍感すぎる部分があるのかな?

 

 「分かってほしいなそれくらい。アタシを怒らせようとした算段はいつからしようとしたの?」

 

 「いつから……ぼんやりと考えていたのは最初だけど、本格的にしようと思ったのは電話してきたときかな。あのときに、怒らせる決意をした」

 

 「でもあのときってさ、アタシが虐められているのを他の人に言うなって電話なのにどうしてそう決意したの? 反逆的な?」

 

 「貴方……もう、千秋って呼んでもいいよね、さすがに。千秋が虐められているのを秘密にしているのが分かったし、だから実行した」

 

 アタシは少しむすーっとしながら話す。

 

 「でも他の人に言うなってことを守るどころか破壊して、解放して、学校全体に響かせた。これはどういうこと?」

 

 内心ニヤニヤとしながら、優華にごめんなさいを言わせるために姑息な手段を活用するアタシ。うん、アタシらしい気がする。

 

 「他の人に言うなっていったとき、私はいいよなんて了承はしてないよ?」

 

 「えっ?」

 

 「言ったのは、他の人に言うなってことを『知っている』って答えただけ」

 

 「……マジ?」

 

 「マジ」

 

 ホント?

 ホントにそう答えたのか疑わしい。

 これは8話の最後辺りの会話まで戻って真相を確かめるしか…………マジじゃん。

 

 「えー……ってことはアタシは勝手に約束を破られたと思っていたの?」

 

 「約束ってなんかあったっけ?」

 

 「むぅー、弱点無し人間はズルいよー。アタシみたいに弱点露出させた方が魅力的な人間になれるよ」

 

 そう言って、アタシは骨折してない方の左手を目元にもって横ピースサインちょきちょき。特に意味無し。

 そう言えば、

 

 「そう言えば、優華が言ってた質問があったよね?

 確か、眼が見えない人と付き合うにはどうすればいい? って質問」

 

 「……覚えてたの……」

 

 「あれってもしかして、好きな人がそういう障害を持っていて、それで付き合えるのかどうか聞いたってことかな?」

 

 優華は顔を赤らめる。

 間違いない。

 完全に、その人のことが好きなのだろう。

 まぁ、だから言っておちょくるわけがない――嘘だけど。

 

 「へぇ~完全無欠に振る舞っていたのに最後の最後にそういう可愛いところ見せるんだー。

 もしかしてあれかな? ギャップ萌えでも狙ってる?」

 

 顔に手を当てて、湯気でも出しそうなほどに真っ赤に顔が染まっている優華。

 意外と弱点はあるんだね、と内心安堵した。

 

 「まぁ、いいや。アタシが聞きたいのはどれだけ優華が暗躍しているかってたのか? そういう話」

 

 ……って、まだ手を当ててたよ。これはマジでその男のことが好きだね……。あっ、いや、もしかしたら女が好きかもしれないけどね。

 そう思っていたうちに、平静を装ったのか、冷静を戻したのか分からないけど、優華はいつもの表情に戻っていた。

 

 「私が暗躍? まぁ、暗躍と言えば暗躍か。全部知りたいの?」

 

 「当然。まずはあれだ。あのとき、屋上にアタシが入る前に明美と何をしていたの?」

 

 「一言で言えば約束をした。でもそういうことを聞きたいんじゃなくて、深い理由を知りたいんでしょ?」

 

 「うん、そうだね。例えば、明美をどつやって屋上まで呼び出せたか、とか」

 

 それは、アタシなりの疑問。明美があの時間から屋上にいたのは理解しよう。でも、どうして屋上まで呼びつけることができたのか?

 アタシにはそれが気がかりだ。

 今までまったく接点がなくて交わることもなかったのに、どうして二日でそこまで準備を可能としたのか、ホントに分からない。

 

 「簡単な話、明美と電話したの。そして、その電話の情報をくれたのは千秋の学級委員長の幾間さんからもらった。彼は事情を知ってたからね」

 

 「……なるほど。明美はアタシと同じクラスではあったから、第三者からでも簡単に情報が得られたのか……」

 

 しかも幾間くんが関わっていたのか。

 何もするなとは言ったけど、それでも彼は動いたってことか。

 とてもじゃないけど、根の弱い人間なら、信念なき人間であればできない。

 幾間くんの偽善的行動は、それでも偽善ではなく、本心からの行動だったってことかな。

 

 「話進めていい?」

 

 「どーぞ」

 

 「そして電話で明美に時間指定して呼び出した。

 『明日の朝、決着をつけて貴方が勝てば私に何してもいい。その代わり私が勝てば、私と友達に、そして千秋とも友達になるように』って言った。あとは大体分かる?」

 

 「まぁ……ね。分かるよ」

 

 それならあとは簡単だ。屋上の鍵の問題などは適当な理由でごまかしが効く。それは周知の事実と言えるほどのもの。

 そしてスピーカーを持ってきたのは家からか、もしくは学校の物を一時的にくすねたか。深いとこまで詮索する話ではない。

 そして、明美の電話番号も知れているなら、

 

 「天ちゃん家の電話番号も手入れられる……か」

 

 「ん? 何か言った?」

 

 「いや、独り言」

 

 なるほどね。

 実際話して見れば、案外アタシでも問題なく立ち回れるな。

 

 「そう言えば……今さらだけど……」

 

 「ん?」

 

 「腕折ってごめんね。私がもっと速く気づいてればこんなことにはならなかったのに」

 

 「いや。いやいや。

 あれが優華のせいなわけないじゃん。自分が、アタシが好きで腕折ったんだよ。別にいいでしょ、そこは? アタシの勝手だし」

 

 「まぁ、そうね」

 

 それでも心配するのが普通の人間だけどね、と。そう皮肉を口にしたかったけど、さすがに無理だ。もう片方の手が折れる未来が見える(可能性1%未満)。

 

 まぁ、どうでもいいや。

 これでアタシはホントの自分というものを見つけた気がする。

 今までのはまやかしのような、こじつけのような性格だったけど、今の正直な気持ちを出しているアタシこそがアタシなんだと実感する。

 

 アタシはアタシで、アタシ以外ではない。

 それは永遠と変わらない。

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