第五話 王宮にて③
固有能力 ◆碧氷の勇者宝城サイド
本当に、困ったわ。自分の番が終わった後、次々と表示されていくクラスメイトのステータスを見ながら、何こうなったのかを考えた。私は、ただ普通に登校しただけなのに、それに自分たちが大変だからって、私たちを勝手に呼び出して帰す方法がわからないなんて最悪だわ。
ちょうど全員のステータスの確認が終わったようで、王様が口を開いた。
「勇者の皆様、すべての方がレベル1で我が騎士団と対等かそれ以上の力を持つとはすばらしい」
「ほっ本当ですか」
「ええ、勇者様、普通の人のステータスは30前後が平均ですので、本当に素晴らしいです」
「あ、あの、僕はまだしてないんですが」
「おお、これは、申し訳ない勇者様。どうぞ、確認してくだされ」
相変わらず、影の薄い幼馴染の葵が水晶に触れると、
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名前/非道葵
レベル/1
種族/人間族
職業/無職
スキル/偽装Lv.1 気配隠蔽Lv.7 交渉術Lv.2 鑑定Lv.5
固有能力/正体不明
【?????】【?????】
【?????】【?????】
【?????】【?????】
【?????】【?????】
【?????】...etc.
言語理解
特殊能力/
称号/葵無の勇者 異世界人
筋力5
体力22
魔力4
敏捷3
防御6
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あれ、普通の人でもステータスは平均30ぐらいあるんじゃなかったかしら。王様も、周りの騎士も、女神様でさえ口を半開きにして、呆然としている。
葵のほうは、・・・ガックリと肩を落としているわね。ちょっと可哀想だわ。ちょっと何だからね。
「あなたは、何者ですか。なぜ、あなたには私の加護がないのですか。異世界に召喚するときに全員につくはずのですのに…」
「め、女神様これはいったいどういうことでしょうか。ステータスは普通以下、固有能力はありますが正体不明ときている。おまけにあなた様の加護がないとは」
「私にもわかりません。・・・もしや、あなたは魔王の刺客ですか?」
おお、それならあり得ますな。勇者の情報を得ようとする魔王の刺客といううのであれば、偽装や気配隠蔽を持っているのも」
「まっ待て下さい。僕は決して魔王の刺客ではありません」
「魔王の刺客が、素直に魔王の刺客というものか。おい、その者を捕らえよ」
「は、放してください」
葵は必死に抵抗するが、普通以下のステータスでは鍛え上げられた騎士たちに敵わず連れていかれる。
「ま、待ってください。非道君は、魔王の手下じゃ『勇者様!!』
「勇者様、魔王の刺客には化けるのが得意な魔物がいます。その可能性がないと断言できるまでは、非道様には申し訳ないがおとなしくしていてもらいますぞ。もちろん、その可能性がないと断言できれば解放します」
これは、また一層大変なことになったわね。どうしようかしら。
ケータイでこの作品を御覧の方は、ステータスが見にくいと思うので下記に。
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名前/非道葵
レベル/1
種族/人間族
職業/商人
スキル/偽装Lv.1 気配隠蔽Lv.7 交渉術Lv.1
鑑定Lv.5
固有能力/正体不明
【?????】【?????】
【?????】【?????】
【?????】【?????】
【?????】【?????】
【?????】...etc.
言語理解
特殊能力/
称号/葵無の勇者 異世界人
筋力5
体力22
魔力4
敏捷3
防御6
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次回は、いよいよ主人公が拷問されまくります。残酷な描写が苦手な人は、あまりお勧めできませんが、それが大好きな方は楽しみにしていてください。
※注意:この作品の投稿は不規則なので、そこはご了承ください。