第5話 禍々しい黒いゴブリン
どうぞ!ご覧下さい!
っく!脇腹が痛いが、我慢できないほどではない。こいつは俺が見た中で一番強い魔物だ。戦わないとこちらがやられてしまう。そんなのやるしかないだろう。来て早々死ぬわけにはいかん!
「っぐ!お前みたいなやつにあっちまうなんて、運が悪いぜ」
俺が戦って勝てるかどうか分からないが、やらなければならない。魔法で抵抗するか。火魔法だ!
「炎よ、ファイアーボール!」
『プゴゴゴォォオ!』
くそ、ダメだったか、いけると思ったんだがな。まさか右手でかき消されるとは思っても見なかったぞ。新しい使えそうな魔法でもやってみるか。考えるよりまず行動だ!って、ん?頭に文字が浮かんできたぞ。
「炎の精霊よ、我が手に炎よ、集い来たれ、敵を貫け、炎射矢」
呪文を唱えたと同時に後方から炎の矢が数十本、ピンク色のオークに突き刺さる。少し外したが、30本は軽く刺さっている。ピンクオークは炎の矢が刺さり苦しもがいている。炎の矢がピンクオークの皮膚を焼く。
『プゴゴゴォォ!プゴォォオ!?』
「どうだ!さぞ痛いだろう?俺を攻撃した当然のむくいだ!死ねぇえ!」
『ブゴゴォォォオオオ!!!』
「あはっ!?ううぅ…ごぼぉ」
なんてタフなんだ!?あんな量の矢が降りかかったと言うのに、まだやる気か?くそが完璧に油断した…口から血が出てきたじゃねーか!喉から血がわきでてきてるようだ。いい加減にくたばれや!!!
「炎射矢!炎射矢!!炎射矢!!!炎射矢!!!!炎射矢!!!!!」
『プゴォオ!?プゴォ…』
ピンクオークに150本もの炎の矢が降り注ぐ。まるで針ネズミのように体中、炎の矢が突き刺さっている。
ふはははは!!どうだ見たか?必殺!魔法連発!!MPがたくさんあるから、少し使っただけじゃ、魔力切れしないんだよ!もっと連発してやろうかぁ~?まだやるか?
「どうやら、やっと死んだか!お?なんか体が軽くなった気がするぞ?気のせいか?あ!レベルアップかもしれないぞ!」
【レン・カンザキ】
職業:Fランク冒険者
種族:人族
状態(普通)
レベル 13
HP:7400/7400
MP:2600600/2600600
攻撃力:500
防御力:950
生命力:700000
素早さ:500
幸運:212
適応力:300000
スキル
『威圧 LvMAX』『剣技lv1』『麻痺耐性lv1』『痛覚軽減lv1』『気配探知lv1』
魔法
『火魔法lv2』『水魔法lv1』
能力
〈ゼウスの加護〉
称号
〈恐れられし者〉〈威圧者〉〈絶対的脅威〉〈異世界人〉〈駆け出しの魔法使い〉〈駆け出しの剣士〉
やっぱりレベルが一気に上がってたな。こんなに強い魔物を倒したのだから普通なのか。相変わらず生命力と適応力は上がってないようだ。ステータスに魔法の欄が増えている。称号も増えてるし。
さてと、このオークを入れやすいように切り分けてと、よしすでに普通のオークは二匹倒してある。恐らくこのピンクのオークはカウントされなさそうだしな。早く五匹見つけて帰ろう。
歩いているんだが見つからないな~ってオークの群れらしきもの発見!何匹いるんだ?一二三四五…10匹か…。あのオーク倒してからなら、こんなの楽勝だ。
「おっりゃ!ふらぁ!うぉお!!どっこっいしょっ!!!」
次から次へとオークが蓮に突っ込んでいく。だが蓮の火魔法や剣で倒されていく。三匹ほど危険を察知して逃げ出したが、残念。神埼蓮の素早さはオークより上だった。残りの三匹も剣で切り捨てた。
「オークってこんなに弱かったっけ?いや、俺が強くなったのか。これを買い取ってもらったら、金が増えるぞ」
よしよし、もっといねぇーか?オークは一匹銀貨1枚だからな。これで金貨1枚くらいか。銅貨10枚で銀貨1枚。銀貨が10枚で金貨1枚だからな。依頼より多くオークが狩れたのは嬉しい誤算だな。
「さて帰るか……ん!?」
俺はすぐ後ろに殺気を出している魔物に気付いた。そこで俺は後ろを振り向いた、だがその時には左腕に凄い痛みを感じた。左腕を見てみると、そこにあるはずの左腕が無かった。その瞬間俺は、軽いパニック症状にみまわれた。でも痛覚軽減があったおかげで痛みは少しだけ軽減されている。だが、自分の左腕が無くなったことに精神的にきている。左肩を右手でぐっと押さえて、敵が居る方向を見た。そこには一匹の魔物がいた。そう、ゴブリンだ。いや、ゴブリンと言って良いのか分からない。
「ゴ、ゴブリン、か?…」
体の大きさや形は緑色のゴブリンと同じだ。だがそのゴブリンは緑色ではなく、濃い赤色と闇のような黒。それが混じりあったような色をしている。ゴブリンは禍々しいオーラを放っている。そのゴブリンの右手には黒い剣が握られている。その剣からは闇のようなオーラが出ていた。そして黒いゴブリンはニヤリと不気味な笑みを浮かべた…。
ゴブリンは剣を構え、何時でも戦闘をできるようにしている。
『プギィ?ププププ!ブギィャ!』
「おっと!あっぶねぇ。首持ってかれそうになったぜ」
本能が逃げろと言っている。戦うな、と。体から冷や汗がぶぁっと出てくる。さっき気付いたんだが、左腕が生えている。さっきまで無かったはずの左腕が回復していた。回復魔法は使ったことがないから、魔法での回復はまだやっていない。ステータスを見る限り、生命力と言うのが関わっているのだろう。平均値の何倍だ?
「じゃあな!お前の相手なんてごめんだわ!」
『プギ?プギャァァア!!!』
「ついてくんな!やめて、やめて!って!は、はっえぇ~!?」
『プギギギギ!!プギャプギャ!』
「全力で走ってやるからな!おっさき~!」
『プギャ!?』
隣まで来ていたゴブリンがどんどん見えなくなっていく。恐らく素早さで上回っていた。
「もう、追ってこないな、びびったぁ~。さっさと王国まで帰ろう」
「おっ?帰ってきたか。どうだったレン?依頼は上手くいったか?」
「オークちゃんと倒してきましたよ。今からギルドに行くんですよ」
「そうか、依頼を受けるのは良いが、最近は上位種が目撃されているらしいからお前も気を付けるんだぞ」
「あぁ~はい…」
ここで倒したピンクオークを見せると目立ってしまう。ギルドの買い取りの人にこっそりと売るとしよう。
「レンさん、早いですね?もう帰ってきたんですか?それじゃあオークの部位を7匹をここに置いてください」
「一応オークの首7匹分、置きますね」
「はい、確認できました。それでは依頼報酬、銀貨8枚です」
「はい」
よし、依頼はこなした後は買い取りをしてもらうだけだな。いや、でも上位種の発見は伝えた方がいいのか?あんなのがまだいたら、初心者ならすぐ殺されるだろう。やはり報告しよう。
「あの、オークを狩っていたときに、ピンク色のオークを見つけたんですけど。上位種なんですかね?森に入ってから少したったところにいました。」
「ピンク色のオーク?ピンク?確か調査隊の報告には複数の上位種や変異種などが発見されたそうですけど、報告に…あっ!ありました!確かにそのオークは上位種で間違いないでしょう。そのオークの名はキングオークですね。普通のオークより何倍も強いです。レンさん?キングオークを見つけたんですか?それも森に入ってすぐの場所で見つけたんですか?」
「そうです。でもそのキングオー「それはまずいですね。あの付近はF~Dランクの冒険者が多く行っているので。B~Aの冒険者パーティーを緊急に呼び出しましょう。このままでは被害が拡大してしまいます」
「あの、俺が見つけたキングオーク?は一応倒しときましたから」
「それでB~A冒険者を……へ?倒した?」
「はい、倒しときました」
あ…受付のお姉さんが口を鯉みたいにパクパクさせてる。嘘でしょ?見たいな顔してるよ。
「そう言う嘘は言わなくて大丈夫です。上位種のキングオークから逃げ帰ってきたと言えば良いのに、強がって倒したなんて。笑っちゃいましたよ」
「本当に倒しましたよ?」
「じゃあ、討伐したって言う証拠!証拠見せてくださいよ!皆!レンさんが上位種のキングオークを倒してきたらしいですよぉ~?ほら見せてくださいよ」
この人こんな人だったんだ。知らなかった……少しがっかりだ。それに周りの目線が痛い。目立っちゃってんじゃんかよ。見せてやれば黙るだろ。
「はい、これです。少し焦げてますけど」
そこで俺はリュックに入れていたキングオークを丸々出した
「え?嘘でしょ?いやでも、キングオークはB.Aの力がある魔物なのに。流石に倒すなんて…」
かなり、おどおどしている受付のお姉さん。おどおどしているのが実に可愛らしい。周りから次々と声が上がる。
「お、おい!マジで倒したって言うのか?」
「あれって上位種なんでしょ?あんなちっこい子が勝てるわけないじゃない」
「みんな、普通に考えたら分かるだろ?インチキしたに決まってんだろ!」
「そうだそうだ!」
かなり評判が落ちてしまったな。まあいい。気にしないでおこう。
「信じなくても結構ですよ」
まあ放置しておけば皆もすぐに忘れるだろ。
「あのこれ、買い取ってもらえますか?」
「おう!坊主、どれどれ、ん?これはキングオークじゃねーか!狩ってきたのか?」
「はい、そうです。どうですか?幾らくらいになりますか?」
「そうだなぁ……金貨2枚ってとこだろ。キングオークの素材は防具にも使われるんだよ」
そうなのか、金貨2枚も手に入れちゃったぞ?やべー旨いもん食いまくるぞ!今日も『満腹眠る羊亭』に行くとするか。あそこの飯は旨いからな!あぁ~楽しみだ!いやでも少し、ギルドで目立ちすぎてしまったか?
まっ!いっか!
読んで頂きありがとうございます
次話お楽しみに!!