3話「訳も分からず村を救う」
草原を走る1匹と4人
だが様子がおかしい
遥か遠くに見える街は夜中だと言うのに明るいのだ
それは街明かりというよりは何か燃えているような明かり
「あれちょっと街燃えてない?」
「なんだと!?」
明かりは最初街を見つけた時よりも明るくなっていっている
炎が街に広がっているように見える
いや、燃え広がっているのだ
「急ぐぞ!!!手遅れになる前に街を助けるのだ!!!」
「え!?街助けるとかそんなことするの!?」
「当たり前だ!困っている人々を放っておく事など出来ん!」
「今現状私が一番困ってるんですけどぉ!?」
そんな言葉を無視し更に速度を上げ街へと向かう1匹と4人
そして辿り付いた先には燃え盛る街があった
街と言うには小さすぎる規模
村と言うべきだろうか?
いくつもの家が燃え村からは悲鳴のような声が聞こえる
そしてその悲鳴を楽しむかのように松明を持った者達が走り回る
「夜襲か!」
「私達が止めるしか無い!!!」
「いや止めるって私達も盗賊とかから逃げてたんじゃないの!?」
「それとこれと話は別だ!」
「別じゃ無い気がするんですけどぉ!?」
女子代表の言葉を更に無視しブルーピゴミンとレッドピゴミンが村の中へ走っていく
それを追い勝手にシニユクサダメ号が動き出す
「あ!こら!ちょっと危ないから中入ったら!」
「ピッゴォ!」
「え?何?何言ってるの!?」
イエローピゴミンが突然目の前に立ちシニユクサダメ号を静止させる
そして腕を天に掲げ何かを伝えようとしている
「え?これ?」
そう言い手に持っている剣を指差す女子代表
それを肯定するかのようにブンブンと勢い良く首を縦に振るイエローピゴミン
「これを上に掲げろって?」
「ピッゴォ!」
「よくわからないけどそうすればいいのね?」
「ピッゴォ!!!」
「よくわからないけどこうすればいいんだよね!?」
そう言い剣を天に掲げる
「ついでにスイッチ押しちゃえ!」
そう言いスイッチを押すと突然剣が金色に輝き始めた
「あ!これヤバイやつだ!」
すると剣がとても片手では持てないほど大きな大剣へと姿を変えた
「うわ!でかい!おも・・・くない!?」
だがその大きさからは考えられない程の軽さをしている
「ピッゴォ!」
これで良いと言わんばかりにイエローピゴミンがぴょんぴょんと飛び跳ねる
そして村を指差し一言
「ピッゴォ!」
それはまるでさあ行って来いと言っているかのようだった
その言葉と同時にシニユクサダメ号が再び動き出す
「私もこれ戦う流れなんですけどぉ!?」
そう言い村の中へ消えていく女子代表
「な、なんだありゃぁ!?」
村の中へ入ると盗賊らしき者達が女子代表の姿を見て声を上げる
「魔獣を引き連れた勇者か!?」
「もう来やがったのか!?」
「くそったれ!怯むな!全員で囲めばあれくらいの魔獣ならどうにでもなる!!!」
「よくわからないけどめっちゃ狙われてるんだけど!?」
「青いのと赤いのだけじゃなくて魔獣まで来やがったのか!?」
「上だ!上の女を狙え!」
そう言い盗賊達は弓を構えシニユクサダメ号目掛け放ち始める
「弓とか遠距離攻撃卑怯過ぎじゃない!?」
だがシニユクサダメ号の無数の腕が矢を弾きその身を使い女子代表を守る
「た、助かってる!?こ、こうなったらヤケだよもう!」
「やられっぱなしなんて癪に障るしやっちゃえ!ぶっ飛ばしちゃえ!」
そう言い勢い任せに大剣を天に掲げる
「ギオオオオオオ!!!」
するとシニユクサダメ号は咆哮を上げ凄まじい速度で走り始める
そして次々と盗賊達を轢き飛ばしていく
「ぐあああ!?」
「怯むな!相手は魔獣一匹だ!」
「上の女さえどうにかすれば魔獣は制御出来ないはずだ!」
再び盗賊達は弓を次々と放ってくる
「弓が!弓がヤバイんだけど!」
「どうにかならんの!?こう!?」
そう言い再び剣を天に掲げスイッチを押す
するとシニユクサダメ号全体を包むかのような障壁が展開される
「うわ!バリアとかチートやん!」
「魔力障壁だと!?」
「くそ!怯むな!全員突撃だー!」
弓が効かないと分かると死ぬ覚悟で盗賊達は剣を持ち突撃してくる
「こっち来ないでマジで!危ないからホント!」
そう言い剣をブンブンと振り回す女子代表
その剣からは斬撃にも似た衝撃波が放たれ盗賊達を吹き飛ばす
「ごめん!まじごめん!でもこれこっちもヤバイからマジで!」
「これが勇者の力かぁ!!!」
「引き上げるぞ!この村はもうだめだ!」
そう言い散り散りに逃げていく盗賊
だがそれを許さない者がいる
「逃がすと思うか!悪はこの俺が許さん!!!」
「な、なんだお前は!?」
「俺はバーニングレッドピゴミン!悪を許さない者だ!!!」
「勇者がまだいやがるのか!?」
「勇者などではない・・・困っている人を助けたいだけの男だ!!!」
そう叫ぶと散り散りに逃げていく盗賊達を追い次々と殴り蹴り吹き飛ばしていく
「ちょ、ちょっとやりすぎたら死んじゃうから!殺すのはやばいって!警察に捕まるから!」
「問答無用だ!!!」
「てか青いのどこいったの!?」
「あいつは村の火を消している!!!」
「一番まともだ!!!」
遠くの方を見ると次々と村の火が消えていっている
「なんか知らないけどマジで村助けたっぽいんだけど・・・」
それから数十分が経った頃には村の火は完全に消え盗賊も捕まえた分は拘束されていた
「これでこの村は一安心だな!」
「なんか更に疲れたんですけど・・・」
「一仕事終えたと言ったところだな」
そんな会話をすると隠れていた村人達が次々と出てきた
「おおぉ・・・なんとお礼をしたら良い事か・・・」
「勇者様じゃ勇者様が救いになられたぞ!」
「いえ!俺たちは当たり前の事をしたまでだ!」
「もう少し早く到着していれば犠牲を減らせたのだが・・・」
「これだけの村人が生き残れたのです、それだけで我々は十分幸運だ」
一体どれだけ隠れていたのかそしてどれだけが犠牲になったのか
見た所50人いるかいないかと言った所か
「お礼をすると言うのなら情報を分けてくれないか?」
そう言いブルーピゴミンが前に出る
「私達はこの場所この国の事を何も知らないのだ」
「ここは一体どこの村なんだ?」
「それならば立ち話もあれですので燃えてない家に行きお話しましょう」
「すまない、助かる」
そう言い村人に付いていくブルーピゴミン
「あ、私も色々知りたい」
「ならば俺はシニユクサダメ号の手入れをしていよう!」
よく見るとシニユクサダメ号の身体のあちこちには矢が刺さっていたり切り傷がある
「あ、なんかごめんね?守ってくれてありがとう・・・・」
「ギオオオオオオ!」
感謝が伝わっているかは分からないがシニユクサダメ号は咆哮を上げる
そしてレッドピゴミンとシニユクサダメ号を置きブルーピゴミンへと付いていく
・・・・
村人の話によるとこの国はヴァルキリー中立国という場所らしい
そしてこの国を囲むように4つの国があるという
北には魔術国家ファントム
東には魔族国ヘル
西には機械帝国マーシア
南には半人国フィース
この4つの国にはそれぞれその名の通り
ファントムには魔術を得意とする魔人という種族が多く住んでいる
魔人というのは人間と姿形はまるで同じだが魔力を使うことの出来る種族だ
簡単に言えば魔法使いの国らしい
知能が高くあまり戦闘などを好まない種族だが防衛などの戦いではかなりの戦闘力を誇るという
そして東の魔族国ヘル
この国はその名の通り魔族と呼ばれる種族が多く住んでいる
人ならざる者の形をした種族だ
代表的なものを上げるとゴブリンやオーク
そして巨大なものではドラゴンなども生息している
法などがほとんど無く野蛮な魔族が救う危険な国と噂されている
西の機械帝国マーシアは生きた者の人口は国全体の10%にも満たない程と言う
ほぼ全ての者がアンドロイドという機人だという
他の国とは違い科学力に優れ皆肉体を捨て機械の身体を手にしたという
自国はほぼ全て開拓済みで新たな資源を求め他国への侵略を一番良く行う国らしく
北とファントムと南のフィースとは常に戦争状態と言う
だが近年とある理由で侵略活動を休止しているという
これは後で詳しく話すとしよう
そして最後の半人国フィース
この国は様々な種族のハイブリッドが独自に進化を遂げ国を創り上げたと言う
だが様々な種族が入り乱れるという事は内乱などが多く発生しやすいということでもある
他種族同士の争いは絶え間なく続き最終的には二つの勢力に別れた
魔王と呼ばれる者が率いる魔王軍
そして百鬼王と呼ばれる者が率いる百鬼夜行軍
この二つの勢力が国を奪い合い争いを続けているという
他の種族はこの二つのどちらかの傘下へと下り争いを続けているとか
だが風のうわさでは魔王軍の長と百鬼夜行軍の長が和解しフィースは一つにまとまり始めているという
そしてこの中立国ヴァルキリー
この国には戦闘などを好まない非戦闘種族が多く集まる平和を象徴とする国だ
嘗ては4つの国がこのヴァルキリーを巡り争いを繰り広げていたがある日を堺にその戦いは終わった
戦いが終わった理由
それは救世神と呼ばれる者の降臨だという
国を貶める、侵略するような心を持つ者を拒絶する神の結界をヴァルキリー全体を包むように展開した
そして争いを好まない種族を集めこのヴァルキリーを平和の国として創り上げた
その結界を展開する黄金剣が国の中心付近に設置されているらしい
「待ってくれ、では何故この村は夜襲を受けていた?」
「あ、それ私も思った」
村人が話している途中二人が疑問をぶつける
「それはですね・・・」
つい最近になりその黄金剣が何者かにより引き抜かれたという
その黄金剣は触れることを許さない結界を張っている
黄金剣に触れようとするものは神罰の雷に打たれ瀕死に追いやられるという
故に誰も触れる事が出来ない
そのはずだった
しかし黄金剣は引き抜かれてしまった
そして黄金剣を失ったヴァルキリーは神の結界を失ってしまったと言う
表面上では中立国を侵略してはならないという暗黙のルールに4つの国は従っているがいつまた戦争が始まるかわからない状況だという
「この国もしかして滅ぶ寸前?」
「滅多なことを言うな、その剣の行方は誰も知らないのか?」
「剣を抜いたところを見た者は誰もいないらしい・・・」
「なるほど」
「あ、もう一個気になったんだけどさっき言ってた勇者ってなに?」
女子代表が再び村人へ疑問をぶつける
「あ、そのことはですね」
勇者とは数十年前に設立された街や村の安全を脅かす脅威を排除する組織のようなものらしい
この5つの国内で内乱など様々な事が起きる事が多々ある
それに対処するために勇者組織というものに登録された者たちがその脅威を排除するために戦うという
簡単に言えば警察のようなものだ
勇者組織に登録されたものはその腕にブレスレットのようなものを付けているという
ランクが1~5までありランク1は伝説と言われる勇者で知らぬ者はいないほど有名だと言う
ランク5は戦えるほどの戦闘力は無く困った街の人達のお手伝いやお助けなどをする程度だという
依頼を達成すれば報酬が出るらしくそれを糧に生きている者もいるらしい
この勇者組織には5つの国様々な種族の者が所属している
それが故にマーシアの侵略は止まったという
マーシアの侵略にマーシアの者が駆り出されては同志で戦うことになってしまうことになるのだ
「なるほど、それで勇者って言ってたのね」
「だが私達はその勇者というものではない、ただの旅人さ」
「旅の者に救っていただいてしまうとは情けない限りですね・・・」
「ここは平和を象徴とした国なのだろう?ならば仕方なのない事だ」
「うんうん、私もそう思う」
「気になる事があるのですが良いですか?」
唐突に村人が二人に問いかける
「なんだ?」
「ヴァルキリーにはこのように登録された者しか入れないのですよ」
そう言い首についている輪を指差す
「なんだそれは?」
「このように首や腕などに登録証のリングの着用を義務付けられているのです」
「お二人にはそのリングが無いように見えるのですが・・・」
「私ここに突然来たから何もわからないんだけどどういうこと?」
「つまり私達は不法入国者という扱いになるわけだな」
「それヤバいやつじゃん?」
「そうですね、勇者組織の者達に見つかれば疑いをかけられても逃れることは難しいかと・・・」
「ならばここも早急に立ち去る方が良さそうだな」
「また移動ー?」
「仕方ないだろう?ここにいても村人の方々に迷惑をかけてしまうだけだ」
「いえいえそんなことは・・・」
ブルーピゴミンは立ち上がり村人へ頭を下げる
「情報提供に感謝する、最後に聞きたい事があるのだがいいか?」
「なんでしょう?」
「ヴァルキリー中心街はどっちに進めば付くのだ?」
「ここは最も東の村ですので方角的には西にまっすぐ進めばいずれ付くと思いますよ」
「ありがとう、さあリーダー行くぞ」
「ちょ、ちょっとくらい休んでも!」
「シニユクサダメ号の上で寝れば問題ないだろう」
そう言いブルーピゴミンは外へ出ていく
それを追いかけるように女子代表も後に続く
・・・・
「さあこれで終わりだ!痛かったろう!だがこれで安心だ!」
「ギオオオオオオ!」
「待たせたな!」
「おまたー」
「おお!兄弟!それにリーダー!」
「そのリーダーって定着しちゃうの?」
シニユクサダメ号のメンテナンスを終えた頃にブルーピゴミンと女子代表は家から出てきた
「見よ!この美しきボディ!傷一つなくなったぞ!」
「え、治るの早くね?」
「この俺のマッスル消毒があれば一瞬だ!」
「あ!消毒で思い出した!」
唐突に女子代表が声を上げる
「どうしたリーダー!?」
「私も身体傷だらけのような気がする!なんかもう痛くないけど!」
「足の裏とかマジヤバイ気がする!」
そう言いシニユクサダメ号に座り靴を脱ぎ黒いニーソを脱ぐ
「これが女子高生の生足!!!」
「過激すぎる!!!」
無言で剣を振り上げる女子代表
「待ってくれ、無言で剣を振り上げるのはやめてくれ」
「そ、そうだぞ、少し怖い気がする」
剣を下ろすと女子代表は足の裏を見る
「あれ?傷一つ無い美しい足になってる!」
「さすがはリーダー!凄まじい治癒力!」
「いや普通に人間だから!」
ニーソと靴を履き直し首を傾げる
「いつ治ったん・・・?」
そんなことを疑問に思っていると背後から突然声をかけられた
「そこのお前ら止まれ!」
「は、はい!?」
突然声をかけられ驚き後ろを振り向く女子代表
するとそこには絶対にここの村人とは思えない人物が立っていた
紅く長い美しい髪
そして身体の至る所に機械の部品のようなものがくっついている
とてもその身体は生身とは思えない作りだ
「何奴!?」
「何者だ!」
ブルーピゴミンとレッドピゴミンが女子代表を守るように立ちはだかる
「それはこちらのセリフだ、と言いたいところだが名乗ってやる」
「私はマーシア所属の勇者組織ランク2リリエル・エビルマリアだ」
「り?今なんて言ったん?」
「リリエル・エビルマリアと言ったらしい!」
「さて、そちらも名乗って貰おうか」
そう言い女子代表達を指差すエビルマリア
「俺の名はバーニングレッドピゴミン!!!」
「そして私はハイドロブルーピゴミン!!!」
「「そしてこの御方は近隣住民女子代表だ!!!」」
「いや普通に名乗らせて欲しいんだけど・・・」
3人の名乗りを聞きしばらく呆けているエビルマリアだが咳払いをすると3人に問い始める
「見たところお前ら全員ヴァルキリー住民未登録に見えるが不法入国者か?」
「ギクゥ!」
「ボス、反応が露骨過ぎるぞ」
「図星のようだな、どういうわけがあって不法入国したか知らんがついてきてもらうぞ」
レッドピゴミンが振り返り女子代表に言う
「どうします?ボス、殺っちゃいますか?」
「そういうややこしくなるようなこと言うのやめてほんと!」
「ほう?この私と殺り合うというのか?」
レッドピゴミンの言葉を聞き明らかに敵意を剥き出しにし構えるエビルマリア
「ふぅん!勇者だかなんだか知らねえがそんなエビ頭にこの俺が・・・あああああああ!?」
喋っている最中にレッドピゴミンが遥か後方に吹き飛ばされる
いつの間に距離を詰めたのか目の前まで来たエビルマリアはその腕に付いたシールドに隠されていたパイルバンカー式のハンマーでレッドピゴミンを吹き飛ばしたのだ
「さて、他の二人も吹き飛ばされたいか?」
「ほう、これは素晴らしい!」
「何?」
突然ブルーピゴミンが手を叩きエビルマリアへと近づく
「シールド裏に隠されたハンマー!よく見れば電動ノコギリも隠されているようだ!」
「むむ!?火炎放射器も隠されているか!」
「そしてよく見ればシールドを半回転させることによりミサイルポッドも発射可能!」
「両腕に仕込まれた無駄のない完璧な装備!」
「武装からして君は奇襲を得意としているのでは無いか?」
「な、何故わかった!?」
「私は筋肉天才だからね!」
そしてブルーピゴミンはエビルマリアの足を指差し再び口を開く
「そしてその足は奇襲に適しているように作られていると見る!」
「速度はそこまで出ないように見えるが小回りが非常に効くのだろう?」
「見るだけでそこまでわかるとは・・・只者ではないな?」
エビルマリアはブルーピゴミンの勢いに負けるかのように一歩後に下がる
「別に戦おうと言う訳ではない!君のその美しいと言える完璧な武装に見惚れていただけさ・・・」
「わ、私はリリエル隊奇襲部隊隊長なのだから完璧なのは当たり前だろう?」
「リリエル隊!マーシアの部隊のことかい!?」
「あ、あぁ、そうだ、私達はマーシアの最高傑作と言われる部隊なのだからな」
「マーシアの最高傑作と言われる者にこんなところで出会えるとは!なんと幸運なことか!」
ブルーピゴミンがノリノリで会話をしているのをドン引きして見ていると視界の隅で何かが動いた
「んん?」
動いた者に視線を向けるとそこにはイエローピゴミンがいた
(今までどこ行ってたんだあいつ・・・)
するとこちらの視線に気付いたのか口元に人差し指を立てながらこちらに手招きする
(あ、これ時間稼ぎって奴だ、ブルーピゴミンが褒めて煽ててる間に逃げろってあれだ)
女子代表はシニユクサダメ号の背を突付く
するとシニユクサダメ号は音も無く振り返る
そして顔らしき部分の近くでコソコソと女子代表は喋る
(いーい?音を立てないようにゆっくりと歩いて逃げるんだよ?)
無音で身体を起こし音も無くゆっくりと歩き出すシニユクサダメ号
(言葉通じるんだ・・・)
ゆっくりと歩き少し距離が離れた所で後ろを振り返る
すると・・・
「「あ!?」」
女子代表とエビルマリアの視線が交わる
「あ!ヤバイ!走って!全力!本気で走って!西に!」
「ギオオオオオオ!!!」
「おい!お前ら止まれ!クソ!こんな手に引っかかるとは!」
「させないよ?」
エビルマリアと同時に走り始めたブルーピゴミンが口から何かを吐き出す
それは小さな氷の粒
その粒がエビルマリアの足元に突き刺さりそれに躓き体勢を崩す
「くっ!?」
「ふはははははは!!!まだまだのようだな勇者よ!さあ追いつけるものなら追いついてみたまえ!」
そう叫びブルーピゴミンは尋常ではない速度で走り始める
そして全力で走るシニユクサダメ号に辿り着くとその背に乗る
「くそ!待て!おい!」
エビルマリアも遅れて走り始めるがブルーピゴミンの言った通りシニユクサダメ号の速度について行ける速度ではない
「ならばお前らもろとも吹き飛ばしてくれる!!!」
そう言い腕に付いたシールドを半回転させミサイルを放つ
「あ!アレヤバイって!あんなん当たったら死ぬからマジで!」
「剣を掲げるのだ!」
そう言いどこから現れたのかレッドピゴミンがシニユクサダメ号に飛び乗る
「え!?こう!?」
「ピッゴォ!」
剣を掲げると同時に空からイエローピゴミンが降って来る
「え!?なんで空から!?」
そして見事シニユクサダメ号に着地する
すると剣から全員を包み込むように障壁が展開される
「何!?障壁だと!?」
ミサイルはその障壁に直撃し爆発してしまう
「すごい!無傷!」
「このまま奴を振り切って中央都市まで行くぞ!!!」
「ギオオオオオオ!!!」
シニユクサダメ号は咆哮を上げると更に速度を上げ走り始める
「くそ!貴様ら覚えていろ!いつか捕まえてぶっ飛ばしてやるからな!!!」
遥か後ろからエビルマリアの叫び声が聞こえる
「見ろ!諦めたぞ!」
「ざまあみろってんだ!」
「な、なんとか助かった・・・」
そして1匹と4人は中央都市を目指し駆けていく・・・