第百三十二章 マリ、強盗団の説明する
マリが基地へ帰還途中、生放送ですのでインタビューがありました。最初に、「ご苦労様でした。」と労をねぎらっていました。
その後、何故生放送なのか不思議そうに質問しました。
マリは、「私は可能であれば彼と戦わずに、説得したかったのです。その為に彼を説得している時に視聴者から、彼を説得できる情報が欲しかったのです。その情報を入手する前に彼が自殺しようとした為に、仕方なく空中分解しない程度に損傷を与えて、ケリが着いたので必要ありませんでしたけれどもね。」と返答しました。
アナウンサーは、「そうですか。それは芹沢パイロットの腕が良かったからでしょうね。素人の私達でさえ、テレビを見ていて実力の差がはっきりと解りました。丸で大人と子供のようで、余裕でしたね。」と返答しました。
マリは、「自首するように説得したのですが、まさか自殺しようとするとは思いませんでした。」と説得できずに残念そうでした。
アナウンサーは、「もし、猪熊パイロットが自殺せずに逃亡しようとすれば、どうされましたか?矢張り攻撃しましたか?」とマリが戦いたくなかったようでしたので、どのような対応を考えていたのか質問しました。
マリは、「逃がしてしまうと、また犠牲者が出る可能性があります。それを避ける為に攻撃せずに、追跡しながら説得を続けました。」と返答しました。
アナウンサーは、「そうですか、所で話は変わりますが、先日大阪空港でインタビューさせて頂いた時には、恋人はまだいないという事でしたが、その後どうですか?将来結婚しようと思う男性には巡り逢いましたか?」と質問しました。
マリは、「本当に話が変わりましたね。私が頼れば、一緒に倒れてしまいそうな男性ばかりで、今の所は私が頼れるような男性には、まだ巡り逢っていません。」と返答しました。
その他にもアクロバット飛行や、マリの私生活等についての質問やあと雑談している間にマリの操縦するジェット戦闘機は航空自衛隊の基地に到着しました。
基地で記者会見を開き、まず記者から、「ご苦労様でした。」と労をねぎらわれました。
その後、「猪熊パイロットは、腕の良いパイロットで航空自衛隊のパイロットでも全く歯が立ちませんでしたが、芹沢さんから見て彼はパイロットとして、どうでしたか?」とマリが簡単に彼を撃退したのでマリがどう考えているのか確認しました。
マリは、「鹿野パイロット同様、彼は確かに腕の良いパイロットでした。しかし、二人共、自信過剰な為に自分が一番だと信じて回りを見ようとしませんでした。」と返答しました。
記者は、「それが、実戦中にマリさんが言っていた、風を読むという事ですか?」と質問しました。
マリは、「そうです。簡単に説明すると、追い風と向かい風とでは、戦闘機の最高速度が異なります。同様にして旋回などの性能も違って来ます。航空自衛隊や空軍などでは、そういった風向きや風力などのデーターを細かく把握しています。それと雲などのようすや、実際に飛行した感覚などから、直感的に解ります。その他に、彼は、機械獣と戦うと言っていましたが、アメリカ空軍アクロバット飛行チームでさえ全く歯が立ちませんでした。それにはそれだけの理由があります。彼はそれを調べようともせずに戦おうとしたのです。私でさえ事前に情報収集したのに、彼は全く無茶苦茶です。」と返答しました。
アナウンサーは、「芹沢さんは、彼がものの数分で撃墜されると言っていましたが、本当ですか?」と確認しました。
マリは、「あの操縦技術で戦えば、間違いなく、直ぐに撃墜されます。あの怪獣は、ご存知のように機械で、こちらの情報を収集しながら戦っていました。何も考えずに、自分の操縦技術を過信し、無理に戦おうとすれば、直ぐに攻撃パターンを読まれて、終わりです。」と返答しました。
記者は、「先程の、風向きなどのデーターの件ですが、今私の手元に届きました。全く解りませんね。これらを見て直感的に解るという事は芹沢さんには、そういう才能があるのでしょうね。私にもそのような才能があれば、芹沢さんのような名パイロットになれたのでしょうね。」と納得していました。
マリは、「パイロットになるには、それだけでは無理ですよ。例えば、いくらその才能があっても、高所恐怖症ではパイロットは無理でしょうね。」と笑っていました。
記者は、「確かにそうですね。パイロットには色んな才能が必要で大変ですね。」と感心していました。
マリは、「別にパイロットだけが色んな才能を必要としている訳ではありませんよ。例えば、タクシーの運転手は運転技術の才能だけあっても方向音痴ですと勤まらないのではないですか?自分にどのような才能があるのかを試す為にも、若い時にアルバイトなどをして、色んな事を経験する事は大切だと思いますよ。私もまだ若いですけれどもね。」と返答しました。
記者は、「そんなに慌てて説明しなくても、芹沢さんは、まだ充分若いですよ。」と笑っていました。
マリは、「有難う御座います。お世辞でも女性にとっては、嬉しい言葉です。」と感謝していました。
記者が、「決してお世辞ではありませんよ。今、猪熊パイロットが一命を取留めたと連絡が入りました。その猪熊パイロットから伝言があります。」とスタッフから渡されたメモを見ながら伝言を読み上げました。
「読み上げます。“芹沢パイロットは名パイロットというより大空の女神様です。アメリカ空軍パイロットが、“芹沢教官!助けて”と叫んだ理由が解りました。あなたのようなパイロットに、もう少し早く巡り合いたかった。あなたの指導を受けている航空自衛隊員が羨ましいです。“と言う事です。本当に芹沢さんは凄いパイロットなのですね。」と感心していました。
マリは、「そんなに凄くないですよ。只、私には他のパイロットより少しパイロットの才能があっただけの事ですので。」と恥ずかしそうでした。
記者は、「どこからその才能は生まれたのですか?両親共にパイロットだと聞きましたが、そんな凄いパイロットだったとは聞いていませんので、遺伝ではないとすればどうなのでしょうか?」と確認しました。
マリは、「亡くなった私の母は、案外理屈っぽくて、その母の説明によると、人間は生まれてから三歳までの間に、色んな事を見聞きして、脳を形成していくらしいです。その後の学校での勉強などは、その脳の使い方の練習らしいです。解り易く言うと、学校の授業などで、先生が一度説明すれば、全てを理解して、問題を直ぐに解いてしまう秀才もいれば、何度説明しても理解できない、少しできの悪い子もいますが、それは三歳までの教育で大型コンピューターのような脳か電卓のような脳になるか決まるという事で、そのような差が出るらしいです。勿論それだけではなく、遺伝的な事や本人の性格や勉強できる環境があるかなど様々な要因があるらしいですが、私の両親は飛行機好きで、私は生まれた頃から周りは飛行機に囲まれていた為に、それが大きく影響したと思います。」と返答しました。
記者は、「なんか解ったような、解らないような難しい説明ですね。そう言われれば、0歳児からの教育という事を聞いた事がありますが、そういう事なのですかね?なんか芹沢さんの才能の秘密を覗いたような気がします。」と納得していました。
航空機を使用した強盗団の一件は解決して、マリは会社に戻り普段通りに業務をこなしていました。
会社は、猪熊パイロットが、“マリの素晴らしい指導”と表現した事や、マリが航空自衛隊でパイロットの指導をしている事などが、今回の件で世間が知った為に、それを販売に利用して、マリと相談の上、“航空機を購入された際には、伝説の名パイロットの指導が受けられます。”と、カタログに追記した為に、販売は格段に増加しました。中には、マリの指導を受けられるという事で、航空機を購入する必要のない顧客まで購入していました。
他の航空機販売会社では、「何故、特定の会社に援助するのだ?うちの会社も協力を依頼したが断られた。あの会社はどんな作戦で芹沢パイロットに協力して貰ったのだろう。」と不思議がっていました。
マリと話をした事がある社員が、「私もその点は不審に感じ、偶々自衛隊の基地で彼女を見掛けた為に聞いてみました。彼女は、その会社の社員らしいですよ。就職する時には、私達の会社にも面接に来たらしいです。そこで、彼女を採用するかどうかで、勝負は決まりましたね。彼女は、どの会社にもパイロットだとは説明していなかったらしいです。」とマリの名刺を見せた為に、その会社の他の社員も、その名刺を見て納得していました。
ある社員が、「誰だ?面接したのは?何故採用しなかったのだ?」と不満そうでした。
マリの面接をした社員は、「以前も言っただろうが、何度も言わすなよ。俺が悪かったよ。彼女の特技は英会話だと聞いたので、アメリカなどの英語圏には出張も殆どないし、お客さんもいなかったのでね。」と何度も指摘されてうんざりしていました。
次回投稿予定日は、9月28日です。