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第百三十一章 マリ、強盗団と対決する

ある日、マリは会社で会議に出席して席に戻ると、新入社員が、「先程、警察から電話があり、航空機を使用した強盗団の逮捕に協力してほしいそうです。」とマリに伝えました。

マリは、「ヘリなら解るけれども、航空機で強盗?どこに着陸するのよ。垂直離着陸機でも使うの?何かの間違いじゃないの?あなたも不思議に思わなかったの?」と役に立たないんだから。まだ新入社員だから仕方ないかと感じていました。

新入社員は、「いえ確かに、そう言っていました。私は、その内容を間違いなく正確に伝えただけです。」と自信を持って返答しました。

マリは、「あなた、何か勘違いしてない?正確に伝えるのでしたら、留守番電話で充分よ。いつからあなたは留守番電話になったのよ。留守番電話と同じ仕事しかできないのだったら、あなたをクビにして留守番電話を使うわよ。留守番電話にせずに、あなたに頼んだ理由を考えなさい!」と怒りました。

別の新入社員が、「怖い鬼教官に口答えするから、怒られるんだ。」と新入社員の間は余計な事は言わない方が良いと助言しました、

マリは、「そんな詰まらない事を一体誰から聞いたのよ。」と確認しました。

新入社員は、「先輩から聞いて、新入社員の間で噂になっています。今は皆知っていると思います。」と返答しました。

マリは、「その先輩が誰なのか聞いているのよ。」と噂の火元を確認しようとしました。

その新入社員は、「私はまだ新人なので、先輩の顔と名前が一致していません。」と本当は知っていましたが、先輩に睨まれたくなくて知らない事にしました。

まさか、ハイキングの時にマリに銃を向けられて、失禁した社員が噂を流してリベンジしていたとは気付かず、噂の火元も解らない状態で、仕方なく警察に電話して、強盗団の事を確認しました。

マリは、「ヘリではなく、航空機で強盗ですか?どこに着陸するのですか?強盗団は垂直離着陸機を使用しているのですか?」と疑問点を確認しました。

警察は、「いいえ、航空機は着陸しません。近くに着陸させていたヘリで逃亡します。そのヘリを追跡していた警察のヘリがジェット戦闘機に銃撃されます。そのジェット戦闘機の対処をお願いしたいのです。ヘリは警察で対処しますので。」と返答しました。

マリが、「私の知合いの刑事が犯罪の多様化に対応して、警察でもヘリ以外に航空機の購入を検討していると、先日航空機の展示会に来ていましたが、それでは対応できないのですか?」と何の為に航空機を購入したのか確認しました。

警察は、「普通の航空機で戦闘機の相手は不可能です。」と返答しました。

マリは、“このような事にも対応可能な航空機を選らんだのに宝の持ち腐りね。私ならできるけどな。”と思いながら、航空自衛隊に依頼するベキだと断りました。

警察は、「航空機を使用した強盗団は今迄もあり、その都度、航空自衛隊に協力を依頼して逮捕していました。そのような強盗団が最近増加している為に、警察でも航空機を購入する事にしたのですが、今回は航空自衛隊でも全く歯が立たず、アクロバット飛行チームも、お手上げ状態でしたので、お願いしたい。航空自衛隊が、その航空機の映像を保管しています。我々と一緒に確認願えませんか?航空自衛隊のパイロットが確認しても犯人の手掛かりが掴めませんでしたので、是非芹沢さんの御意見をお伺いしたい。」と依頼されて、警察と航空自衛隊に映像の確認に行きました。

その映像を見て、マリは驚いて自衛隊員に、「あなた方は、この映像を見て、何も感じないの?本当に何も解らないの?ったく、情けないわね。」と航空自衛隊のレベルの低さに愕然としていました。

警察は、「芹沢さん、何か解りましたか?」とマリが何か気付いたようでしたので確認しました。

マリは、「あっ!失礼しました。強盗団パイロットの飛行癖が、死亡した鹿野パイロットにそっくりです。丸で、鹿野パイロットの亡霊のようです。鹿野パイロットがどこで操縦技術を覚えたのか調査して下さい。」と助言しました。

航空自衛隊員が人事課に問合せると、航空自衛隊に入隊した時には、既にパイロットのライセンスを取得していた事が判明しました。

マリは警察に、鹿野パイロットの調査を依頼しました。

「鹿野パイロットがどこで誰に教わったのか?強盗団パイロットは鹿野パイロットの指導パイロットか兄弟弟子である可能性が高いです。あとは警察にお任せします。」と助言しました。

最後にマリは航空自衛隊員に、「航空機の操縦には夫々癖があります。飛行している様子から、誰が操縦しているのか解るようになりなさい。そうすれば、今回の場合は直ぐに解ったと思います。これは実戦時に役立ちます。」と説明しました。

航空自衛隊員は、「実戦時に誰が操縦しているのか解っても、それが何故実戦に役立つのですか?」とその理由が理解できませんでした。

マリは、「誰が操縦しているのか解るという事は、その操縦癖が読めたから解るのよね?その操縦癖から弱点が解ります。」とその理由を説明しました。

マリは、「後は、警察にお任せします。」とこの件から手を引きました。

警察はマリの情報を元に捜査した結果、強盗団パイロットは、矢張り鹿野パイロットの航空学校時代の教官で猪熊パイロットでした。

猪熊パイロットは、アメリカで操縦技術を磨き、アクロバット飛行やジェット戦闘機の操縦技術を磨いていました。その交友関係から、強盗団を割り出して逮捕しましたが、猪熊パイロットは逃亡しました。

猪熊パイロットは盗難したジェット戦闘機で都市を攻撃して、攻撃中止の条件は芹沢パイロットとジェット戦闘機で決闘させる事でした。

他のパイロットでは全く歯が立たない凄腕パイロットでしたので、着陸時に逮捕しようとしましたが、逃亡時低空で飛行した為に、レーダーでは捕らえる事ができず、どこかの空港か、猪熊パイロット個人の飛行場なのか不明でした。警察は止むを得ずマリに、その条件を説明して、協力を依頼しました。

マスコミも、この情報を入手して、会社にマスコミ各社から問い合わせの電話が殺到して、あるテレビ局が、猪熊パイロットと対決する時に、マリの操縦するジェット戦闘機にテレビカメラをセットさせて頂きたいと依頼して、マリは生放送を条件に承諾しました。

決闘当日、猪熊パイロットは自分の操縦技術を証明してやると意気込んでいました。

猪熊パイロットは、「ニュースで聞いたが、生放送のカメラを搭載しているらしいな。丁度良い。俺の操縦技術を全世界に証明してやる!以前、空飛ぶ怪獣が出現したが、その対応に、俺は世界にとって、必要なパイロットだと証明してやる。」とマリとの対決に臨みました。

その結果は全然歯が立たないどころか逆に、「何をやっているの?ほら、もっと機首を上げて!」とか、「エアポケットが正面と左にあるので、右に旋回しなさい。」等とマリに指導を受けました。またマリを見失った時には、「どこへ隠れた!」とマリを捜していました。

マリは、「どこを見ているの?あなたの後にいるわよ、これが実戦でしたら、あなたは私に撃墜されているわよ。あなた、機械獣と対決するような事を言っていましたが、今のあなたの操縦技術では、ものの数分で撃墜されるわよ。実際に交戦した私が言うのだから、間違いないわよ。死にに行くようなものね。」と自信過剰ねと感じていました。

猪熊パイロットが、「いつの間に?その戦闘機の性能では不可能な飛行をしている。何故できる!」と疑問点を確認しました。

マリは、「あなたの飛行は鹿野パイロットとそっくりですね。自信過剰ですよ。パイロットはもっと臆病になりなさい!自分一人では怖いので、自然を味方にするのよ。風を読みなさい。そして風と一体になり、風の力を借りて性能以上の飛行をするのよ。」と説明を続けて最後に、「もし私の忠告が理解できれば、警察に自首しなさい。」と説得しました。

猪熊パイロットは、「もう遅い。俺は何人も殺してしまった。もう駄目です。もっと早くあなたに会いたかった。そして今回のような素晴らしい指導を受けたかった。そうすれば俺もこんな馬鹿な事は、せずに済んだのに。ジェット戦闘機を、体の一部のように、こんなに自由自在に操っているパイロットは見た事も聞いた事もない。伝説の名パイロットが、これほどの操縦技術だったとは思わなかった。さようなら。」と泣きながら山に向かって飛んで行きました。

マリが、「どこへ行くの?自殺?馬鹿な真似は辞めなさい!」と警告しました。

一向に辞める気配がなかった為に、止むを得ずエンジン部分を狙い攻撃しました。

猪熊パイロットは、「うわっ!何をするのだ!」と安定できずに焦っていました。

マリは、「エンジンを破損させて、出力を落としました。あなたが自殺しようとした山へは、もう行けませんよ。この下の森ですと森がクッションになり、少しは助かる可能性があります。但し、死ねませんので、大怪我して痛いわよ~。それが嫌だったら、パラシュートで脱出しなさい。高度が下がるとパラシュートは使えなくなるわよ。」と逃げられないから諦めるように助言しました。

猪熊パイロットは、「五月蝿い、捕まるぐらいだったら死んだ方がましだ!」と何とか機体を立て直そうとしましたが、結局マリの予想通り、森に墜落しました。

マリは、“だから言ったのに頑固なんだから。あの時点で状況を正確に把握していれば、墜落は避けられないと判断できた筈よ。”と思いながら墜落地点を正確に本部に伝えて、帰路に着きました。


次回投稿予定日は、9月24日です。

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