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第百二十九章 佳子、修と陽子の結婚認める

ある日、陽子が警察を訪ねて、手錠を手にしている佳子をいつものように説得していました。

その時、警察に連行されて来た不良少年が、隠し持っていたナイフで警察官の一瞬のスキを突き、「このガキ!思い知れ!」と連行した警察官の腹部を刺すと、動脈を切断したらしく、凄い勢いで血が噴出して、数メートル先にまで飛びました。

同僚の警察官達が不良少年を取り押さえて、婦人警察官が手当てしようとしましたが、動脈からの出血は素人にはどうにもなりませんでした。「誰か!救急車を呼んで!」と大騒ぎになりました。

刑事課の壁の上側が透明になっていた為に、天井まで血が噴出した事が解り、陽子は血液の色や噴出した勢いなどから、動脈からの出血だと直感して、手当てしようとしました。

陽子の世話になりたくない佳子が、「あんたの世話にはなりません!」と阻止しました。

陽子が、「あれは動脈からの出血よ!今なら、まだ間に合います。救急車を待っていれば手遅れになります。」と手当てしようとしました。

佳子は、「やくざの幹部だという事を隠して、修を騙して交際していた、あなたの言うことなんか、信用できません。もう、あなたには騙されません!」と強行に拒否しました。

救急車が到着した為に陽子は、「救急車には医療設備があります。私が救急車の中で処置します。」と佳子を説得しました。

佳子が陽子を捕まえて、「だから、あなたの世話にはならないと言っているでしょう。」と力づくで拒否しました。

陽子は、「佳子さん、放して!本当に死ぬわよ!」と説得しました。

佳子は、「やくざのいう事など信用できません!」と陽子を放しませんでした。

陽子の怪力で佳子を突き飛ばす事はできますが、佳子に怪我をさせたくなく、またそんな事をすれば、他の警察官達が黙ってないと判断して、それはしませんでした。

刺された警察官を救急車で病院に搬送しましたが、残念ながら手遅れで失血死しました。治療に当たった外科医は、「あと十分早ければ、助かった可能性があります。」と残念そうでした。

その話を後で聞いた佳子は、「御免なさい!私が意地を張らなければこんな事にはならなかった。」とその場に泣き崩れました。

その様子を見た上司は、「彼を助ける方法があったのかね?」と事情を聞きました。

佳子は、「今、私と仲たがいしていて、今日も警察に来ていて、あの時、手当てをしようとした彼女を私が力づくで断った事を覚えていますか?」と上司に質問しました。

上司は、「ああ、覚えているよ。梅沢君がやくざの姉さんだといつも呼んでいる、あの女性の事だな。あの女性がどうかしたのか?」と誰が手当てしても関係ないだろうと佳子の真意が理解できませんでした。

佳子は、「あの女性は大日本医療大学医学部第一外科助教授の東城先生です。東城先生は緊急時の為に、いつも治療用の道具を携帯しています。あの時に手当てして貰っていれば、あの警察官は死なずに済んだかも知れない。」と泣きながら事情を説明しました。

それを聞いた上司は驚きながら、「えっ!?東城助教授と言えば、エスベック病患者の手術に成功した、あの東城助教授の事か?そんな世界一の名医があの場にいたのか!確か彼女は、“今なら、まだ間に合う”と言っていたじゃないか!君がやくざだと言っていた為に、私もその言葉を信用しませんでした。どちらが本当なのだ!彼女は世界一の名医なのか?それともやくざなのか?」と大変な事になったと焦っていました。

佳子は、「どちらも本当です。丸東組、東城組長のお嬢さんが、世界一の名医で、皆さんが捜している丸東組の謎の大物幹部です。東城先生を一日連行しただけで、間違いなく数人の患者は亡くなり、更にエスベック病患者は全て東城先生の味方で、その中にはマスコミ関係者や政治家も大勢います。東城先生を連行すれば、そのようなマスコミや政治家達を敵に回す事になり、大きな社会問題になる事が予想できる為に、確たる物証もなく、状況証拠だけでは連行できなかったというのが本音です。」と説明しました。

上司は、「物証とは何だ。何か心当たりがあるのか?」と確認しました。

佳子は、「丸東組と争ったやくざは行方不明になると言われていますが、それは東城先生がそのやくざから内臓を摘出して、内臓移植が必要な丸東組の組員に移植しています。例えば、大日本医療大学で東城先生と私を狙撃した狙撃犯も、内臓を摘出されて既に亡くなっているらしいです。その死体を捜しています。その死体を確認すれば、外科医が処置したと判断できます。」と返答しました。

上司は、「君の弟さんが結婚しようとしているのは、その東城先生なのか?弟さんは、その事を知っているのか?」と確認しました。

佳子は、「はい、知っています。陽子さんは、そんな事を隠して結婚するような人ではありません。それで弟と喧嘩しました。刑事の義理の父親がやくざの組長で、新婦も殺人を犯している可能性があるのよ。そんな事は許されないでしょう!それで彼女は責任を感じ、弟と仲直りするように、時間を見付けては警察に来ていました。」と説明しました。

上司は、「そうか、そういう複雑な事情があったのですか。しかし、その問題は悪までも君のプライベートな問題です。君が誰と仲たがいしようが文句はないが、そのプライベートな問題を仕事に持ち込むとは何事だ!公務とプライベートの区別もできない刑事に捜査は任せられない。明日からいや、今から君は謹慎だ!君の行動はもう取り返しがつかないのだぞ!帰ってから、尊い命を犠牲にした事を反省しろ!今日は帰る前に亡くなった警察官のご遺族に謝りに行け。処分は追って伝える。」と上司は怒り、その後佳子の肩を優しく叩いて、「そんなに悩んでいるのだったら、私に相談して欲しかったですね。こんな問題が起こる前に。それが残念です。」と優秀な刑事を失いたくなく、復帰を期待して暫く謹慎させて落着かせようとしました。

佳子は抜け殻のように家にいるだけで、何もしていませんでした。

陽子は心配になり様子を見に行き、透視で確認すると、暫く何も食べてない様子で冷蔵庫は空だった為に、陽子の世話になりたくなく、嫌がっている佳子を無理にレストランへ連れて行きました。

佳子は、陽子の怪力には敵わず結局レストランまで連れて来られました。

二日も何も食べていなければ、突然食べるのは良くない為に、その日は消化の良いものを少し食べさせようとしました。

佳子は、「死んでも、あなたの世話になりません。」と口を着けようとしませんでした。

陽子は佳子の横に座り、「そんな事を言っていると本当に飢え死にしますよ。」と佳子に無理に食べさせました。

佳子は、陽子の怪力に敵わず食べさせられました。

佳子は、「陽子さん、あなた何故そんなに力が強いの?小さい頃から、やくざの世界にいたからなの?私には、とてもそれだけだとは、思えないわ。」と陽子が何故そんな怪力なのか気になっている様子でした。

陽子は、「修ちゃんにも説明しましたが解らないのよ。今は人の事より自分の事を考えて下さい。このままだと本当に餓死するわよ。」と説得しました。

食事が終わり、レストランを出る時に、佳子は、「私が払います。」と財布を捜していました。

陽子から、「佳子さん、あなた財布を持って来てないでしょう?ここは私が払っておきますので。」と指摘されて陽子が払いました。

佳子はマンションに帰って陽子に払おうとしましたが、陽子はマンションの部屋の前まで来ましたが、中へは入らずに帰ってしまいました。

陽子は、修に事情を説明して、「もう一人の弟は刑事にならなかったようですが、お姉さまには世話になっていたのでしょう?出張から戻って来ていれば、二人交代で様子を見て、可能であれば、どちらかが泊まれれば一番良いですね。」と連絡しておきました。

数日後、人材派遣会社に勤めている博から連絡がありました。

博は、「東城先生ですか?お久ぶりです。今の会社に派遣される時に以前派遣されていた会社に嘘の診断書を書いて頂いた梅沢博です。突然電話して、申し訳御座いません。修は私の弟です。修は恥ずかしがって、はっきりしませんが、修と一緒に姉の所に泊まって頂けませんか?姉の体調が思わしくなく、今日は数回、嘔吐していて何かと心配なので、お医者さまが一緒ですと何かと心強いので、お願いします。」と頼まれて困りましたが、数回、嘔吐している事が気になり、佳子の部屋に修と泊まる事にしました。

そして佳子が寝たので、修と雑談していると、嘔吐したのは嘘で、二人を一緒にさせようとした罠に填った事が判明して、修と陽子は恥ずかしそうにしていましたが、やがて二人は男と女の関係になってしまいました。

その時に陽子がふと目を開けると、そこに佳子が立っていた為に、服を着ながら、「お姉さま、眠れませんか?」と慌てました。

佳子は、「何、話を摩り替えているのよ。もう既成事実作っちゃった?」と佳子は陽子のお腹をさすり、「仕方ないわね。今回は私も色々とあったので、あなた方の事は条件付きで認めます。結婚式は警察関係者とやくざの関係者を同時に招待できないでしょうから、二回に分けて行う事になるでしょうね。私をその両方の結婚式に招待して頂戴。」と佳子は条件を出しました。

その後、陽子と修の結婚も決まり、結婚式の打ち合せも本人同士は多忙でなかなか会えない為に、修の姉、佳子と陽子の母、菊枝との間で具体的な事は進められました。


次回投稿予定日は、9月17日です。

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