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第百三十四章 佳子、病院に緊急搬送される

世間は狭いもので、霧島外科医が連絡した知合いの外科医は陽子でした。

「佳子さん、骨折したと聞きましたが、大丈夫ですか?」と佳子の部屋へ入って来ました。

佳子は、「なんであんたが来るのよ!」と外科医が予想外の人物で一番来てほしくなかった人物でした。

陽子は、「霧島外科医は大日本医療大学の外科医ですよ。私が来ても不思議ではないでしょう?看護師に聞きましたが、確か佳子さんは霧島外科医と面識があるので、気付いていたかと思いました。診察させて下さい。」と佳子の腹部を触ろうとしました。

佳子は陽子の手を払い除けて、「私は今、そんな事に気付く余裕はないわよ。所で、何故同じマンションだという事を黙っていたのよ!」と怒って診察を拒否しました。

陽子は、「別に隠していた訳ではないのですが、丸東組で寝泊りする事が多い為に、このマンションへは、偶にしか来ません。病院に届ける住所が丸東組の住所ですと不都合だった為に、この住所を届ける為に借りただけです。今日は偶々ここに来ていたので、直ぐに来られましたけれどもね。」と説明しました。

佳子が腹部を押さえて、痛そうにしていた為に陽子は、「佳子さん、霧島外科医から聞きましたが、腹部がそんなに痛いのですか?足を骨折する程強打したのでしたら、ヤバイかもしれませんので早く診察させて下さい。」と忠告して透視で確認すると、内臓から出血していました。診察する振りをして気付いた事にして、病院に搬送する事にしました。

佳子は、「ヤバイだなんて、さすがやくざね。普通は緊急性を伴うとかなんとか言うのではないですか?あっ!ううう!痛い!息ができない!苦しい、助けて!東城先生。」と苦しみ出しました。

陽子が診察すると、左足大腿部が骨折していましたが、腹部は強打したらしく、内出血していて今も出血は続いていました。血液が腹部に溜まり他の内臓を圧迫していて、このままにしておくと今日中に急変して、死亡する恐れがありました。

陽子は佳子にそれを伝えて、今直ぐに入院するように勧めましたが、佳子は陽子の世話になるのが嫌で断りました。

陽子は、その旨霧島外科医に伝えて、親友のマリさんに説得して頂くように依頼しました。

暫くすれば、佳子の携帯にマリから着信がありました。

マリが説得している間に、陽子は弟の修に電話して、現状を説明して、博さんと連絡を取り、直ぐマンションに来て、お姉さまを説得するように依頼しました。

暫くすると、修と博が来て、「姉ちゃん、陽子の言うように早く病院へ行けよ。陽子の説明によると、生死に関わる可能性があるらしいじゃないか!詰まらない意地を張っている場合じゃないだろう!怪我をした時には、外科医の忠告を素直に聞けよ!」と怒りながら説得しました。

なかなか説得に応じず困っていると、修が陽子に、「姉ちゃんは、陽子の世話になるのが嫌なだけではなく、お金の心配をしています。入院して手術ともなれば、保険を使っても半端な額では済まないので、お金まで陽子の世話になりたくないようです。」と、姉が病院に行こうとしない理由を説明していると、陽子の携帯に着信がありました。

陽子の電話が終わると陽子は修に、「あなた方姉弟に援助したいという人がいます。とりあえず一千万円、用意して頂けるそうです。お金の事は心配しないで下さい。」と伝えると、修は喜んで姉に伝えました。

佳子は、「今の電話は誰からなの?私が怪我をしたと言い触らしているの?人の不幸を何だと思っているのよ!やくざは所詮やくざね。」と怒っていました。

陽子は、「私は、そんな事を他人には言い触らしていないわよ。医師には守秘義務がある事は知っているでしょう?佳子さんが怪我をしたと聞いて、心配して聞いてきたのよ。」と説明しました。

佳子は、「やくざの幹部が法律を守るとは考えにくいわよ。それじゃ、何故その人は、私が怪我をした事を知っているのよ。博や修の携帯ではなく、陽子さんの携帯に連絡があったという事は、陽子さんの関係者でしょう?陽子さんが言い触らしたから、知っているのでしょう?誰!その人は?そんなお金は頂けません。まさか、お金を出すのは、陽子さん、あなたではないでしょうね?」と断りました。

陽子は、「御免なさい、口止めされています。私でない事は、はっきりと言っておきます。足長おじさんという事にして、病院に行って頂けないですか?このままにしておくと、本当に取り返しがつかなくなりますよ。」と説得していると、佳子が突然、吐血しました。

修は驚き、「姉ちゃん、確りして!陽子、何とかして!姉ちゃんを助けて!」と慌てました。

陽子は、「ここには、医療設備も薬もない為に簡単な応急手当しかできません。早く病院に行かないと、死亡する可能性もありますよ。」と説得しました。

佳子は、「私なんかどうなっても良い。」と、まだ警察官を死なしてしまった事を引きずっていました。

陽子は思い余って、佳子の頬を平手で叩き、「馬鹿!人命を守る仕事をしているあなたが、命を粗末にしないで!もう限界です。早く病院へ行かなければ命の保証はしません!それでも行かなければ、私はあなたの命を救う為に、ここで緊急手術する事になります!当然麻酔はないので、気が狂う程の激痛がありますが、それしか方法がなくなります。私にそんな事をささせないで!」と怒りました。

佳子は陽子に叩かれて我に戻り、陽子の説得に応じて、足長おじさんの行為に甘える事にしました。

陽子が、何か添え木になる物はないかと尋ねると、修がほうきを持って来ました。

佳子は、それを見て汚いとほうきを添え木にする事を拒否しました。

陽子は、「そんな事を言っている場合ではありません。外傷はないので大丈夫よ。」とほうきを添え木にして、固定の上、説得の結果、救急車は嫌だというので、修の覆面パトカーに、マンション備え付けの担架で乗せて、大学病院に搬送する事になりました。

博は、修と担架で佳子を運びながら、「サイレンを鳴らしながら走行するのですから、覆面パトカーでも救急車でも同じだと思いますが、どこが違うのだろう?」と不思議そうでした。

修は、「多分、救急車だという事に拘っているのじゃないのかな?それに救急隊員は他人ですし、覆面パトカーは乗り慣れているし、今回は身内だけで他人はいませんし。」と雑談しながら担架で佳子を運んでいました。

博は、「姉ちゃんは、案外詰まらない事を気にするんだね。」と笑っていました。

佳子は、「違うわよ。救急者のサイレンで近所の住人が気付き興味本位で覗きに来るでしょう。私は見世物じゃないのよ。そんな恥かしい事は嫌よ。」と救急車を拒否した理由を説明しました。

修が、「命が掛かっているから恥をかくだけの価値は充分あるよ。」と頑固なんだからと呆れていました。

陽子が、「お姉さま、あまり喋らないで下さい!」と覆面パトカーに乗せました。

陽子は修に、「修ちゃん、危険な状態なので、急いで!」と告げて、移動途中に陽子が病院と連絡をとり緊急手術の準備をしました。

看護師が、「オペ室は確保しましたが、外科医が足りません。」と陽子に現状報告しました。

陽子は、「私も同行しています。私が執刀しますので、スタッフを揃えて!」と看護師に指示しました。

搬送途中、佳子は援助者の事を色々と考えていると、凄腕刑事の佳子は見当がついたようでした。

佳子は、“手術後芝居して、はっきりさせよう。”と考えていました。

一方、マリは、佳子が生死に関わる怪我だと聞き、霧島外科医と、佳子が搬送された病院にマリの自家用機で一緒に向かう事になり、その手続きをしました。

マリは手続きをしながら霧島外科医に、「御免なさいね。佳子ったら脚立から落ちたくらいで、生死に関わる怪我をするなんて本当にドジなんだから。」と霧島外科医に申し訳ない気持ちで一杯でした。

霧島外科医は、「気にしないで下さい。佳子さんが搬送された病院は私が勤務する病院ですので、私も早く帰れて、助かります。」と返答しました。

操縦席に座ったマリは副操縦席に座った霧島外科医に、「まさか今日、日本へ帰る事になるとは思いませんでしたので、スカートにしました。足元を見ないで下さいね。」と依頼しました。

霧島外科医は、「私は飛行機とスカートの関係が良く解りません。どういう事ですか?」と覗き込みました。

マリは、「いや~ん、恥かしいから覗かないで、操縦する時には足を広げるので・・」と説明しました。

霧島外科医は、「そういう事ですか。解りました。しかし芹沢さんも、そんな可愛い声を出すのですね。戦場では想像もつきませんでした。しかし、普通航空機は、制服を着用したパイロットが操縦しているので、ミニスカートの可愛い服を着たお嬢さんが操縦している姿は丸でアニメの世界のようです。もう二度と見られないでしょうね。一生の思い出にします。話は変わりますが、芹沢さんの親友、佳子さんの苗字は梅沢で職業は刑事ではないですか?」と確認しました。

マリは、「そうですが、お知合いですか?」と確認しました。

霧島外科医は、「矢張り、そうでしたか。声が似ていたので。ある事件で私が証言した為に、その時に数回お会いしました。」と返答しました。


次回投稿予定日は、10月8日です。


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