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小さな妖精の国 2 ≪女王からの依頼≫

旅は順調そのものだった。


ウィルの指示に従い知らない道でも難なく進む事が出来た。


彼は30センチほどの背丈で大人になると50センチくらいになると言う。


見た目は人の青年のスケールだけを30センチほどにした感じで


いたって普通の体格と言えた。身長に対して頭が大きいとかそういうものもない。


逆にスケールさえ問題なければモテそうなマスクをしていた。


ここが妖精の国と知ってからは、ずっと緑の草原が広がり此れと言った魔物も


いない。時より訪れる私の親指程度の大きさの蝶のような形に透き通った羽の


フラワァ・フェアリーという者達が寄って来るだけだった。


「あらウィルじゃない」


「ウィルだわ」


「ほらウィルがいるわ」


荷馬車の先頭に座るウィルを見つけると彼女達は口々に彼の名を呼び


彼の周りを飛び回るが、彼が無視していると何処かへ去って行った。


やがて、リンゴの様な実を付けた木が、ちらほらと辺りに見えてくると


彼は、隣のルークに話しかけた。


「もう半日程度で目的地に着くよ」


「道はこのまま、真っすぐでいいのかい?」


「ああ」


ルークが彼に聞いたのは、前方に十字路が見えたからだ。


「ねえ。ウィル、これから行く所は、なんて呼ばれているの?」


「ここはニザ山脈の(べリール)の地と呼ばれている」


「ニザ・べリールと言うの?」


「ニザ山脈に囲まれて昼間は短い。

 盆地のほとんどが太陽が傾くと山の影で昼間でも暗い。

 だからべリールと呼ばれるが、盆地全体を指すので・・・」


ウィルは考え込んだ。そして。


(ヘイム)としての名なら、アルヴだけど

 今向かっているのはタイターニ城郭都市(ガルム)と言うのが

 正しいかもしれない」


「タイターニガルムね」


私はウィルの言葉を復唱した。


「ああ、その中央のターニア城に向かっている。

 だから、あなたの質問は何を答えれば良いのか分からない。

 人種と言うのは、そういうものなのかい?」


「すまんな。『行く所』と言う表現はだけでは

 確かに、そうなのだが、彼女が聞きたかったのは

 地名的なものだと思うので、ニザ・べリールだと思うよ」


ルークが手綱を引きながら、横からウィルに言った。


「それは如何して、そう思うのですか?」


ウィルはルークに質問した。


「まず、彼女は城がある事を知らない。

 そして、城がある事を知らなければ城郭都市と言うのも分からない。

 さらに、場所と言うからは国とは考えていなだろうと予測できる。

 結果、その周辺の地名である可能性が高い」


「なるほど、人種とは質問の中に状況把握を要求するのですね」


「いや、別に強要してはいないよ」


「おそらく、常識的に日常として状況把握を訓練しているのだとすれば

 その方式に従って、数少ない言葉で意図を伝えられますので

 言葉が足りない種族として成り立っているのでしょう」


「ん~。あながち間違っちゃいないね」


マユ姉も会話に入ってきた。


「あたし達は、敵を前にして『左2』とか言われたら

 左側2体の敵がいるので回り込めって捉えるからね」


「それは凄いですね。『左2』だけとは

 俺なら、何のことか分からず。ジッとしてるでしょうね」


「私は援護なので、攻撃が来たとき前衛が避けたくても

 避けれないような位置に立たないように移動しますけど」


レナも会話に入ってきた。


「まあ、俺たち妖精は夢馬を使うから後ろとか前にも

 空間移動できますので、あまり関係ないのかもしれませんね」


「ねえねえ。それどの位の距離飛べるの?」


「村から、今から行こうとしてる城まで一瞬でいけます」


ウィルの回答に全員が「「「えー」」」と合唱した。


「あっ、その驚きから想像する時の答えとしては、

 『他人を乗せたり運んだりは出来ませんよ』ですかね」


「うん」


私は思わず頷き返した。


「ちょっとだけ。人種の会話を理解した気になりました」


次第に、タイタニア・ガルムを囲む高い壁が一同の目の前に見えて来た。


「あちらに向かってください」


ウィルの指さす方向に門が見えていた。


ルークは馬車を門に向けて走らせると「通れそうだ」と言った。


その意味は私も理解できた。門は私達よりもさらに大きかった


ちょっとだけ、もしもの時を想像してお尻がつっかえたら恥ずかしいな


とか考えていたので、胸を撫で下ろす。


だが、町の中の道は予想に反して普通サイズだった。


いや大きいと言うべきか?まあ、有体に言うと私達のサイズだった。


その理由はしばらくする理解できるのだが、この時は不思議な気分で


太いと言っても私達の馬車が2台分くらいの幅を中央に向かって


走らせた。なんとなくガリっとバーな気分でミニチュアな街並みを


通り過ぎる時、間違って壊さないように注意深く辺りを見渡す


ルークの顔が真剣だった。


そしてターニア城の前まで来ると、先ほどの疑問が解決した。


そう城の門番が、私達だとガナシュと同サイズの男が2人、左右に


立って槍を互いに交差してから右の男が声をかけて来た。


どうやら、城に住む方は人サイズなのではと理解できた。


「お前達、ターニア城に何か用か」


馬車から飛び降りたウィルが門番の所へ走り寄り例のコインを見せて


「女王ターニア様に『ディーナから』と伝えてほしい」


そう言ってコインを渡すと、門番はコインを持って城の中へと歩いて行った。


左の門番が「しばし待たれよ」と門の中央に移動した。


そうして待っていると、さっきの門番が帰ってきてコインをウィルへ返す。


「女王ターニア様がお待ちだ」


と門を開いて中へ進む様に催促した。


我々は、言われるまま城へと入る。


中央庭園らしい場所の広い空間に馬車を止め全員が城へと進む。


城のサイズも大きく、どちらかと言えば我々のサイズより


やや大きいくらいの建物だった。


そして女王ターニアに謁見した時、彼女はレオンより拳骨3つほど高かった。


「良く参られた。勇敢なるディーナの使者よ。彼は元気かえ」


「はい。ぴんぴんしております」


「して(わらわ)に、何か願い事かえ」


ウィルに変わって、レオンが前に一歩進み。


「はい。この度、この領地を横切って私達の国へ帰る事をお許し下さい」


レオンが胸に拳をあてお辞儀をするとあっさり許可が降りる。


「あい分かった」


その答えにレオンがお礼の言葉をのべる。


「ありがとうございます」


「さりとて、無料(ただ)と言う訳には行ませんねぇ」


女王はレオンの方を見た。


(わらわ)は今、悪夢を見る。

 これを何とかしてくれたらにしましょう」


と言われた後、客室へ通された。そこで私達は悩んでいた。


「ねえねえ。悪夢って夢だよね彼女の夢なんてどうするの?」


「うーん。どんな夢なのかも判りませんね」


「見てきましょうか?」


ウィルが当然の様な顔で言った。


「見れるの?」


「行けるのか夢の世界へ」


「夢馬に乗れば行けますよ」


「そうか」


「あたい達も行けるのかい」


「俺たちはそのまま行けますが、あなた方は零体なら行けると思います」


「なら、誰か残って肉体を保護しないとな」


万が一の為、ウィルがレナに「目覚めの(まじな)い」を教える事になり


必然的にレナは残った。彼女の護衛にガナシュが残り、ルークとパシェロが


部屋の守りとなった。


レオンとマユ姉が行く事となりウィルが夢馬を呼び出したが


私以外には誰も乗れなかった。


結果的に言えば、乗れるのはウィルと私だけとなり、それぞれの夢馬に


ウィルはレオン、私はマユ姉を乗せて出発した。


不思議な事に、私達の零体は夢馬に跨ると小さくなるのか、またはウィルが


大きくなるのか、私達は違和感のない大きさになっていた。


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