光のエルフと闇のエルフ 3 ≪暗黒都市へ≫
私達は早朝、暗黒都市へ向けての旅支度をしていた。
そしてエルバと美香が二人で何かを話してはいたが、おそらく都市内部の事で
彼女の知る内容を吟味している様だった。
「それ以外は、何か気がついた事はない?」
美香の言葉に、しばらく考えていたエルバが美香により小声で何か話し出した。
「それ詳しく・・・」
うんうんと首を縦に振りながら美香は時より『なるほど』とか相槌をしていた。
それを横に私は、武器の手入れを始めた。
私の武器は、弓である。と言っても弦を張り治すほどの事もないので
殆どチェックのみで終わる。あとは黒い短剣だが、これは布で拭く程度、
刃毀れも見た目ないので、そのまま矢筒に仕舞い込む。
一緒に向かう7人のエルフ達は、暗黒都市に着けば別行動となる予定で
もちろん、エルバもそちらに付いて行くことになっている。
別行動の内容は知らされていない。あくまで彼女らの作戦のついでに
場所を教えてもらうだけに過ぎないから、それはそれでいい。
そうレオンが、最初に交わした約束だった。
移動は首と尻尾の長いピューマの様な生物の背に馬の鞍のような物が
付いている動物だった。
「これなんて言うの?」
「シュリックとパレとマルーと・・・」
エルバは、一匹、一匹を指さして答えた。
全部で8匹の名が告げられたのだが、私としては名前じゃなくて
種類を聞いたのだが、まあ。深く考えるのは辞めにした。
私の乗る予定のパレと呼ばれた、それに挨拶する。
「ちょっとの間だけど、よろしくね。パレちゃん」
パレは私の言葉を理解できたかのように『うるるる』と鳴いて
長い尻尾を私の体に巻き付けると、鞍の後部に運んだ。
「女性の後ろに乗るのは、初めてだ、掴む場所を教えてくれ」
レオンは困惑しながら、目の前に立つエルフとエルバを交互に見た。
「♬♪♪♩♬♩♪♪♪♩♪♩♩♬」
エルバがレオンの前のエルフに話す。
「♬♪♩♪♪♩♩♪♩♬」
エルフはレオンを見てエルバに話す。
その答えを聞いて、エルバはレオンに伝えた。
「鎧の上ならどこでも、良いそうだ」
そして、思い出した様に伝える。
「それより、複座の前に折り畳みの取っ手がある。
普通はそれにするが、つかまりたければ彼女でもいいと言う意味だ」
「そ、そんな場所があるなら、先に言ってくれ」
「すまん。当たり前すぎて知らない事だと気づくのに時間が、かかった」
レオンは複座の前を見て取っ手らしきものを立て掴んだ。
「皆乗ったか」
それぞれに、レオン、マユ姉、レナ、ルーク、パシェロ、ガナシュ、そして私。
美香はエルバのシュリックに乗った。
「♬♪♩♩♬♪♩♬♩♩♬」
エルバの声に一斉に走り出した。
取っ手をつかんだ手が、もげる程の加速を感じて私は風を切った。
髪が泳ぐ。空気の壁が厚い。
足元が一瞬で変わる。林の中、まるで木が邪魔になる事は無いかの様に
スピードを変える事無く、避けていく。
内心。「ひゃっほぉー」と言っているパシェロに賛同しそうになったのを
理性が止める。それくらい、気持ち良い風を感じる走りだった。
そして首の長いピューマぽい生き物は、瞬く間に目的地に着いた。
そんな感じを私に抱かせていた。
実際には、2時間程度だが、人の足なら2、3日かかるらしい。
それが2時間程度なのだから、瞬く間とはいかないが、流れる景色に
目を奪われている間に着いたのは事実であった。
「♬♪♩♩♬♪、♬♪♩♩♩♩♬♬」
エルバに続いて、5名が彼女の後ろに揃う。
「♬♪♩♩♬♪♩♬♩♩♬」
残りの2名は、ピューマぽい生き物の綱を2つ持ち去っていく。
シュリックとパレが残り、近くの木の上に登っていった。
洞窟の入り口で止まった私達8人とエルフ6名は、それぞれレオンと
エルバを先頭に中へと進んでいった。




