光のエルフと闇のエルフ 2 ≪闇のエルフ、エルバ≫
連れ去られたエルフ達は一応に暗い穴に落とされる。
恋人や番がいれば、その中で2人は寄り添うのを確認して
連れ出されて行った。
次は子供と大人がのグループが連れ出された。
おそらく家族を見分けていると、悟ったエルバの父は、近づこうとした
エルバを足蹴にした。理由も分らずに泣くエルバに母が駆け寄ろうとした時
父は母を抱きしめて止めた。
そして父と母は連れて行かれたが、彼女は残った。
数名の子供達が残る、その穴に時より食料が投げ込まれる。
そして、その食料を皆で分け数日が過ぎると、弱ったものから連れ出されて
居なくなっていく。
そして自分の番になった。服も無く全裸で裸足の私の手を取って男が歩いていく。
灰色の壁が並ぶ街。長方系のそれは四角い穴が幾つも空いていて
それら1つ1つから光が漏れている。
エルバは背を押されて、壁の1つの中に入った。
階段があり、さらに上に続く途中で、廊下へ移動するように言われた。
部屋の人に入ると、正面に四角い穴があり、今度はその穴から都市を見た
最初に見た時石の壁に見えたもの住む為の建物の中である事を理解した。
部屋の中には、子供のような者がいた。
私を連れてきた者が、彼に何かを話しすと、彼の顔が歪んだ。
彼は私の首に首輪を付けて、私は四つん這いに歩かないと鞭で叩かれた。
「・・・アリオ・・」
何度か聞くうちに、良く耳にする単語だけ判るようになる。
彼が私を呼ぶときによく聞くので、その音は呼ばれているのだと理解できた。
食事は日に2度、穴の時とは比べようもない程、おいしいけど手を使う事は
許されず、皿に顔を付けてスープを舐め、スープに浸かったパンを食べた。
だが彼だけの時は、手を使って食べても立ち上がっても許された。
彼と私だけの秘密の暗号として、彼等が話す言葉とは違う言葉を教わった。
そして時が過ぎる。
教えてもらった言葉がやっと如何にか話せるようになった
「私。名前。ある。アリオ。違う」
「しっ!」
彼は唇に指を縦て、「真の名を言っては駄目だよ。呪われるからね」と
とっても早口で、耳元に小さな声でそう言った。
さらに時が過ぎる。
私はいつもの様に首輪のリールを彼に持たれて散歩をしてもらっていた
筈だった。しかし、今日はいつもと違っていた。
「こっちだ付いてきて」
彼の言われるまま、私は彼の後を付いて行くと、いつの間にか地上へと
出ていた。彼は北へ向かった。
そして2日目の朝。追手が現れた。彼から教わった言葉以外、彼らの言葉は
理解できないが、それは明らかに彼を狙って飛んできた。
それを彼はハンドシールドを使って受け流していた。
彼はある場所で立ち止まると、私の背中を押した。
「ここから先は、僕は入れないから行くんだ」
追手の達はこんな近くにいる私が見えないのか、彼だけを狙った。
彼は腰のレイピアを引き抜くと、私にわかる言葉で呟くように言った。
「君のお父さんとお母さんを助けてあげられなくて、ごめんね
せめてアリオ、君だけでも・・・」
彼のレイピアはとても光沢のある青く美しい細い剣だった。
私の前で、襲い掛かる者達を、その美しい剣で薙ぎ払っていたが
やがて、疲れたのか剣や槍や斧が当たりだした。
私は、彼を助けたくて何度も手を差出して声を上げるが、何か見えない
力で進めず、やっと手が彼に届いたとき、すでに彼は息をしていなかった。
追手たちは、倒れた彼と抱きしめる私の目の前にいるのに、
こちらが、まるで見えていない様に、辺りを見渡しながら
着た方向へと去っていった。
彼の命が事切れた為に、結界の中に入る事が出来て、そのおかげで
私は彼を抱きしめる事が出来たのだと後で知る事になる。
私は泣いた。ペットとご主人様の様な関係だったかもしれない。
時に彼は私に辛く当たった時もある。でも、それは、すべて
誰かいる時だった。
演技のような、そんな気さえする2人になった時のやさしさは
誰かいる時の辛さを無にするだけの幸せがあった。
そして私は理解できた。ドワーフは敵だと・・・
彼はドワーフだったが、その彼を殺したドワーフを許さないと誓った。
私は、そっと彼の手にあったレイピアと腰にある鞘を彼から譲り受けた。
「あなたのこの剣を私に下さい」
エルバは、その剣を鞘に納め左手に持つと、さらに北に向かった。
やがて、川を見つけて水に入って初めて気がついた。
自分の肌の黒さに・・・それはいくら洗い落としても変わらなかった
はじめは、地の底にいたから土焼けして汚れているだけだと思っていた。
そして、私は息苦しくなり、意味のない言葉を叫び続けた。
口からヨダレを流し、自分で自分を慰めて、そして自分の腕に
這いずり回る白いうじ虫を見て叫ぶ。
私の頭に彼の顔がうかび、彼の元に戻ると彼に縋り付いた。
そして彼の持ち物の中から、とても安心する匂いを嗅ぎつけて
それを貪った。貪りながら我に返り、手にした携帯食を咥えたまま
「わ、わたしは、なにをしている」
彼の血を全身に塗り込み、手に持った携帯食を見る。
私は首輪と手錠と足かせにリールを巻き付け、近くの木に自分を
縛り付け、意識が薄れるのを待った。
しばらくして、あの衝動が再び襲ってくる。
すでに、自分で縛りつけた事も忘れて、「放せ」と叫んでいた。
うじ虫が、体中を這いずり回るのを見て恐怖する。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁ」
ジタバタと身をもがき、支離滅裂な言葉を吐き続けた。
彼が死んでいる事も忘れて、目に映った彼に気がつくと今すぐ
駆け寄って、慰めてほしくて堪らなくなる。
邪魔をしているリールに噛みつく。
「・・・」
やがて意識が、遠のき私は眠りにつく。
目を覚ますと、私は辛うじて、まだ木に繋がってはいたものの
半分リールは外れていた。
「私は、エルバ。よし」
完全にリールを外し、彼の死体に火の魔法をかける。
「よかった。まだ、ソンビ化してない」
昨日の辛さが嘘の様に、無くなっていた。
多少頭痛はするものの気にするほどのものでもなかった。
焼け残った鎧と食料を入れてあった袋から食料を全て捨てて
袋の閉じてある方に左右と真ん中の3つの穴をレイピアであける。
それに頭と手を通して、簡易的なワンピースを作り、上に鎧を着る。
腰にレイビアを指す為に袋の閉じ紐を引き抜き、腰に巻いて縛る。
小麦色の肌になったエルバの耳が細く尖っていた。




