精麻ペンダント
王女に誘われて移動した少し狭い部屋に付くと、どこかで見たようなメイド姿の女性が何か飲み物をテーブルに2つ用意して立ち去った。
「どうぞ」
先に椅子に座ると王女は対面の席に着くように手の平を見せて誘った。
「あっ、どうも」
席に着くと、目の前のカップから心地よい香りがして、その液体が紅茶の様なものだと分る。カップの取っ手にに手を添え。なるべく上品に口へ運ぶと王女の鋭い視線を感じで顔をあげた。。
「なにか?」
「いえ、巫女様の世界は平和なのですね」
そう言いながら彼女は自分のカップの底に手を添えて1口紅茶の様なものを飲みながら話を切り出した。
「わたくしは、第三王女のミりス・シャラル・オーディスと申します。
オーディス王家に嫁いだ母君、トリス・シャラル・オーディスの子で、
現在、第一王子の母君、バレス・ローラ・オーディスとは敵対関係にあります。
元々は第二王子とも敵対関係でしたが、第一王子に敗れ第二王子は、
表向きには薔薇の塔に幽閉されている事になっています。」
「表向きっていう事は、事実は違うと?」
王女はカップを、添えた右手を離しテーブルの上の皿の上に戻す。
「はい。表向きには三つ巴の様にしてはおりましたが、お兄様と敵対する気はないので
あくまで表面的な敵対関係でした。
しかし、お兄様が何者かに毒殺されかけ現在、薔薇の塔にて治療中です。
ですが、こうなる事は知っていました」
少し強く手を握りしめていたのだろう。ハッとした様に落ち着きを戻すとこちらに顔を向けた。
「啓示があったのにものかかわらず未然に防ぐことができずに・・・。
なんとか命だけは留めてはいますが、それからバレス兄様とは
表向きではなく敵対関係になってしまいました。
そして、バレス兄様の領地以外に疫病が流行りだして
直ちに治癒魔法士達を向かわせたのですが、あまりにも多くて
対応が・・・どうすれば・・・」
「その答えを私が知っていると言われた訳ですか?」
「はい」
(ま、まじかぁ~ 知らないわよ。)
私は精麻ペンダントを何気なく握りしめて学年一位の秀才である幼馴染である美香に助けを求めるように『あんただったらどう思う?』と小さく呟いた。
(そうね。まずはどんな状況か知りたいわ)
「えっ!」
(だから、病状がわからないと・・・答えようがないわ)
「えっええっ」
「巫女様? どうかなさいまして?」
(ん~・・・出来そうかな? ちょっと憑依してみるから体かしなさいな)
そう言う幼馴染の声が頭に響くと、精麻ペンダントから飛び出した半透明な彼女に体を奪われ私は、これまた半透明となって体の背中から飛び出してフワフワ自分の体の後ろに漂い出した。
「で! 王女様に聞きたいんだけど・・・」
何が何だか、分からないまま王女と体は私の幼馴染は私には理解できない難しい会話をし始めて、しばらくすると突然私は体に吸い込まれるように戻った。
「分かりました。巫女様のご指示の様に手配させます。有難うございます」
そう言って王女は、深々と礼をしてから席を立ち部屋から小走りに立ち去った。
なにかとても興奮気味に目を輝かせて・・・
「どうゆうこと?」
(まあ、あまり憑依していると体に毒だしね)
「いや、そういう意味じゃなくて」
(ああ、ずっと見てたけど、なかなか精麻ペンダントに触ってくれなくて)
「あんた。も、もしかして、し。知ってた」
(てへっ)
「は、はめられた」
神楽の役交換を言い出した時にはすでに、この事を知ってて、
わ、私に押し付けたなぁぁぁぁぁ。
そうなんだ昔から、こいつは、こういう奴なんだ!
次は20時頃になります