美香の願い
美香の悲鳴が木霊する中、喜々として代わる代わる着せ変えに勤しむ
ミリスとレナがいた。
「か、可愛いい」
ミリス宮殿に響き渡る騒がしい声に呆れ顔のマユ姉は両手をあげて首を振った。
昨日の説明をした後、もごもごとベットから這い出した全裸のの幼女。
それが美香だと言い終わるかどうか
「レティがそのような姿ではいけません」
とミリスに連行されて行き、宮殿に姦しい声が響き割ってから彼是かなりの時間
いつ終わるのかと、心配になってきた。
「女神ちゃんは、翼が無くなっただけ?」
そう声を掛けられて振り向いた。
マユ姉がミリス達の事はなんでもないかのような感じに聞こえてくる声や物音を
完全に無視して「ねぇねぇ」という手招きをしながら立っている。
「ああ、それね」
私はバサッという感じに、零体の羽を広げて見せた後、また仕舞う。
「へぇー。収納可能になったんだ。便利になったね」
「そう言う問題でもない気が・・・」
あっ。そういえば翼を見せてないのになぜマユ姉は私が美香ではないと
気がついたのだろうか。
「ところで、なんで美香じゃないと気がついたの?
なにかの能力とか、雰囲気とか・・・」
「なんか期待させちゃった、みただけど矢筒背負っていたからだけど」
そっか美香は矢筒背負ってる事ないものね。
「そうそう、あなた達を召喚したチームが変な物作ったのは知ってるかい」
「えっ、知りませんけど」
「異間門って言うらしいけど。
本当は異世界との空間変異門っていうので異間門らしいけどさ。
失敗して出来た副産物らしいさね」
「んー、失敗って事は、この世界のどっかと繋がったとか?」
「ま、それで間違いでもないけど、指定出来るらしいよ」
私はマユ姉に先導されて召喚魔術研究チームがいる部屋にきた。
コン、コン
「女神っち、連れてきたよ」
「はい。どうぞ」
「おじゃましまーす」
中に入ると、ああ門だって感じのものが部屋の中央にあった。
見た目は、まんま某エトワール凱旋門の様なものだった。
シャンゼリゼ通りから観光客が訪れるような大きなものではないが
形としてはさほど違いはない、ただ門の中央は向こうが見えていなくて
代わりに黒い垂れ幕のような感じにというか、黒い霧というか・・・
もわもわしていた。
「一応今は研究中なんですが、トレントの長老さんが
協力してくれて、トレント族の広間に設置したものと繋がっています」
「って事は、これ転送装置なの」
私の質問に、研究員の1人が、『ほお』って顔になる。
「流石ですね。一応テストも完了してます。
生物はこれからですけど」
タイヤの付いた箱型の中には、モルモットみたいな生物が檻に入れられていて
小型の凱旋門・・・いえ、異間門とかいうものに押し込まれて行った。
しばらくすると、向きが反対になった、それが帰ってきた。
「じゃあ通過は成功した模様ですので医療班は被検体の調査をお願いします」
被検体と呼ばれたのは、やはりモルモットみたいな生物の事で
血液を採取して調べたりしていた。
「異常は認められませんでした」
しばらくして医療班らしき人物が報告してきた。
「それって使ってもいいですか?」
「人では・・・あっ」
私は最後まで聞かずに、異間門を潜った。
そこはトレント族の長、爺さんと話をした広間だった。
「ほう・・・息災そうで何よりだのお」
「トレントの爺さん・・・」
私は爺さんに事の顛末を説明した。
顔は高校生で体が小学生になった事などである。
「なるほどのお。
女神、その説明だと矛盾がある。
まず、手足は高校生でなくてはならん。
そして、身長もだ。
体は、それに合わせて縮尺されて
服を着た場合に矛盾がでなくなる筈だのお。
しかるに、そうならなんだ」
「言われてみれば・・・」
「まあ、そうさのお。ほれ、これを持っていけ」
「これは?」
「わしの本体の枝じゃ。魔術の手助けになろう」
そういってにっこり、わらった。
「前に、お前たちの記憶を見せてもらった時。
元の世界で使っていたものに似せてあるので
たしか白幣とか巫女が言っておったかの。
『巫女パワーチェインジ』とでも叫べは
今より5年後くらい進んだ未来の姿になれよう」
「そのセリフじゃないとダメなんですか?」
爺さんいわく、言霊であれば何でもいいと言っていた
『変身。とぉー』でも良いとか言ったのはスルーしておくとして
別にこれは変身道具ではなく、言霊として発した言葉で
近くにいる精霊の助けを得られやすくするものらしい。
特に、木の精霊、水の精霊、土の精霊は優先的に
後の精霊の加護を得られるかは巫女次第だそうだ。
で、ちなみに未来の姿の方は水の精霊らしい。
私は出てきた異間門の所に戻り、門の中へ進む
そして瞬く間に、ミリス宮殿へと戻った。
出ていくときは何やら姦しい感じだったが
「巫女ちゃんは可愛いから大丈夫よ」
「そうそう、気にしなくても平気」
不機嫌な美香と、宥める王女とメイド。
散らばる洋服。
まっ、だいたい察しは着くけどね。
二人とも胸大きいし、幼い頃からそれなりにあったんでしょうね
で、二人の子供の頃の服を着せられた。
ある部分が、余ったんだろうって事は、並べられた服を見れば
いやでも気づいてしまう。
「美香。トレントの爺さんからプレゼント」
「白幣?」
「なんか言霊っての使えば精霊に助けてもらえるってさ」
「そ、それは凄いですね」
二人が、やんや、やんやと私の言葉に乗ってきて
美香のご機嫌を取り始める。
「あ、そうそう。水の精霊に願いを言霊にして頼めば
ちょっとぐらい大人になれるらしいよ」
その言葉を聞いた美香の目が光った気がするのは気のせいだろう。
「へぇ~。そ、そうなんだ。大人にね。
ね、年齢とかコントロールできるのかな」
「さあ。後は巫女次第だとか言ってたよ」
「水ね。水の精霊って言ってたのね」
「ああ。そっだね」
なにやら、バサッと前に突き出して
「弁天様、弁天様、私の願いをお聞き届け下さい。
本来の姿に、我を・・・戻したまえ。 ハァ!」
美香の周りに水玉が無数に浮かび、彼女を中心に回り始めた
水玉は近くの水玉と合わさり、まるで渦のように全身が水の
膜に見え隠れして行く中、幼女から少女へ変わっていく。
そして全身に水がまとわり付き消え去ると、そこには。
ブレザー姿の女子高生が、白幣を握ってピースサインを突き出していた。
まっ結果から言うと5分で、変身前の幼女体形に変わり
もちろん、ブレザーも消えて元の服へ戻った。
機嫌が良くなった事を良いことに、再び美香は二人に着せ替え人形と
なってはいたが、本人は上の空で『ワードがいけなかったのかしら』
とか『それとも思いが足りない・・・』とかブツブツ口走っていた。
私は私で何故、弁天様なんだろと考えながら
とばっちりが、回ってこないように、そっと部屋から立ち去った。
とりあえず、平和である。
若干1人を除いてという意味で・・・




