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それぞれの思惑

だが、レナは知らなかった。

あと一歩と追い詰めながら、追いかけてこない訳を。


「待ちな。選手交代と、いこうじゃないか」


不意に後ろからの声に咄嗟に剣を払ったが衝撃と共に受け止められた。

セリックの剣を受け止めながら、ニャと女が笑った。


「お前か」


剣の腕前そのものは、騎士に及ばないもののマユの盾さばきは

見事なものだった。


時より盾そのものを打ち付けてくる。その度に一時的ににもスキが

出来るタイミングで打ち込まれる。

剣はセリックにとっても厄介な攻撃になる。

それでも剣速が彼に及ばない為、決定打にはならないながら

互いに撃ち合い続けていれば、やがて巫女が再び参戦してくるだろう

前衛を得た場合。

攻撃魔法が襲ってくる中、戦う破目になるのは明らか。


「どうやら、分が悪いな

 今日の処は、おいとましよう」


そう言って、セリックは森の出口へと走り去る。

マユは動かずじっと見つめた。

彼女はセリックを倒す理由はなかった去ってくれるならそれでいい

なぜ、戦っていたのか知らないマユにとって駆けつけた時に傷を

負った方が気がかりだったからだ。


「ふう~」


盾を持つ手が痺れて感覚がない。

本来のやや斜めにして盾を滑らせ、力を逃がす様にする事が出来なかった。


「まあ、いいさね。

 さてと、様子でも見に行くか」


しばらく、警戒の為に立ち去った方を見つめていた彼女は

巫女が行った方向へと進む。こんなにハッキリ血痕が在っては

流石に放置して行くわけにはいかなかった。


跡を追って山小屋まで来ると、ドアを開けて中に入る。

床に転がった巫女を見て首筋に人差し指と中指の2本をあてて確認。


「くたばっては、いないね」


念のためポーションを腰の道具袋から出すと巫女に、ふりかけておく。


「巫女っぽいけど女神さんがいないし、誰なんかねぇ」






意識が戻る。誰か女性の足が見えた。


セリックの仲間か?


意識が戻った事を気取られないように

視線だけを横に振る。

どうやら、山小屋から運ばれてはいないらしい。


視線を上に移動して人物の確認をする。

そこには、ドアを開けたまま、横に顔を向けたまま腕を組み

外に警戒を注ぐマユさんの顔があった。

視線に気がついたのか、マユさんの顔がこちらを向く。


「気がついたかい。

 話せるなら、状況を説明してくれるとありがたい

 ああ、奴なら一応引いたけどね」


「・・・」


「まあ、話せないってんなら・・・」


「王女からの・・・」


と、そこで口をマユさんに抑えられ、マユさんは口に人差し指を立て

辺りを見渡した。


「そこまで聞けばいいよ」


それから、セリックとは違う5人の集団に小屋毎吹き飛ばされた。

マユさんはレナを小脇に抱え木の影まで走る。


「術者だね」


「はい。3人。それと剣士らしい者が2人です」


「ふん。

 わかるのかい。

 あんた、便利だね」


盾を前にして、マユさんが走り出す。


その後ろから、レナが援護。


アンチスペルを唱え、魔法防御を上昇させ。


片方の剣士に向けて攻撃呪文で、牽制。


術者に物理攻撃をして後方に退避。


マユさんが入れ替わりに、敵の剣士からの攻撃を受け流す。


数分後、剣士の一人を倒すと男達は立ち去った。


剣士が一人では、マユに阻まれて術者とレナが戦う事になり、


ただの術者が物理攻撃と魔法を使うレナの相手は不利と見た処だろう。


その判断を出したのは、もう片方の剣士だった。


「さてお仲間は、見捨てて帰ったみたいだけど」


転がる剣士に剣先を向けてマユはニヤリと笑う。


「何も聞かないから。

 ただ、あんたらの雇い主に伝えてほしい。

 キメラとゴーレムを倒したのは

 この巫女ちゃんだから、それも1撃でね。

 こっちも手加減するのが面倒なんで

 次はそっちにあの一撃をうたせるよ」


まあ、嘘だけど。1撃じゃなくて2撃だし、この巫女でもない。

本当は女神様だけどね。


ムッとした男に


「ああ、あんたは知らないなら、それでもいい。

 それさえ伝えれば、相手はわかるよ」


そう言ってポーションをふりかけ傷を治してやった。


男は一言も言わずに立ち去って行った。


「なぜ、そのような事を?」


「まっあたいもさ。

 冒険者だったからね。

 依頼主の事は聞いても無駄さ

 それなら、脅しくらいしておこうと思ってね」


ケラケラとそう笑い出すマユは、レナの背を叩き

村に帰ろうと歩き出した。


それから予定の日まで、刺客が現れる事はなかった。


ゴーレムの話は本当で村からしばらく離れた場所に佇む

巨体の胸にはぽっかりと開いた穴があった。


「これを一撃で・・・」


それは佇んだまま止まっていた。

これなら、王宮の壁でさえ軽く突き抜けそうだった。


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