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Saturday
私は椅子を引いて立ち上がった。
ゴリゴリと固まった筋肉が悲鳴を上げる。
すっかり温くなったコーヒーを飲み干して台所に置いた時、22時の鐘が鳴った。
「あぁ、疲れた」
物語を書くのだって楽じゃない。最大限楽をして、後先考えずにただ書き連ねる私だってこんなに疲れるのだから......職業作家なんて恐ろしいものだ。夢見たことはあったが、なりたいとは思わない。
寒の戻りの三月の夜空は窓の向こうで曇っていて、星一つ見えない。街灯が照らす路にも人影はなく、それが余計に暗さを引き立てていた。
物語に憧れたのは、かのロアルド・ダールの影響が強い。彼の描く世界は、深く、空ですら常識通りな物はない。そんな世界を、いつか作りたいと思ったのだ。
もちろん、それは輝く願望であり、現実は柳の下の影のように薄暗い。
さて、明日は少々面倒な行事がある。そろそろ寝てしまおうか。肩を鳴らしながら、布団のある部屋へ歩みを向ける。
突然、嗅いだことのない臭いが私を包んだ。それは、まるで鉄と燃された草が混ざったような..................
一発の銃声。
これは、そうだ。私がつ