Friday
私は、独りぼっち。
話せる人が居ないわけじゃないけど、親友って人はいない。好きなアイドルで盛り上がるイケグループの子とも、アニメ好きなオタクグループの子とも、当たり障り無く接している。
成績真ん中ら辺だから、賢いグループともバカグループとも馴染めない。これといった特技もなければ、部活も一番大所帯のテニス部。もちろん、選抜メンバーではない。一番汎用的な、背景の一部。
だから、基本的に私は独りぼっちなのだ。
そうして過ごして、気づいたことがある。
それは、ある意味で希有な才能なのではないか、と。
私は誰にも「見えていない」から。好きでも、嫌いでも無いのだから。それならば、「何をしても気づかれない」のではないか、と。
そこからは、毎日が楽しくてたまらなくなった。
SNSで色んなグループに入った。まるで私など居ないかのように飛び交う悪口。妬み。歪み。いがみ合い。
私はそれらをちょっと、手紙か何かにして、囁くだけ。
するとあら不思議、薄氷のような手は解けて、武器を取り合い、戦争を始めるのだ。武器を提供する者、スパイ............まるで安っぽい昼ドラみたい。私は、シナリオを操作できる「視聴者」。
密告。癒着。保身。略奪。
そして私は透明人間。
生きるのが、楽しくなった。
だってそうでしょ。周りが必死こいてる中、自分はただ見てるだけでいいんだ。そんな優越感に浸る日々。
私は、特別なんだ。力ある人間なんだ。
そんな中、私はある噂を耳にした。
クラスの子になりすましたTwitterアカウントに、一通のDM。
「女子テニの裏垢って、後輩の××入ってたっけ?ほら、ナントカってモデルのアイコンのグル。」
え?
部活の裏垢?
知らない。そんなの知らない。
しかもこの口ぶり、このアカウントの子は入ってる前提なんだよね。ってことは、この子傘下のあの子とかあの子も、入ってるんだ。
しかも、声をかけてきたのはあっちのグループの傘下の子。その後輩は、また別のグループのリーダーの妹。その子はさらに...............
一人一人、60人はいようかという部員を巡らせていく。
そこから数えるに、そのグループは.....................
なんだ。
私の事、見えてたんだ。
なら、こんな事したって意味ないじゃん。
だって、次に殺意が向くのは。平和になった後、人々を纏めるために必要な憎悪は。
───そんなのは望んでない。楽しくない。視聴者を叩くマスメディアなんていらない。嫌い。つまらない。
嫌われる側で終わるくらいなら、私は、お前らを叩き潰してやる。もっともっと、無関心な人を自分の味方につけてやる。
筆は走る。私は、もう視聴者じゃない。
私はそう、強者だ。居なければ、必要とされ、悲しまれる。仇なす者は淘汰される、そんな強い...............「悲劇のヒロイン」だ。
筆を置くと、私はカメラアプリを起動した。机に設置して、オン。すぐ、筆箱からカッターを取り出す。
手首はあまり意味がない。
迷わず、頸にカッターを突き刺した。
苦しい
息ができない
でも、これでやっと、
皆に沢山見てもら