Thursday
アタシが物心ついた時には、母さんなんてものは居なかった。
というか、分かるわけないじゃん。アタシはどっかのイロとの間の子で、似たようなのがわんさかいるんだから。
だいたいのヤツは臓器とか売るために殺されたりしてるんだけど、アタシは違う。
だって、アタシは美しかったから。そこだけは見たこと無い母さんに感謝してる。きっと母さん似だろうから。
でもね、生きてりゃいい、って物でもなかった。
小学生になった辺りかな、私はやたら香水臭い女がちょこまかと動き回る建物に連れてかれた。俗に言えば娼館、ってやつ。
その日から、毎日毎日、ゴミくずみたいに色んなことされたっけ。きったないオッサンばっかり来てさ。チップだー、とか何とか言ってお金を山のように積んで帰ってくの。アタシには鐚一文入らないのに、知らないんだろうね。バカな大人だよ。
そっからはもう、最悪ってゆーか。
そーゆー薬打たれて気絶するほど滅茶苦茶にされたり、はたまた痣だらけになるまで鞭で打たれたり。
一番酷かったのは、意識が一瞬で飛ぶくらいの覚醒剤を身体中に刷り込んできたヤツ。あれから、もうすっかりヤク無しじゃいられなくなって。
それが原因だろうね。さっき、金がかかるようになったアタシはポイされたよ。
虫がうじゃうじゃいる路地裏の壁は、氷みたいに冷たい。
そのくせ、地面は火傷しそうに熱い。
窓からはいつもアタシをバカにするようにけたたましく笑う女が覗き、マンホー
ルについた目玉はギョロリとアタシを見、チイサい小人た
ちはアたシ
を 刺そ
うとしテく
るし、怖い、こわい。 おかしくなり
そう。
誰か。誰
カいないの かな。
トラッ
クの荷だイで、誰かがガアタシをてま
ねキシている
。
ついていか なきゃ。マって、い かな
い
でよ、アタシがまだのっテなイノに、何でいっちゃ
うの、嫌だ、イ
やだ、待っつて、アシガもつりれる、ころブからいかなイデ、
ふと足下を見れば、アスファルトから夥しい数の蟲が沸き出てくる。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だい