愛に餓えた者
どこにでもいる、愛に餓えた男の話。
夢を見ていた。
なんだか酷く幸せそうな夢を。
そして夢から覚めればそれが酷く「夢」に見えた。
俺は人を愛せない。
そんな当たり前のことをわかっておきながらなぜあんな夢を見ていたのかわからない。
人を心から好きになったことはない。
好きになる前に俺の場合「独占欲」になってしまうから。そして巡りめぐって自分のことしか考えていないのだ。
ある人がいっていた。
「お前が好きになる人はお前を肯定してくれる人にすぎないんじゃないか」
本当にその通りだ。
そしてまた別のやつは言った。
「その人のことを一番に思える。それが愛」
ならば俺は愛など感じたこともないし、愛をしたこともないのだ。
俺は愛に餓えているのだ。
その故に自分を肯定してくれる人に馬鹿みてぇにすがり、同調されなくたったとたんに冷めきって捨てる。
それを愛と呼べるのだとしたら愛なんて、俺が思ってるよりずっとかるいもんだな。
愛を求め、愛らしいものにすがる者。
まさに俺のことのようだ。
愛を下さい。そう、相手なんて誰だっていい。
俺を肯定してくれるなら。
俺に同情してくれるなら。
俺を理解してくれるなら。
俺のために尽くしてくれるなら。
俺のモノだけにやってくれるなら。
年齢性別容姿性格仕事年収不問。
だってそうだろう?
これは愛でもない。恋でもない。
紛れもなく依存を求め、ただ一人で溺れるのが恐いから溺れる相手がほしいだけ。
あきたらすぐ捨てる。だめなら捨てる。肯定も同情も理解もしてくれないなら捨てる。
俺はそんな深くて浅い関係でいいのだ。
短い時間にその刹那だけでも深く深く溺れて一つになれるなら。
こんなにココチイイことはない。
どうだ?お前もこちらがわへおいでよ。
愛してあげる。
溺れてあげる。
壊してあげる。
こうして彼はまた旅に出るのだ。
なんか、可哀想な男ですね
でも僕もほんとの愛なんて信じてないよ。
ずっと独りだから。




