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S気な彼女とM気な私

「ほら、あ~ん……♡」

「んはぁ……♡」

 私は口を開け、顔の前に差し出されたソレを口に含んだ。

「ふふっ……♡ 美味(おい)しいですか?」

 私は何も言わず、ただただ差し出された物を必死に味わった。――とは言っても、

別に私は何かを食べさせてもらっているのでは無く……

「もっと味わいなさい。あなたのだ~い好きな(わたくし)の足ですわ……♡」

 彼女はSだった。



 ひと月程前、私はこの女の子と学校ですれ違い――人生初の一目惚(ひとめぼ)れなる物をし

た。女子高だったこともあってか、彼女は私の告白を受け入れてくれ――出会った

その日から付き合い始めた。

 背も高く、スタイルの良かった彼女は……最初の頃は優しいお姉さんのように接

してくれていた。――本当、あの頃は幸せだったなぁ。

 毎日一緒にいて……放課後も暗くなるまでベタベタして――私が(つら)かった時はい

つも、抱きしめて(なぐさ)めてくれたよね。



「どう? 美味しいですか? あなたが(わたくし)の足を舐める顔は……凄く可愛らしいで

すわ……♡」

 それがこうなるとは……

 私は彼女の事が大好きだから、一週間くらい前から強要(きょうよう)されているこの足舐めも、

別に嫌じゃない。むしろ、舐めている間――何故か私は身体がゾクゾクと震える。

 彼女にその事を言ったら「形は違ってもそれは『愛』ですわ」と……



 でも私は嫌だ。そんな主従関係(しゅじゅうかんけい)な愛なんて……

「ああ……♡ ゾクゾクしますわ……♡」

 私はこの一週間、彼女の足を舐め――いわゆる舌技なるものを身につけた。彼

女に見せてあげよう――私の本気を……!

「ちゅぅっ……♡ ちゅっ……ちゅぅぅっ……♡」

「んんっ?」

 彼女の足をねっとり舐め、私は少しずつ舐める場所を変えていった。かかと、

くるぶしから――ふくらはぎ、(ひざ)……♡

「ちょっと? きゃん……♡ 何ですの、これぇっ……!」

 彼女はゾクゾクと身体を震わせ、顔は何かを堪えているような表情で――沸

(ふっとう)しそうな程真っ赤だった。

「きゃん!」

 彼女は椅子から落ち、床に寝そべった。私は容赦(ようしゃ)なく舐める場所を変えてい

く……

「やっ……♡ そこはだめですわ! あなた、どうしちゃったんですの?」

 相変わらずのお嬢様言葉だけど――さっきから髪を振り乱し、涙目になった

彼女は……

「くっ……はぁん! もうおやめになって? (わたくし)……これ以上はもう限界です

わ……」

 その言葉が聞きたかった。

 私はまだ太もも辺りを舐めながら、

「ええ、すぐにでも止めて差し上げますとも――ただし、一つ条件をつけて良

いかしら?」

 彼女は口元を腕で押さえながら、

「ええ! 何でもよろしいですわ! 何でも言ってくださいな……」

 私は舐めるのを止め――彼女はようやく落ち着き、身体を起こした。

 ――私はさっきまで彼女が座っていた椅子に座り、彼女の方に向け――彼女

を見下ろした。

「じゃあ……手始(てはじ)めにコレ、舐めてくれるかしら?」

 私はにっこりと笑顔を見せ、彼女の顔の前に自分の足を差し出した。

                ‐END‐

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