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9@再会

8話でのギルドカードのステータス表示時、種族と所属を追加しました。

 初めての依頼を達成してからは、シーナを戦闘に慣らすため二回程Eランクの討伐依頼を受けたけれど、どうもシーナは攻撃は苦手らしい、しかし、シーナは回復は得意らしく、日が経つごとに負傷する回数が増えてきている気がするボクの傷を完璧に治療してくれた。

 そして、今日はDランクのオーガ討伐の依頼を受けた。内容は都市ロスペリエの北門から出た先にある森に生息するオーガを5匹倒して欲しいというもの。

 今までボクたちが依頼を行ってきた森は南門を出た先にある森であり、北門から都市の外に出るのは初めてになる。


 依頼を受け、近道をするために大通りから外れ、小さな通りを通って北門へ向かう。


「多分今のシーナの『破弾』だと敵が強くなってきたらほとんど効かなくなると思う。だけど、使えば使うほど、魔法は強くなるんだ。だから例え攻撃が効かなくても攻撃し続けてほしいんだ。シーナの方へは一匹も絶対に行かせないから」

「わかりました。ですが、ユーリ様、あまり無茶はしないでくださいね。最近あまり調子が良くないようなので」


 やっぱり、シーナにも不調なのバレてるんだね。

 なんだか最近日が経つ事に不調になっていってる気がする。魔法も少しズレたり、発動の時間が少し遅れ始めたり、敵の攻撃をうまくよけれない時が出てきて怪我を負ってしまったり……。


「ユーリ様が負った怪我は私が全て治療します。ですが、死んでしまったら私にはどうすることもできません」

「うん、わかってる。怪我はしちゃうかもしれないけど、絶対に死なないよ」


 ボクが死んじゃったら―――――


「おいお前ら、ちょっと俺らの遊びに付き合ってくれよ」


 その声と共に脇道から男三人が現れ、道を塞ぐ。

 それと同時に後ろの方にも三人現れ、道を塞がれる。

 ボクとシーナを前後で挟み、あの時よりもさらに気持ちの悪い視線を飛ばしてきながら気持ち悪い笑い声と共に少しずつ距離を詰めてくる。


 そして、目の前で道を塞いでいる真ん中の男には見覚えがあった。


「ねぇ、もう二度と話しかけてこないでって言ったよね?」

「アァン? そんなこと知らねぇな、それよりも命乞いでもしてみたらどうだ?」


「はぁ……」


 今ここで殺ろう。 

 多分ここで生かしておいたら、またやってくるだろうし。不安の芽は早めに潰しておくに越したことはない。

 問題なのは今現在ボクの不調と現代日本で育ったボクに人を殺せるのかということ。

 

 ボクは両手に短剣を召喚すると、男たちもそれに反応し、剣を抜くもの、背負ったメイスを構えるもの、それぞれ戦闘準備をする。


「風よ、見えなき刃となり、切り刻め『風刃』」

「ダズ!」

 最近詠唱破棄だと失敗することが出てきたため、念の為にフル詠唱を行い後ろの三人に向けて発動させる。


 すでに、ギルドで一度絡まれているのをギルドの人は知っている。そのため、今回先手を取らなくても正当防衛と説明すれば信じてもらえるだろう。ゆえに待つ必要はない。


 詠唱が終わると同時にこの前絡んできた男が、誰かの名前を叫ぶ。

 その声に返事はなかったが、ダズという男がどいつかは知ることができた。

 ボクの『風刃』を味方二人の前に出て盾を構え防いだ奴がいた。先の呼びかけはこの盾で防いだダズという男への合図だった。


「炎よ―――――」

 雷よ―――――

「させるかよ!」


 『風刃』が防がれたのを確認すると同時に次の魔法の詠唱に取り掛かる。一つはフル詠唱で、もう一つは心の中でフル詠唱をはじめるが、すぐに詠唱をやめさせるため、男たちは前後から一人ずつ斬りかかってくる。

 後ろから斬りかかってくる男は突如何かに貫かれ、血を吹き出しながら崩れ落ちる。


「これくらいなら私にだって……!」


 そう宣言するシーナ。先ほどのはボクが一番初めに風刃を使い始めたとき位から『破弾』の詠唱を心の中で始めていたのだろう。

 前方から斬りかかってくる剣を短剣を交差させて受け止め、男の股間に蹴りを放ちながら詠唱を続ける。

「―――――炎に触れしものを、燃やせ『炎弾』」


 いつもならこの程度で詠唱は途切れたりしないのだが、不調のせいで剣一つ受け止めただけで『雷弾』の詠唱が中止される。

 しかし、『炎弾』の方は詠唱を続けることができた。


 対象は前方の三人。

 股間に蹴りを放った男は『炎弾』が直撃し、悲鳴を上げながらもがくが、他二人には少し狙いがずれたのか簡単によけられてしまう。


「ぎゃああああ、や、やめてくれー!!」

「おい、ジョン!しっかりしろ! ビッズ! ラジー! 水色のガキを狙え! ベリーは俺と金髪を相手だ!」


 ボク達に絡んできた男ってリーダーだった。

 リーダーは『炎弾』に直撃し悲鳴を上げている男に声を掛け、ボク達を挟んで後方にいる二人へシーナを狙うように指示を出す。


 シーナが危ないっ! そう思ったときだった。


「可愛い女の子に武器持って襲いかかるなんてダメじゃない」


 聞き覚えのある声が聞こえ、男二人の悲鳴が後ろから聞こえる。

 ボクは見えないが、ボクと向き合っているリーダー達には何が起こったか見えており、大きな隙が出来ていた。


「『風刃』」


 いつもなら詠唱を破棄しても失敗はしないけれど、今は半分位の確率で失敗してしまう詠唱破棄。

 もちろん、失敗したときの為にほかの攻撃手段の準備もしておいたが、運良く魔法は発動し、リーダーたちは抵抗することもできずに全身を切り刻まれ倒れる。

 

 男達が倒れたのを確認して後ろへ振り向くと、血の滴る日本刀を片手に持つ千秋が立っていた。


「ユーリ、久しぶりっ!」






 その後、ギルドに連絡し、今回の事を説明して正当防衛として処理してもらい、ボクとシーナ、千秋はギルドの近くにある酒場に来ていた。


「まずは、自己紹介からはじめよっか」

 テーブルに着くなりすぐに千秋が口を開いた。


「私はシア、ユーリの幼馴染かな」

「私はシーナといいます。ユーリ様の奴隷です。先ほどは助けていただきありがとうございました」

「女の子が襲われていたら助けるのは当然だから気にしなくてもいいよ」



 千秋とシーナは互いに自己紹介をすませ、どんどんと会話をしていく。ボクを置いていって……。


 それから暫くシーナと千秋の二人だけで会話が続き、いつまでたっても注文しないボク達のところへ定員がやってきた。

 ボクはリムゴを絞ったジュースを頼み、二人も会話を中断してそれぞれシーナがボクを同じ物を、千秋はコーヒーを頼んだ。


 それからは互いの立ち位置の確認を行うことになった。

 ボクの方の話は終わり、千秋はなるほど、と頷いたあと、話し始めた。


「私はロンドア王国の勇者をしていて、今はチームのメンバーを探すために旅に出てる途中かな。そしてここが一番最初に寄った都市だね」


 なんでも、ここを一番最初に寄った理由は王宮にいた占い師がこの都市に行けば、そなたの望む者と出会えると千秋に言ったそうで、千秋はそれに従ってこの都市に来て、取り敢えずギルドに向かったらボクを見つけ、後をつけていたそうだ。

 

「ずっと見てたならもっと早く助けてよー。本当に危なかったんだから」

「ごめんねユーリ、でも確認したいこともあったから。見てて確信したよ。今ユーリは不調だよね。教えてあげる、ユーリが不調な理由をね」

 先程とは違い、真面目な表情をして千秋はそう言った。

次回、いろいろ判明する予定です

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