8@スライム討伐
たくさんのお気に入りと評価ありがとうございます。
これからも頑張っていくのでよろしくお願いします。
お風呂からでたあと、昨日買ったシャツとホットパンツを履いて一階にある食堂でシーナと一緒に食べたあと、一旦部屋に戻ってきていた。
朝食の時に再び気分が悪くなったのだ。
といっても、昨日程酷くはないし、このことについては思うこともある。
昨日、気分が悪くなったあと、何をしたら良くなったのか。
あの時ボクがとった行動は寝る事。そして寝ているあいだに無意識のうちに服を脱いでいたこと。
その後、朝になるまで下着状態が裸の状態で過ごしていたし、さっき朝食を食べに行く為に服を着てから気分が悪くなったということから、ある仮説が立てれた。
ボクは下着を除く、服を着ると、もしくは服によってポイントみたいなのがあってそれを超えると気分が悪くなるというもの。
当然、さっきの話だけだとありえないと思うかもしれない。
けれど、ボクはサキュバスなのだ。
サキュバスといえば、淫魔であり容姿は女性であり、男性の容姿をした淫魔のインキュバスと対になる悪魔である。淫魔はその妖艶な容姿を使って人から精を絞る取って最終的に命を奪うという、簡単に言うと淫魔とは、エッチで淫らな悪魔である。
そんな種族であるボクは、今回の仮説を立てたのである。
服を着ているよりも着てない方が誘惑できるもんね。まぁ着ている方がいいときもあるけどね。
そう考えると、昨日一日、街中でブラで歩き回っていても恥ずかしいどころか少し気持ちよかったのにも納得できる。
ということで、下はホットパンツのままで、上は昨日買ったブラだけを身につけた状態で活動しようと思う。
この状態なら気分も悪くならないし、逆に少し気持いいのでいい事尽くしである。
シーナにはいずれボクの種族のこととかいろいろ話すつもりだけど、今はまだ言うつもりはないので、適当に「こっちのほうが動きやすいんだよー」といって誤魔化しておいた。
鎧を身につけた状態からならその理由でもいいかもしれないけど、シャツ一枚からだからね……、なんでもっと上手い理由を思いつかなかったんだろう。
そんな事があって、今はスライム討伐のためロスペリエの周辺の森に来ている。
この森は昨日シーナと出会う前にいた森である。
「シーナは戦闘の経験とかあるかな?」
森の中を進みながらシーナに尋ねる。とは言っても答えはわかってるんだけどね。
一応確認の為に、だよ。
「いえ、ありません……」
「うーん、シーナは前衛よりも後衛だよね、となると……回復とか補助とかかな」
前衛と後衛の攻撃は両方共ボクができるしね。となると、必要になってくるのはボクができない回復や補助系になる。
回復魔法や補助魔法は……というか魔法系全般はどうやって覚えるんだろ……。
「まぁ、それは街に戻ってからでもいいかな。取り敢えず依頼をズバズバッと終わらよう!」
それから、スライムが中々見つからず、他の魔物を倒したりしていた。
そして緑色で髪が生えていなくて鼻は潰れたような感じの小人を『風刃』で倒した時だった、シーナが突然「Lvが上がりました」と言ったのは。
「えっと、どうしてLv上がったの分かったの?」
「えっとですね、頭の中で声が聞こえるんです」
なんでもシーナが言うには「Lvが上がりました」という音声が脳内で再生されるようだ。
そういえば、ギルドカードでステータスが見れるんだっけ。確認するの忘れてたや。
ポケットからギルドカードを取り出し、手にとって調べてみる。
ギルドカードには名前が表示されており、その下にはステータス、討伐履歴という項目があった。
ステータスの項目を見たいと思っていると、突然ギルドカードの表示が切り替わり、自分のステータスが表示される。
名前:ユーリ
性別:女
種族:サキュバス
年齢:17
称号:無し
ランク:F
所属:フロンティア
Lv:22
保持奴隷:シーナ
獲得センス:『火属性魔法』『水属性魔法』『風属性魔法』『雷属性魔法』『土属性魔法』『光属性魔法』『闇属性魔法』『短剣の心得』『魔導の心得』
あれ……? なんか思ってたのと少し違うような。
ボクのイメージとしてはAWと同じでSTRやINTとかDEXとかのパラメータが出ると思っていたんだけど、そうじゃないみたいだ。
まぁ、現実の世界だしね、ステータスなんかで表せないよね。
それに、センスはAWでのスキルと同じみたいだ。名前も少し変わってたり、魔導の心得っていう初めて見るのもあるけれど多分合ってると思う。
シーナもギルドカードで確認していたようで、シーナに言ってそれを見せてもらう。
名前:シーナ
性別:女
種族:人間
年齢:16
称号:無し
ランク:F
所属:フロンティア
Lv:2
主:ユーリ
獲得センス:『無属性魔法』
「シーナ、無属性魔法使えるんじゃない?」
その後、シーナの訓練をすることに決定したのだが、ボクは無属性魔法が使えない。
なので、どんな無属性魔法があって、どんな詠唱をするのかなどは全く知らないため、シーナに教えてあげることができなかった。
そんな時、ギルドカードをいじっていたシーナあるものを見つけた。
ギルドカードに表示されているステータスの各項目を選ぶと詳細が見れるようになっていたのだ。
それで獲得センスの『無属性魔法』の詳細を見てみると、二種類の無属性魔法が使えることがわかった。
一つは無属性の弾を作り出して攻撃する『破弾』、二つ目は初級回復魔法『小さな癒し』。
この『無属性魔法』の詳細を見たときシーナが驚きの声をあげたので理由を聞くと詳細を見た瞬間に二つの魔法の詠唱が頭に思い浮かんできたらしい。
恐らく、使える魔法名――――――――――『破弾』や『小さな癒し』等が分かっていれば、詠唱が分かるようになっているのだろう。
詠唱がわかってからは発動するまで延々とイメージを持ちながら詠唱を繰り返し、魔法が発動するまで続けた。
無属性で『破弾』という魔法名だけでイメージをし、数時間かかったとはいえ、発動させることができたシーナはすごいと思う
ボクが魔法を使えるのはAWのおかげだし、AWではスキルさえあれば、練習しなくても簡単に発動していた。
そして、シーナが『破弾』を発動できるようになったので実戦訓練を始めようと思う。
「じゃあ、敵が現れたら『破弾』で攻撃してね、近づいてきた敵はボクが引きつけて倒すから安心して訓練してねー」
シーナの訓練を始めて数時間、シーナのLvも4に上がり、魔法の使い方も段々慣れてきた頃、スライムとゴブリンが現れた。
「あのスライムで依頼は達成だし、これ今日ラストにしよっか」
「はい」
ボクはそう言うと同時にスライムの方へ距離を詰め、両手に持った二本の短剣で切り裂く。
切り裂かれたスライムは形が崩れ、地面に水たまりを作る。
スライムは核が無事ならほかの体が切り刻まれてもすぐに再生してしまう特性がある。
なのでボクはすぐにその水たまりの中に浮かぶスライムの核を破壊する。
「―――――破壊せよ『破弾』」
スライムを倒した直後にシーナは詠唱が終わり、『破弾』を発動させる。
見た目銃弾にしか見えない物がゴブリンの方へ飛んでいき、胴体部分に命中する。
まるで銃に撃たれたように、ゴブリンは命中した部分から赤い血を吹き出しながら倒れる。
「じゃあ、帰ろっか」
「はい」
ボクはそう言うと、シーナの方へ歩き出し、シーナのその後ろの方で弓を引くゴブリンが目に入る。
シーナは気がついていないようだった。
「シーナ!!」
自分に出せる最高速度で走りだす。
ゴブリンはボクの声に反応し、矢を放った。
ゴブリンの放った矢がシーナに当たる瞬間、ボクはシーナの腕を引っ張り、体が入れ替わるように回転し、ボクの脇腹を掠るように矢が通り抜けて行き、掠った場所からは血が流れ出す。
「~~っ!! 『氷弾』」
痛みに耐えながら『氷弾』を発動させ、ゴブリンの心臓を貫き絶命させる。
「ゆ、ユーリ様! わ、私のせいで……、マナよ、集い、清らかな恵みとなれ『小さな癒し』」
慌てて駆けつけてきたシーナの『小さな癒し』で脇腹の傷がふさがっていく。
あれ、確か『小さな癒し』って練習してないよね……?
シーナは回復に向いてるのかな? なんてことを泣きながら抱きついてくるシーナを見ながら思っていた。
6/18 ギルドカードのステータス表示時、種族と所属を追加しました