表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
PR

走り高跳びで、バーの上までとんだらそこに…

作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
掲載日:2026/08/04

夕暮れのグラウンド、高跳びのバーの真上に潜む「何か」。

目を合わせたら最後、もう逃げることはできません。

一瞬の緊張感を楽しんでいただけたら嬉しいです

「もう高飛びね、バーの上まで飛んだらそこに」

体育館の熱気が嘘のように冷め切っていた。部活終わりの夕暮れ、誰もいなくなったグラウンドで、私は一人高跳びの練習を続けていた。

助走をつけて踏み切る。体がフワリと宙に浮き、背中からバーを越える——その一瞬、世界の景色が一変した。

バーの真上。空間が歪み、真っ黒な亀裂が走っていた。

その歪みの奥から、ぬっと競り出していた。

血走った巨大な目が一つ、じっと私を見下ろしている。その周りには、無数の人間の指が蠢き、バーの縁を外側から掴んでいた。

「あ」

声にならない悲鳴を上げ、私はマットに叩きつけられた。冷や汗が吹き出す。慌てて起き上がりバーを見上げるが、そこには夕焼け空が広がっているだけだった。幻覚か、疲れのせいだ。そう自分に言い聞かせ、逃げるように鞄を掴んだ。

翌日。部活のウォーミングアップ中、後輩の男子生徒が首を傾げながら高跳びのマットを見つめていた。

「先輩、あのバーの上……何か見えません?」

彼は何かに引き寄せられるように、助走もつけずフワリとバーを跳び越えた。

空中で、彼の動きがピタリと止まる。

彼が上を見上げた瞬間、眼球が裏返り、口が耳元まで裂けた。

「あハ、見えた」

背中からマットに落ちた彼は、二度と動かなかった。

見てはいけない。一度でもあの「上のもの」と目を合わせてしまえば、二度とこちらの世界には戻れないのだ。

しかし、私の脚は勝手に助走位置へと向かっていた。目を閉じることすら許されない視線が、上空からじっと、次の跳躍を待っている。

日常のふとした瞬間に、世界の裏側が見えてしまう恐怖を描いた作品です。

高跳びの頂点という、一瞬だけ重力から解き放たれるエアポケット。そこに潜む「何か」と目が合ってしまったとき、人はもう逃れることができません。

後輩の惨劇を目の当たりにしながらも、吸い寄せられるように助走を始めてしまう主人公。彼女が跳んだ先に何が待っているのか、想像しながら余韻を楽しんでいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ