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【完結保証】蓮池に霄(そら)は揺蕩う〜ツッコミ少女はポンコツ仙人をどつきたい〜  作者: サキハナ月子


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27.眠らない娘③

2話投稿します。

秀蘭に用意してもらった部屋で、采蓮は凌霄に詰め寄った。


「何勝手に泊まるとか言ってるんですか。嫌なんですけど、ここに泊まるの……」


この家の全てが采蓮の背筋をゾワッとさせてくるのだ。


「それに、どうするんです?

針は確実にあの子に刺さってると思いますよ。すごい光だったので」


5歳児と化した凌霄は難しい顔をしながら腕を組んでいる。


「うむ……陽の気で無理やり活性化させておるのだろう。

……むごいことを」


低くボソッと呟いてからため息をついた。


「母親が眠ったところを見計らい、針を壊すのが良かろう」


そして紅葉のような小さな手で采蓮をぺちぺちと叩く。


「そなたは眠っておればよい。風邪を引いておるのだろう? 気が“眼”にうるさければまた札を貼ってやる」

「信用できないんで私も起きてます」

「なぜ」


*****************************


夜になり、辺りが寝静まる時刻。

秀蘭が眠るのを今か今かと待っていた二人だったが、眠る気配のない彼女に采蓮が眉を寄せた。


「……全然、寝ませんよ。あの人」


「恐らくあの者自身も娘の陽の気に当てられ続けておる影響で、眠らずとも過ごせておるのだろうな」


――ねんねよ、ねんね


私のかわいい たからもの――


秀蘭の子守唄が、延々と家の中に響いている。


采蓮はそれが薄気味悪く感じるのか、しきりに腕を抱えるようにして擦っている。


凌霄は、仕方ない、というように寧寧の横たわる部屋へと足を踏み入れた。


入ってきた凌霄に、秀蘭が歌を止めてその顔を向ける。


「あら、ぼうや。どうしたの? 眠れない? それとも、厠かしら?」


優しく微笑みながら凌霄に話しかける秀蘭に、凌霄が近づいていった。


「母君よ……そなたは、その子の顔をよく見ねばならぬ」


「どういう意味かしら? ちゃんと見ているわ」


「なぜ、そなたは眠らず子守唄を歌う?」


「この子が、眠ってくれないのよ。だから毎晩こうして寝かしつけてあげているの」


ぎゅっと唇を引き結んだ凌霄が、寧寧に向って手を伸ばした。


秀蘭は小さな子どもが娘に触れることを止めるつもりがないようだ。


「この子は、子守唄では眠れまい」


そして、凌霄は寧寧から針を引き抜き、それを壊した。


遅れて部屋に入った采蓮は大きく目を見開いた。

発光していた寧寧の体から、一気に気の光が飛び立っていったのだ。

部屋が明るくなるほどのたくさんの光の筋が飛び交い、やがて穏やかに数を減らしていく。


そして、采蓮は初めて見た。

寧寧の顔を。

彼女の目は、見開いていた。

落ち窪んだ眼窩でカッと目を開いていた。

それが、光を失うにつれて、ゆっくりと閉じていく、その過程を見た。


(そんな顔を、していたのか……


……あんな顔を、見てたのか……)


ゆっくりと凌霄の小さな体に近づき、並んだ。

采蓮には見えていなかった寧寧の苦しみを、凌霄は見ていたのだ。


まだ、我が子の重大な変化に気づかない秀蘭は、一言つぶやいた。


「あら……ようやく眠ってくれたのね」


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