25/35
25.【Side.秀蘭】眠らない娘①
2話投稿します。
「秀蘭さん、その子は、もう……」
「嫌よ!!!! 絶対に、死んでない……この子はまだ、絶対に……」
寝台の上で力なく横たわる幼い少女を、秀蘭と呼ばれた女はかき寄せるように抱いた。
少女の名は寧寧。秀蘭の娘である。
やせ細った割に手足は水っぽく浮腫み、肌は血の気がなくくすんでいて、落ち窪んだ眼窩には光がない。
誰の目にも、その命の蝋燭はたった今消えたように見えた。
秀蘭は、夫を早くに亡くしていた。
女手一つで育ててきた、たった一人の大事な娘。
その寧寧が、皮肉にも夫と同じ病を患った。
「寧寧!! ほら、しっかりして」
我が子の手を握りしめ、必死に向こう岸へと行ってしまわぬよう引き留める。
寧寧の指先には温度が感じられない。
自らの温度を分け与え、何度も擦った。
そうでなければ、この子は心の臓まで冷えてしまう。
見ていられない、と町医者が部屋を出るのと入れ替わりに、見知らぬ男が入ってきた。
「あーあー。匙投げられてもたか。」
「その子、僕ならなんとかできるかもしれんのやけどなぁ……お母さん?」




