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【完結保証】蓮池に霄(そら)は揺蕩う〜ツッコミ少女はポンコツ仙人をどつきたい〜  作者: サキハナ月子


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24.かまくらつくろう

「冷たいぞ」


采蓮に両手で頬を包み込まれた凌霄がそのあまりの冷たさに顔をしかめた。


「すみませんね。ずっとここにいたものですから」


相変わらず空気を読まない凌霄にむっとして采蓮はすぐに手を離した。


「そうだ。かまくらを作ろう」

「はい?」


なぜいきなりそうなる。

采蓮が面食らっているうちに、凌霄が雪をかき集め始めた。


「ちょ、なんでいきなり」

「おぬし、知らぬのか? かまくらは温かいのだぞ」


雪をかき集めてはかためて手を真っ赤にしている凌霄のその言葉に、采蓮の目が瞬いた。


「作る前に手が凍っちゃいますよ」

「確かに冷たいな。ここは一つ仙術で」

「やめとけ」


村人から詰られたのではないのだろうか。切り替えの早いことだと思う。


「痛くないんですか?」

「ん? 問題ないぞ」


まだかまくらを諦めていない凌霄がパンパンと雪を押し固めながら答えた。


「つらくないんですか?」


采蓮がしゃがみこんで雪玉をそこに乗せた。

凌霄が手を止めて少し考え込む様子を見せる。


「ふむ……こう、腹にぐっと力を込めるのだ。そうすると、がっとなる」

「なんもわからん」


凌霄が、おもむろに赤くかじかむ小さな手を采蓮の頭に置いて撫でた。


「そなたはまだ若い。此度の件は堪えたろう。嫌なことに巻き込んだな」


「私のことじゃなくて……あなたの話をしてたんですけど」


「言ったであろう。大事ない。ぐっ、で がっ、だ」

「はいはい」


謎の擬音で何かを説明しようとしている凌霄に、呆れとともになんとも言えないもどかしさを感じた。


「ほんと、無理はしないでくださいよ」


「いやぁ、ほんとほんと。もっと言ってやってくださいお嬢さん」


「!?」


気づかぬうちに隣に人がいたことに驚いて采蓮は飛び上がった。


会話に突然乱入してきたその人物は、丸投げ天仙の景朔であった。


「二人でかまくら作りですか。仲良きことは美しきかな。うんうん、いいですねぇ……

凌霄もまた一段と縮んで……ぷふっ」


相変わらず煽る男である。

しんみりした空気がぶち壊しになり、二人して目が据わった。


「何をしに来たのだ」


不機嫌そうに睨んでくる凌霄に向かって、景朔は手を伸ばした。

ふわりと温かな気配が凌霄を包み込んだかと思えば、彼の傷が跡形もなく消えていた。


「ちょっと様子を見にね。あなたって人はすぐ無茶をするんですから」

「治癒など不要だ。放っておけば治るものを」

「ほーんと、頑固でおばかさんですねぇ……

お嬢さんもそう思いません?」


こればっかりは景朔に同意する他ない采蓮はこくんと頷いた。


「私はねぇ、確かにあなたに手伝いを依頼しましたよ。でもこんな正面突破で突っ走るとは……まぁ思ってましたが。ふふふ」


何故か凌霄の隣で景朔までかまくらを作り始めた。しかもちゃっかり自分は手袋をはめている。


追い出された村からほど近い場所で何故か仙人二人とかまくらを作っているこの状況。


(なんだこれ……)


「あ、もしかしてこれ、私とお嬢さんが夫婦に見えたりして? 凌霄はオマケですね」

「は?」「何?」


采蓮と凌霄が同時に景朔を睨んだ。


「夫婦に見えるわけないでしょ。せいぜい私が付き人に見られるだけです」

「なぜ私がオマケなのだ。私のオマケがそなたらだろう」


二人からの反応を見た景朔は肩をすくめた。


「やれやれ。まだまだですねぇ……」

「なにがだ」


パンパンと雪を払って景朔が立ち上がる。


「次はもっと面白い展開、期待してますよ」

「あ、おい」


またしても瞬きのうちに消えてしまった。

景朔が消えたあとには、立派なかまくらが出来上がっていたのだった。


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