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23.【Side.張福】凍えない村④
張福は、外の喧騒をどこか他人事のように聞いていた。
どうやら、この作り物めいた春が終わるらしい。
小屋の隙間から温かな気配が逃げていくのを感じる。
「みんな、怒っとるなぁ……ふふ、」
それはそうだ。
ぬか喜びだったのだから。
張福だって少しは思った。
もう少し、生きられるかも、と。
諦めたように目を閉じる。
けれども――
体の芯を掴んで、すべての命を凍てつかせる、あの獰猛な冷気がいつまで経っても入ってこない。
隙間風はただ、ぷるっと張福を震わせるに留まった。
「うぅ、さぶ……」
張福の脳裏に、いつかの記憶が蘇ってきた。
みんなで身を寄せ合い、寒い寒いと言いながらも笑いあった、そんな頃があった。
子どもたちはおしくらまんじゅうで体を温めていたっけ。
「あぁ、そうそう。冬ってのは、こうだったよなぁ」
絶望と言うにはいささか緩い、懐かしき”冬”が、戻ってきた。




