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今日から神様のペットです⑤

「リナちゃんかわいいー!!!!!!!!!!ぐへへ、まるで天使だね~!!さすが私が関わってだけあるよ!!!!」


カリナ様によるブラッシングを終え、もこもこで柔らかいパジャマを着せられた後カリナ様から四方八方から見るように全身を見られていた。なんだか吐く息がはぁはぁと怪しい吐息になってきた。危険かもしれない。


「わ、私のことはいいですから!それよりカリナ様もそのパジャマ似合っていますね」


これは本心から出た言葉である。慌ただしい神様だが見た目は超美人である。人ごみに紛れていても一目で気づきそうなぐらいの美人である。なので自分が狼との戦いの最中に意識を取られたのも必然ではないのだ。多分。そんな人が自分とペアルックみたいに似たようなパジャマを着ているのだから愛らしいに決まっている。普通なら興奮するところだが残念ながら興奮するブツはない。どこぞの神様のせいでどこかに消えてしまったようだからな。


「えへへ~、リナちゃんから褒められちゃった。寝る前は毎日ペアルックしようね~!一度してみたかったんだぁ」


こんなこと言われたら卒倒しそうだ。いや、女にしたことやペットのように扱うことは許すつもりはないが。そういえばカリナ様は夜どうしているのだろうか。


「ペアルックぐらいは認めるというか、どうせ服装の選択肢がないのでここまで来たらもういいですが・・・、カリナ様はこの後どうされるのですか?」


「この後って夜のこと?なになに~、もしかしてリナちゃんそういうお誘い?全然大歓迎だよ?」


「そっ、そういうわけではありません!カリナ様は一応神様と名乗っていたので、神様も夜は寝られるのかなぁと」


「そういうことね、別に神様も全能じゃないし寝ることはあるよ?必要は無いけど。まあ寝たほうが楽だし夜にすることないから私は寝ることにしているよ。他の神様は知らないけど」


「そうなんですね、ということはいつも私が今朝目が覚めたあの部屋で?」


「そうだよ。別にほかの生き物もいなかったからね。一人でなんだか寂しいなぁと思ってたからリナちゃんが来てくれてほんっとうに嬉しい!」


「そうでしたか、私もこの世界にきて急に勇者だと言われて一人にさせられて、まだ旅に出て数日だったので寂しさは感じませんでしたがいつかは私もそうなっていたかもしれませんね」


「というわけでリナちゃんは私の寂しさを紛らわすために毎日私と一緒に寝ること!」


「はい?」


なんだか一瞬いい雰囲気に傾きかけていたような気もしたが爆速で搔き消されてしまった。待ってくれ、元の世界でもそんなこと経験ないんだが。全力で止めようと思ったがここの家の紹介をされたときに寝る場所がこの部屋しかないことを思い出した。今からでも自分の部屋を作ってもらうしか。


「カリナ様!さすがに一緒は私が恥ずかしいので・・・、私専用の部屋を作ってそっちで寝させてください・・・」


「いや、今日は色々と我慢したからね。部屋は作ってあげてもいいけど寝るのはこっちね」


駄目そうである。こうなったら反抗する手段が自分には見つからなかったので大人しく従うことにする。美人と寝れるのは嬉しいのはうれしいのだが、問題はそれがカリナ様ということでそれはそれこれはこれでしかなかった。そうこう思っていると両脇をカリナ様が持ち上げ、まるで伸びる猫のようにベッドまで運ばれる。


「よいしょっと。えへへ~、昼間お預けされた分たくさんナデナデしてあげるからね~!」


「な、撫でるのはやめてください!あうぅ・・・」


僅かばかりの反抗も束の間、頭をなでなでされる。カリナ様と布団の中で寝そべりながら面を向かっているため顔を見られてとても恥ずかしい。顔が赤くなっているのを感じる。


「恥ずかしがるリナちゃんもやっぱり可愛いねぇ~、ぐへへ」


顔を見られるのが恥ずかしいので目を瞑って少しでも距離を取ろうと反対側を向こうとするが


「だーめ、大人しく私に撫でられていなさい」


と、逃げられそうになかった。結局今回も撫でられることを諦め、大人しくカリナ様に従うことにした。・・・しばらくすると私もご主人様の優しいなでなでに気持ちがよくなったのか少しばかりうとうととしてきた。私がご主人様と一緒に寝られるなんて、光栄なことである。出来ることならもっとなでなでしてほしい。私はご主人様のペットだと感じさせてほしいと思い始めていた。ご主人様が撫でてくれているという安心感から、このまま私とご主人様の幸せな日々が続いてほしいと願いながらぐっすりと吐息を漏らしながら深い眠りについた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日、目が覚めると体が動かせなかった。原因は金縛りとかそういうものではなく自分のお腹に手をまわし、まるで抱き枕かのように自分に抱き着いているカリナ様のせいのようだ。目が覚めて昨夜のことが夢ではなく現実であるということにほんの僅かだけ辟易とした気持ちを抱いたが、まずはカリナ様を起こすことが大事である。でないと動くことすらままならない。まさかカリナ様の腕からすら逃れぬことが出来ぬとは。


「カリナ様、起きてください。私が動けません」


といってゆすってみると


「う~ん、もうちょっとリナちゃんに抱き着く~」


ともっと抱き着かれてしまい逃げられなくなってしまった。ええい、仕方ない。こうなれば恥を承知で試してみるか。


「もう!カリナ様のこと嫌いになりますよ!」


とぷんぷんという擬音が出そうな感じで怒ってみる。やってみたが非常に恥ずかしすぎる。二度とやらない。ところが


「それだけはだめ!!!!!!」


とがばっと起きた。効果てき面のようである。ついでに腕も離してくれたようだ。・・・何かあったら最終手段としておぼえておくか。


「うえ~ん、リナちゃん私のこと嫌いにならないで~」


といって抱き着く。あれ?結局状態が変わってないのだが?


「分かりました、わかりましたから!嫌いになりませんから!とにかく離れてください」


「も~、リナちゃんは素直じゃないなぁ」


と言ってなんだか微笑ましいものを見るような目で自分から離れてくれた。その時、自分は気付かなかったが尻尾はぶんぶんと嬉しそうに振っていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


起きたはいいものの、起床が遅かったのか既に昼前になっていた。今日も残っている果物やパンを食べたのだがさすがに食事を改善しなければならない。料理を楽しみにしているらしいカリナ様もそれは思うところがあったようだ。


「カリナ様、さすがに食材を買いに行きませんか?私が死んでしまいます」


「う~ん、そうだね。さすがに買いにいこっか。近くにアメリアちゃんの国と小さな村があったけどアメリアちゃんの方に行こうかな。村のことそんなに知らないし、アメリアちゃんの国の方が近いし、せっかくだから挨拶に行こう!」


せっかくだから村の方にも行ってみたかったが仕方ない。しかし、近くの国はもしや国王から言われていた魔王のいる国であろうか。もうこの姿にさせられて戦うことはできないとはいえ、なんだか行くのが少し躊躇させられてしまうが食材を買いに行かねばならないし、何よりカリナ様の決めたことを拒否する権利は恐らく自分にはない。


二日目だからか昨日の(強制的に着せられた)記憶をたどって一人でメイド服になんとか着替えることが出来た。いや、女装しているみたいで非常に喜ばしいことではないのだが。


王国に近いと言ってもさすがに距離があるし、今日中に行けるのだろうかと今更思ったところ、昨日のようなラフな服装ではなくワンピースを着たカリナ様からこう言われた。


「準備は出来た?じゃあ行くね?」


というと、その刹那景色が変わった。家の中にいたはずなのに今はそこそこ大きな城門に囲まれた町の入り口が目の前にあった。周りに人はたまたまいなかったが門番さんはいたようで口をパクパクと開けながら驚いている。自分もびっくりである。こんな魔法があるのなら王国の人はなんで使ってくれなかったんだ。カリナ様はそんなことも気にせず町に入っていこうとすると、あわてて門番さんが止めに入った。どこぞの村の門番は寝てまともに仕事をしていなかったのを一度見ていたので安心した。いや、あのような門番ばかりだったらさすがに安全性に問題があるが。


「す、すいません。そこの方。うわ、美人だ・・・、じゃなくて何か身分を示せるものはありますか?」


「えー、なんかあったっけ?何も持ってないなぁ、だって私神様だし」


意味分からない理論を展開している影響で門番さんが頭に?を浮かべている。流石にこれはカリナ様が悪い。門番さんには同情を得ない。どうしたものかとしているとカリナ様が騒ぎ始めた。



「うぅ~、私はリナちゃんとの散歩に来たし、アメリアちゃんにも会いに来たんです!通してください」


などとわーわーと騒ぎ始める。門番さんが「アメリアちゃん?まさかアメリア様のことか?」などと疑問を持ち始めているがさすがに困惑しているようだ。いきなり門番の前に出てきて急にトップを出せというのだから悩まない方がおかしい。どうするべきか悩んでいたら状況がもっと悪化してしまったようだ。しかし、自分が出来る事はあまり無さそうだ。そこで騒ぎ(ほぼカリナ様のみのせいだが)を聞きつけたのか、たまたま近くにいたのか、従者のような人を引き連れた身分の高そうな女性が現れた。すると門番は突然慌てだした。


「ア、アメリア様!?どうしてこちらへ・・・」


「なんだか騒がしいことになっていたようだからね。・・・あら、カリナちゃんじゃない?わざわざ私の国へ来てくれたのかしら。そこのメイドさんはもしやネイラが言っていたあの人物かしら・・・。というわけでそこの門番よ問題ないわ。私が許可するから入れなさい」


「そ、そうですか。ではお通りください」


「アメリアちゃんだ、よかった~。入れなくてどうしようかと思ったよ」


カリナ様も同じようなことを思っていたようで、救世主の登場でなんとかどうにかなりそうである。ところでこの女性は自分のことを知っているようだ。メイドになったことなど知っている人物などカリナ様以外に知らないはずなのだが。なんだか怪しい雰囲気を感じながらアストレア国の中に入ることとなった。

ただの一日を過ごさせるのに五話も書いてしまいました・・・。

今更ですけど、リナの思考を変えているところは李空の精神(男としての精神 通常時)とは別の、リナとしての精神(ペットとしての精神)みたいに別の思考をしているという風に解釈していただければ結構です。

ちょっと長くなりましたがどんどんいろんな話やキャラについて触れたり新しく出せていけるよう頑張りますので続けてまた読みに来てください!

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