そういえばペットだった
投稿が遅れました。まあそういう日もあります
朝からカリナ様の仕業によって既に自分からしたら地獄みたいな状況になっている気がする。手が肉球に変えられてしまったためまあ指の自由が利かない。これ物を取るのもままならないし絶対にどこかで困りそうなんだが・・・。そのため追加で付けられている首輪?リード?この際どちらでもいいが当然これも取り外せそうにない。全くなんてことをカリナ様はしてくれたんだ。どう考えても不自由しかないがそもそもカリナ様は自分をカリナ様のメイドにする以外にもペットにするとか言っていた気がする。もはやペットというかおもちゃみたいに扱われているときがあるような気もしなくもないが・・・。
「これ物が取れるか怪しいんですけどどうするんですか?!」
「う~ん、それはその時に考えようかw」
念のために何か起きた時のことを聞いてみたがこの返事である。まあ何か起きたらその時の自分に任せるようにしよう。なんかもう今日も嫌な予感しかしないのも気のせいではないだろう。
取り敢えずベッドを出よう、と思って立ち上がると突如首元がグイッと引き付けられるような感触がある。・・・リードを付けられていたんだった。これカリナ様が動かない限り自分も動けないな?
「あの、カリナ様?朝だから動きましょうね?」
「そうだねぇさすがに動こうか」
さすがに動いてくれた。ここで寝るとか言われたらたまったものではないのでありがたい限りだ。ただ、自分が動き出そうとしたときに自分の方が家の中で動くことが多いので、動こうとするたびにリードによって動きが止められるのが少し難儀である。とりあえず今日もアーモンドの様子を見に行くことにしたが、まあ移動が大変だ。ということでカリナ様の真横から後ろにかけてを歩くことにした。こちらの方が動きを合わせればいいのでまだ移動が楽かもしれない。ということでアーモンドの様子を見に行くとなんだかこちらをぎょっとみるような目つきをしていた気がする。今更だがアーモンドは目や尻尾がよく動いて感情がころころ変わっている気がする。今日もアーモンドのブラッシングをしてあげたが、何だかふんとどこかに見せつけるような顔つきをしていた気がする。一体どこに向かってしていたのかは分からないがまあ気にしなくていいだろう。ブラッシングを終えてカリナ様の方を見るととてもむすっとしていた。それはもうえさを口に入れたハムスターのようで可愛らしいがあまり刺激したくない気もする。
「カリナ様、どうかしましたか?」
「ううん、なんでも?私が怒るなんてことはないからね~」
とぷんぷんと怒った様子である。何に怒っているのかよくわからなかったがまあまた機嫌を直したときにでも聞こう。じゃないと自分に何か飛び火してきそうだ。
家の中に戻る時にはもう昼頃である。そう思って調理場に行こうとする。そこでふと気づく。あれ、皿も取れないし、食べ物を調理することもままならないしそもそも食材とれないなと。どうやって食べるんだこれ・・・。
「あの・・・、カリナ様。この手のせいで昼飯が作れませんが・・・」
「ふっふっふっ、そうだと思って考えがあります!」
と言って手を出される。まさかこの状態でどこかに行くつもりだと言うのか。
「待ってください!さすがにこのリードがある状況は恥ずかしすぎます!!考えを改めませんか?!」
「ふ~ん、じゃあリナちゃんにはどんな考えがあるというのかな?」
「ぐ・・・、それはその・・・」
くそ、いい考えが浮かばない!そうこうしているうちにカリナ様がこちらに近づいてきて自分の手をぎゅっと握ってきた。その瞬間いつものように景色が変わる。ここはアメリアさんの城の中だろうか。相変わらず質素な城の中身はアメリアさんの城の特徴でもある。とりあえずでここに来るのをやめてほしい。ただ、今日はアメリアさんに用事は無いのかスルーして通り過ぎていく。城を出る時何人かに入れた記憶のない人間がいるせいかギョッとされたが、何故だかみんな自分の方を見てほっとしつつ可愛らしいものを見るような目で見てきた。いや助けてくれ。
「以前アメリアちゃんに私が突然現れてもいいように部下の人たちに私たちのことを伝えといてねと言ってて正解だったね~」
「みんなにこれを見られた・・・」
リードを付けられた犬っ子メイド(肉球付き)とか絵面が散歩なんだが。挙句の果てにみんなそれを微笑ましそうに見ているのが非常に恥ずかしい。どうしてこんなことに・・・。
「じゃあせっかくだし街の中で昼飯を探そ~!!」
「ほらリナちゃん?歩いて歩いて!」
そう言われて泣く泣く着いていくことにした。いくら食事量が減ったとはいえ流石に昼抜きはしんどいので諦めることにした。
当然だか、街を歩くとみんなから奇異な目で見られるが、一部の人たちからは前1度来た時に覚えられていたのか何人かから声を掛けられた。そしてみんなからも微笑ましそうに「特別な仲なんですね~」などと言われる。もしやそういうプレイをしているとか勘違いされてる?いや、違うから!!これは勝手にカリナ様がしてるだけだがら!自分の意思は入ってないから!だからみんなそんな目で見るのをやめてくれ!!!
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そんなこんなで回避不能な辱めを受けながらカリナ様は今日の昼飯の所を決めたようだ。もう自分はリードで連れ回されている最中だし店を選ぶ気にもなれなかったのでカリナ様に決めてもらった。そこそこ雰囲気のいいカフェのような店らしく落ち着いた店である。
「この店、前にアメリアちゃんが教えてくれたから来てみようと思ったんだよね~」
「そういう事でしたか、カリナ様がこういう店選ばなさそうですもんね」
「あ~!リナちゃんが辛辣だ!でもそんな口を聞いていいのかな?」
「ぐっ・・・」
軽く反撃をしてみたもののこちらは色々と握られてしまっているのである。というか、他のお客さんもリードを付けたメイドを引き連れた女性が気になるのかチラチラと見てくる人が何人かいる。そりゃ気になるよな。自分だってそんな人が食事中に来たらビックリする。メニューはどうするのかと思ったらカリナ様が適当に決めてしまった。
「この店のオススメをください!ちなみにこの子にもお願いしま~す」
「承知しました。料理が出来次第持ってきますのでしばしお待ちください」
変なものは頼まなかったがメニューを確認もせずオススメで!とか言って大丈夫だろうか。まあアメリアさんが勧めてきた店だから安心はできるだろう。しばらくするとスープが運ばれてくる。ほぐされた肉とそれを包むキャベツのような葉物野菜が見える美味しそうなスープだ。最近は自分で作ってばっかで他人が作ったのを食べるのはアメリアさんに振舞ってもらって以来だがありがたく頂こうとする。スプーンを取ろうとして持ち上げた手を見て思い出す。
「・・・スプーン持てないんだった」
「あれー?リナちゃんスープも飲めないの?しょーがないなー、私がリナちゃんに飲ませてあげよう!」
「ほら、あーん」
「ちょ!カリナ様他のお客さんもいますから!人目に着きますから!やめましょう!」
「ふ~ん、リナちゃんはスープ要らないのかな?」
「ぐ、我慢します・・・!」
仕方ない。流石にこの歳になって人前であーんされるのは恥ずかしい。カリナ様みたいな綺麗な人からのあーんはご褒美なのかもしれないがそれはそれ、これはこれだ。人目がある以上もはや罰ゲームだろう。顔が熱くなる感触がある。しかし、美味しそうな匂いに釣られたのかお腹がかなり空いていたのか、きゅるきゅるとお腹が鳴って体は反応してしまった。
「ほら我慢しないで、リナちゃん!はいあーん」
もういいや。周りのことは気にしない。気にしたら負けである。もうこの様子は色んな人に見られているのだ。あーんぐらい恥ずかしくないだろう。
「やった!リナちゃんが言うこと聞いてくれた!どう美味しい?」
スプーンにのせられたスープを1口飲むと普通に美味しかった。肉の旨みと野菜の甘さが交わっていて美味しくないわけが無いという感じである。今度から時々このスープを作ろうかな。食材はまだ残りがあったはずだ。その後もカリナ様からスプーンを出されて大人しく食べる。カリナ様も嬉しそうで何よりだ。追加で頭をよしよししてくる。何でもしてくるといい。ただ、食べ終わりそうな時に消し飛ばしていた恥ずかしさは突然戻ってくる。
「あの・・・、次の料理をお持ちしましたが大丈夫ですか?」
とウエイトレスさんが聞いてきた。そこでスープを食べさせてもらいながら頭をヨシヨシとされる子供みたいな状態を見られていたことを思い出す。再佛した恥ずかしさから犬耳もペタンと倒れ下に俯く。
「あ!すみません、置いといてください!」
「承知しました」
といって何も無かったかのように戻っていくウエイトレスに申し訳なさを感じる。そこからは無心で食べていたので味を感じなかった。気がついたら店を出ていたが、カリナ様がとにかく嬉しそうな顔をしていたのだけは覚えている。
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「も~、リナちゃん元気だして?」
「もうこの店に来れません・・・」
「ね~、ごめんってばぁ~!次は普通に来よう?」
「本当にお願いしますね・・・」
なんかどっと疲れた気がする。なぜ食事をしに来ただけでこんなに疲れているのだろうか。ある程度歩いたらいつものようにカリナ様の手を繋いで家に戻ることにした。




