表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/25

始まりの町②

城下町を出てから数時間ぐらいたっただろうか。道は比較的整備されており通りやすい。魔王だなんだというから魔物が出てくるかと思っていたがこのあたりは比較的少ないようだ。人が住んでいる町ということで危険なモンスターが近づかないように討伐だったり対策をしているのか、スライムやウサギのようなモンスターぐらいしか如何にもなモンスターというような生き物はいなかった。空に飛んでいる鳥類型のモンスターもいるようだが別に襲ってくることもなく、お試しでスライムなどを試しに切ったりしてみて僅かながら実戦経験を積んでおくことにした。いきなり魔王と相対してもどうしようないからである。モンスターが少なくて平和なのはいいことではあるのだろうが、国王が言うような魔王が卑劣な行いをしているというのはまだ感じれなかった。もうしばらくしたら何か出てくるものだろうか


「それにしてもここは涼しくていいな。クーラーガンガンに聞いた室内もいいが、日本じゃなかなか蒸し暑すぎて外に居続けることもたまったもんじゃなかったから忘れていたがなかなかいいものだな。モンスターもあまりいないし平和でいいものだ。途中で一休みしても問題ないかもしれんな」


そう思うぐらいには危険が無いのである。






そこからまたしばらくしても特にこれといったこともなく外が暗くなってきたため寝る準備をすることにした。門番らがくれた配給品の中にパンや桃みたいな果物、簡易式のテントのようなものなどもあった(見た目も使い方も元の世界と大きく変わっていなさそうだ)ため食事をすることや寝ることがなんとか出来そうだ。道中のモンスターについての説明などが全くなかったがこれなら納得という感じである。他には門番からの説明で、少しすると小さな村があるので何かあればそこの門番に伝えてほしいと言われている。村があるというにはあまり人を見かけないのが若干気がかりな点ではあるが、たまたま人が通る人数が少なかっただけなのだろうと思い、村に近づけば人がいるだろうと思って気にかけないことにした。

寝る前にふともらったバングルのことを思い出した。



「このもらったバングルは無くしちゃまずそうだし一応肌身離さずにつけておくか」

「このまま何もないに越したことはないしな・・・」


そうつぶやき、まだ数日かかるとのことだったのでとりあえずは目を瞑ることにした。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



一方、ヒラシア王国内では旅立った勇者のことは、民衆にも風のうわさで「新しい勇者が誕生したようである」という話が広まっているようであった。王国内では、国王自ら新しい勇者についての紹介をするということが触れ込みされていた。


「新しい勇者様が誕生したと言われているけれど今度こそ何か起きるのかね。先代は急に音沙汰もなく消えてしまったといううわさがあるけれど」

「まあ自分ら一般人からしたらこれといって関係のない話だな。国王様自ら何らかの説明があるらしいが何の説明をなさるのだろうか」


などと、これからどんな話をしに来たのか気になった民衆は呼び寄せられたとおりに、城下町内の広場に集まっていた。しばらくして騎士が警護に当たっていたところから喧騒がするようになった。


「おお、国王様だ!」

「今回は勇者についてとのことらしいけどどのような話をなさるのかしら」


などと皆が詰め寄り、いったい何をするんだとざわざわしている様子であった。


「皆の者!静粛に!」

「これから国王さまより大事な話がある」


という、国王の護衛の発言で賑やかだった喧騒がしーんと一気にやむ。皆がまだかまだかと待ちわびるぐらいの頃に国王が発言を始めた。


「ヒラシア王国の諸君、此度は急な呼びかけにも関わらずこれだけの人数が来てくれてありがたい限りである」

「今回は新しい勇者が誕生したということでその報告となったのだが、新しい勇者殿が誕生なされた。勇者殿はかの魔王を打ち倒すと宣言してくれていたのだが・・・。新しい勇者殿は非常にやる気に満ち溢れていたため既に旅立ってしまわれた。王国の民たちに見せられなかったのは残念だが我が王国に必ずいい結果をもたらしてくれるだろう!」


如何にもな報告で国王は報告を終えた。勇者の使い道は実際は違うのだが一部をでっちあげあげて伝えるていることになど気付くようなものはいなかった。先代の勇者は急にいなくなってしまったが今度こそ何事も無く、大丈夫だろうと民衆は安心しているようである。


「おお・・・!新しい勇者様万歳!」「勇者様万歳!これで平和に向かいそうね」


何も知らない民衆は、町に流れる嫌な雰囲気や隣国との関係悪化による交通の不便さなどが治ると思って直に喜ぶばかりであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・・、新しい勇者か。どうせこの国王が魔王と呼んでいるのは私たちの女王様のことだろう。早急にアメリア様に伝えに行くか」


民衆の集団から少し離れていたところで国王の話を聞いていたフードを被った少女は集団から離れて、人目のつかないところへひっそりと進むと失われた魔法の一つである転移の魔法を使って勇者が進んでくるであろう先へ転移していった。







その後ネイラはとある部屋の前まで魔法で転移してきた。とりあえずは用件を伝えることが仕事である。


「アメリア様、ネイラでございます。急用でございます」


「あら~、なに?ネイラちゃん。急に私のところまで来るために魔法を使ってくるなんて。珍しいじゃない」


アメリア様、私たちアストレア国の女王である。いつもニコニコしており通常だけだとあまり女王という感じのしない方ではあるが戦闘能力は一級品である。新しい勇者とやらに負けることはないだろう。


「いえ、隣国のヒラシア王国が新しい勇者なるものを用意してなにやら向かってくるようです。念のため早急な対策が必要かと思い参りました」


「あらそうなの?ネイラちゃんは心配性ね、でも大丈夫よ?住民には知らせる必要もないからいつも通りの生活をさせていてちょうだい。」


「ですが・・・、何も対策されないで大丈夫なのでしょうか?」


「あら?私の力だけじゃ不満かしら?」


「いえ、そのようなことはありませんが・・・」


・・・、アメリア様は何か対策が既にあるといった顔つきでいるが、アメリア様が戦うとあまりの火力に国民にまで被害が及びかねないのですがどうなされるおつもりなのでしょうか。


「対策はどうするのかということでも考えているのかしら?でも大丈夫よ。最近おもしろいものを見つけたの。何やら新しいペットみたいなのが欲しいらしくて探していたのよね。そこに進むようにしようと思っているわ。まだ彼女の意見は聞いていないもののおそらく利害が一致しているか喜んで受け入れてくれると思うわ」


「左様でございますか。確かにあのお方なら問題ないでしょうね」


あのお方とは最近アメリア様とお知り合いになられた女性であるが、私もそんなに彼女の情報を知っているわけではない。ただ一つ言えるのは彼女がアメリア様をはっきり超えるぐらいの実力を持っているということだ。いったい彼女がどこから来たのかは私の知りうるところにはない。


「というわけで彼女にも今回の件を伝えておいてくれるかしら?場所はここの近くに村があるでしょ?そこの道中から反れたところに家を建てたと最近聞いたからそこに向かってちょうだい」


・・・、若干無茶ぶりにも近いような仕事だが敬愛するアメリア様から任命された仕事なので快く引き受けよう。探せばいつか見つかるだろう。


「う~ん、もうちょっと国民にちょっかい出すのはやめなさいって言うべきかしらねぇ。平和なのが一番いいのだから近所づきあいは大事にしないといけないのにねぇ。一度私のほうから処罰を下すべきね」


「アメリア様、死人が出ないようほどほどにしてくださいね?後処理をする私も大変なのですから・・・」


「あら、ネイラちゃんも言うようになったわね?」


全くこの人は・・・。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



翌日の朝、リクは特に大きな問題もなく目覚めることが出来た。そのため、とりあえず馬を連れてまた進みだす。日が昇り、推定昼前のころになると歩いている人が発見することが出来た。村の姿も見え始めだんだんとその姿が大きくなってくるが、村自体はそこまで大きくなく小規模の村という感じだった。別に立ち寄る必要は無いのだが、半日ほど人を見かけていないわけでそうなると多少人がいるところにいたほうが安心するものである。また少しばかり馬を休ませてあげようと思った。昼ぐらいにはなんとか村の入り口に着いたので、どうみてもサボっているようにしか見えない眠そうな門番に声をかける。


「すまない、王国から魔王とやらを討伐しに来たのだが少しよらせてもらうことは構わないだろうか」


「zzZ・・・」


・・・、眠そうではなく昼間から寝ているようだ。いくら何でもいろいろと思うところはあるが実際寝る余裕がありそうなくらいのどかな街並みである。とりあえず肩をゆすって起こすことにした。


「急に起こしてすまない。この村に少し立ち寄りたいか問題ないか?」


「いやぁ~寝てしまっていましたね、へへへ。わざわざすいやせん。ワニカタ村へようこそっす。身分を立証できるものはあるっすか?」


身分を証明できるものか、何かあっただろうか。そういえば王国の言うことが正しければバングルとかが身分証みたいに役割にならないだろうか。


「近くのヒラシア王国とやらの国王から直々にもらったこのバングルでは駄目か?」


「あ~、少々待ってくだせぇ。確かバングルを持った人間がいつか来るかもしれねぇと少し前に来たお役人さんがなんか言ってたな。よし、いいだろう。入って大丈夫だぞ」


さすがにちょっと雑過ぎないだろうか。問題なく入れる分には構わないが。


「・・・、そんなあっさりで問題なのか?」


「おうおう、問題ねぇよ。それにこの村にめぼしいものはないからな。盗賊とかが来ても人攫いぐらいしかすることもないさ。というわけで変なことさえしなければ問題ないぞ」


「そうか、では少し立ち入ることにしよう」


そういって村の中で軽い休息をとることに決めた。

続きは明日の17時ぐらいに出すと思うのでよろしければまた読んでくださると幸いです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ