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始まりだった町③

カリナ様の手をつなぎ、景色が変わったその刹那強い風が吹いたので目を瞑る。目を開くとなんだか足元がすーすーする。いやメイド服がスカートなのでそりゃすーすーはするのだがそれとは違う感じがする。何というかこれは物理的に地に足が付いていないような・・・、まさかなと思って目を開くとこれはまあ高いところにいた。


「うぎゃあ!!!」


と言って反射的にカリナ様の腕に抱き着くような形になってしまう。


「おや?リナちゃんから抱き着いてくるなんて珍しいですねぇ」


「そんなこと言ってる場合じゃないです!!お、落ちますって!!早く降りてください!!」


そうなぜか空中にいた。これは高所恐怖症とか何もなくても怖すぎるだろう。カリナ様から離れてしまうとどう考えても落ちてしまうわけで握る手を離すことが出来なかった・・・・。いや待ってくれ、なんでカリナ様は浮いていられるんだ。


「え~、今のリナちゃんなら落ちてもそんなにダメージ受けないと思うよ?私がリナちゃんのステータス弄ってるし」


「深刻な心のダメージを受けますって!!!それよりなんでカリナ様はこんなところで浮いていらっしゃるんですか!」


「なんでってそれは私が神様ですからねっ!!」


そういえばそうだった。いやそれで納得するのもどうかと思うが。あとそのどや顔を辞めてほしい。とにかく早くおろしてもらいたい。カリナ様が落ちてもダメージはそんなに無いとは言っても心臓に悪すぎる。うっ、なんだか気分が悪くなってきた・・・。


「う~ん、高い場所から見ると見やすいかな~と思ってリナちゃんにもおすすめというか紹介しようと思ったんですけどなんだかまずそうかな」


「と、とりあえず地面に降りましょう・・・、うぷっ」


「うわー!!なんだかよくない絵面になる予感!!とりあえず適当にあそこにしよう!!」


とカリナ様が言うと瞬間景色が再度変わる。本当に適当に選んだのかどこかの道のようである。取り敢えず地面に足がついてほっと一安心した。流石に空中に浮いている状況でシラフでいられる人はなかなかいないだろう。


「とりあえず適当なところに降り立ったけどどこかなここ?」


「えぇ~、目星つけずに本当に適当に選ばれたのですか?」


「う~ん、この辺りそんなに知らないからねぇ。一応国の中まで行こうと思えば行けるんだけど行ってもどうしようもないからねぇ。知ってる人もいないし」


との事だった。なんだかこの道見覚えがある気がする。もしかしたら、ヒラシア王国から旅立った時の通路なのだろう。だとすると道なりに行けば王国が見えてくるはずだ。カリナ様はこれからどうするのだろうかと思っていると突如大きな爆発音と空振が来た。どこかで遂に戦闘が始まったのかもしれない。遠くの方から煙がモクモクと上がっているのが見える。近づかないようにした方がいいだろう。


「おっ、遂に始まったかな?う~ん、どこで見ようかなぁ。空からと思ったけどリナちゃんがダメそうだしなぁ、とりあえず前に進もうか。気になるから最前列で見たいし」


「え?もう戦場に突っ込んでいく気ですか?」


なんでライブを見に行くファンみたいなことを言い出すのだろうか。アメリアさんとの会話で傍観するみたいなことを言っていたような気がするのだが前線に居たら思いっきり巻き込まれないだろうか。ただ、

結局のところ最終的な決定権はカリナ様にあるので諦めることにした。何よりカリナ様の隣にいればおそらく守ってくれるのだろう。


―――――――――――――――――――――


アメリアは敵を待つ体勢で自陣で待ち構えていると遂におそらく敵からの魔法による攻撃と思わしき爆発音が聞こえた。自兵に敵を見かけても攻撃せず、相手に先制攻撃させるように言いつけていたが守ってくれていただろうか。戦争の自己処理において結局は勝てば問題ないのだが、その上で先制攻撃はいい印象を与えない。更に相手にその先制攻撃によって士気を高めてしまう危険性もある。どっしりと構えた状態で後出しジャンケンの要領でやった方が士気が上がりやすいだろうとの判断だった。


「今の状況はどうなっているかしら?」


とりあえず近くの部下のひとりに声をかける。ネイラにもすることがあるので今日は他の部下を用意しておいた。ネイラだけを使い続けていると不満が出かねないし、他の部下にも優秀な人材はいるので使ってみたかったというのもある。


「はっ、現在ヒラシア王国からの攻撃を受け反抗の準備を進めております。直ぐに攻撃することが可能です。攻撃しますか?」


「いえ、攻撃は少しだけでいいわ。程々に攻撃したら攻撃部隊には大きな被害が出る前に撤退させなさい」


「承知しました。では伝えてまいります」


相手には攻撃しても反撃してこないように見せて突っ込んできてもらおう。おそらく兵力的には相手の方が多いため戦術的な有利を作っておこうと高台は予めネイラに陣取ってもらっている。そこを維持しながら高台を抑え続けて、相手が真っ直ぐ攻めてこれるようにしか出来ないようにしておいた。とりあえずはこれで問題ないだろう。アメリアはまた新しい戦況が伝わるのを待つことにした。


―――――――――――――――――――――


大きな爆発音が聞こえた。おそらく自兵が攻撃を仕掛けたのだろう。適当に周りのものに状況を伝えるように急かす。


「ええい、戦況はどうなっておる?」


「はっ、現在アストレア国と思われる兵士を発見。攻撃を仕掛けました。敵に直撃こそしませんでしたが、相手の反撃が乏しいのかこちらが有利に進められております。押し込んでいきますか?」


「当然であろう。また、高台を優先的にとるよう伏兵には伝えておけ、あそこはできる限り取っておきたい。それまでは敵兵を各個撃破するように押し込んでいけ」


国王は偵察による情報で数の兵力で相手より大きく上回っていることから数で押し込む作戦に出た。各個撃破していけば順当に優勢になっていくからである。念の為に高台も取ることを忘れない。奇しくも相手が既に陣取っていることは知らないが、ある程度勝てる見込みがついて国王は安心から笑みが止まらなかった。


―――――――――――――――――――――


カリナ様に連れられ道を歩いていく。歩いているとあちこちから爆発音が聞こえる。戦闘が各地で起きているのだろうか。それでも気にせずカリナ様は進んでいく。流石に通常の道を歩いていると遂に多くの兵士の姿が見える。一応カリナ様が兵士たちの目の前で脇道に逸れていくが、だというのに兵士たちはそれを気にしないというより、まるで見えていなかったように進んでいく。


「ど、どうしてみんな自分たちを気にせず歩いているんですか?!」


「あぁそれはね、当然私の力で認識できないようにしているからだよ。触れられたりとかで感知されない限りは見つからないよ。ただ、大声とかだすとバレちゃうかもしれないからそこだけは気をつけてね」


そう言われ、思わず口を紡ぐ。カリナ様が最前列で見ると言っていたが確かにこれなら見れるのかもしれない。・・・なかなか見たくない光景が広がり始めるかもしれないが。そう思っていると、目の前を通り過ぎて行った兵士たちもどこかに消えていったようだ。なんだかんだ緊張する場面だったのでほっと一息をつく。するとカリナ様は急に横になりだして明らかに休む体勢に入り始めた。もはや何をしたいのか自分には分からなくなってきた。


「あの・・・、一体何をしているんですか?」


「え?ここで見ようかなって思ったから休んでるだけだよ」


「左様ですか・・・」


理解しようとするのも馬鹿らしくなりそうなので考えることをやめた。自分も座ることにする。服が汚れるかと思ったが、カリナ様も自分も少しだけ地面から浮かしているようでダイレクトに浴びない限り汚れないようにしているらしい・・・、なんだこの状況。

・・・しばらくするとまた戦闘音が聞こえる。今度はいくらか悲鳴も混じっているようだ。人的被害も出始めたのだろうか。そういえば先程通った兵士は服装的にヒラシア王国だと思われるが、アストレア国の人たちはどこにいるのだろうか。なんだかんだ見ていない気がする。そして、先程兵士たちが通った所が騒がしくなってきた。


「もう少ししたらここを動こうかな。また戦況が変わるだろうから適当なところに行こうか」


とカリナ様が言うと、先程の兵士たちが明らかに数を減らしており、命からがら逃げきたという感じであった。傷だらけの人や自分の血なのか相手の血なのか分からないが血まみれ人などが急ぐように逃げている。先程の悲鳴はこの人たちだろう。そこに逃げ道を塞ぐように雷魔法が着弾する。もう逃げられないといった感じで兵士の人たちは戦意を損失してしまったのか後から来た人たちに反抗することも無く大人しく捕まっていた。あとから来た人たちはおそらくアストレア国だろう。どう見ても最初のヒラシア王国の兵士たちよりも人数が少なく見えるが撃破に成功しこちらでの戦いに勝ったようだ。ただ、ヒラシア王国の兵士たちにあまり手を加えるつもりはないのか捕まえたあとも特に何かすることはなくどこかに連れて行ってしまった。あの兵士たちがどこに行って何をされるのかは知らないがそれは戦争が終わったあとに分かることだろう。カリナ様が移動しようとしていたので自分も慌てて移動することにした。

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