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始まりだった町②

「さあネイラちゃん、カリナちゃんへの要請は済んだしそろそろ準備を始めましょう。みんなは避難してくれたかしら?」


「急な要請だったこともあって一部では反発も見られたようですが、アメリア様から戦争に勝った場合補填があると申したところ、みな受け入れて避難しています」


「あら、ネイラちゃん。あなたもそんな手を使うことがあるのね。はぁ、まあ今回ぐらいは皆に多少無理を言っているから目を瞑ってあげるわ」


そう言って、2人はフフフと笑う。今回の戦は比較的民衆の士気も高い。相手方には勇者もいない。なかなか始まる前から優勢に感じるが何事にも入念な準備が必要である。争いは互いに理性がある内に済ませるのが先決だ。理性を片方でも失ってしまえば、それは民衆にもたかが外れた様子が伝わり狂気の絶滅戦争に向かいかねない。それは絶対に阻止する必要がある。ただ、他国からの目もあるのでアメリアは相手が攻めてくるのをゆっくりと待つことにした。待てばあの国王のことだから必ず来るはずだ。



―――――――――――――――――――――


一方でヒラシア王国も入念に準備をしてきた。攻める理由こそ若干でっち上げだが、民衆の不満を戦争に向けることで自分たちの批判を避け、戦に勝つことでその不満から逃げてきた。それは先代の勇者と呼ばれた人間がいたから成し遂げたことである。


「まだ、勇者は見つからぬのか。どこに行ったのかのう。よもや腰抜けすぎてどこかに消えてしまったのだろう」


勇者を見失った今どうするかと言われたら、早急に片をつけるのが賢明であると考え、先制攻撃の構えをじっくりと用意してきた。


「ともかく、明日の早朝に蹴りをつけるぐらいの勢いで攻めてもらわねばな」


国王はいい加減アストレア国が落とせない自国の軍隊にイライラしていた。ならば速攻で攻め落とすまでである。国王は念の為の新しい保険を用意する準備を済ませ、高らかな笑い声を上げながら城の奥へと進んでいった。



―――――――――――――――――――――


アメリアさんたちを見送ったと言ってもワープっぽい力で消えただけだがまたカリナ様と2人きりの家に戻った。なんだかんだあの力は便利そうなので色々と聞いてみたいところではあるが今は別件の方が優先である。


「カリナ様は直接関与しないと言っていましたがどこでどうされるおつもりなのですか?」


「ん~?そーだね~、せっかくだしアメリアちゃんの近くで特等席で見ようかなって」


「だいぶ危険じゃありませんか?!1番狙われるところでは?」


「まあアメリアちゃんぐらいの力があればそうそう押し込まれないだろうし、何よりリナちゃんに酷いことをした人に罰を与えに行こうかなって!」


と言って若干怖い感じの笑顔で答える。一度ボコボコにされたし、昨日の件もあるし笑えない笑顔である。自分としては復讐したいとかそこまで無いので程々にしてほしいが、自分を騙そうとしていたことには間違いは無いので天罰ぐらいは落ちて欲しいぐらいに考えている。早くこんなことが終わってくれればいいのにと思った。

今日も夕食はお腹が空いていなかったので昼のサンドイッチを作った時に余ったパンの残りと野菜でサラダみたいなものを作って食べるだけにした。これだけでおなかいっぱいになるので便利である。その後風呂はもう昨日一昨日と変わらなかった。さも当たり前のようにカリナ様が風呂に入ってきてわしゃわしゃと尻尾とかを洗って、乾かされた後にブラッシングされる。ちなみにブラッシングの途中に穏やかな気分になってカリナ様に抱きつくようにブラッシングを受けていた気がするが気のせいだろう。少し変な考えになっていただけだ、うん・・・。

今日も布団に向かうと、カリナ様は寝る前に家の周りの防御を念の為に固めるらしく外に出て行ってしまった。昨日同様に1人ポツンとベットの上に居座る。窓から外を見ると家やアーモンドがいる小屋に対し、何らかの力を行使しているようだ。家に何かが起きてからでは困るので手間暇かけて防御する手段でも用意しているのだろう。1人で暇なので昨日もしたブラッシングをする。これをしているとなんだが落ち着く気がするのだ。しばらくするとカリナ様が戻ってきた。


「やっと戻ってきましたね、何をなされていたんですか?」


「いやぁ、念の為に家に保護をかけていました。何かあったら困るのでとりあえず耐久力を10倍ぐらいに引き上げて耐火性とか諸々の耐性もつけておきました。まあ私が暴走したり、私と同じぐらいの方が来ない限り問題ないでしょ~へへへ」


「はぁそうですか。とりあえず寝れるうちに早く寝ましょう。なんだかんだ緊張して眠れる気がしないので」


「うん、リナちゃんの望みなら仕方ないね、でも撫でるのはやめないけどね!!!!」


なんかもうここまで来ると今更なので大人しく撫でられておく。と言っても、直近の寝る前の記憶はあまり無いのでガッツリ撫でられているのかはあやふやすぎて分からない。まあ、この例えるならば遠足前の小学生のようなドキドキ感はどうにかしたい。実際に起こるのは遠足のような緩いものでは無く戦争が起きそうなようだが。寝れるうちに寝ようと思い、今日もベットに横になって目を瞑る。カリナ様も布団に入って抱きついてくる。とりあえず気にせず眠るだけだ。これで余計にドキドキしていたらなおのこと眠れない。


しかし、眠ろうと思っている時ほど眠れないものである。まだカリナ様も目を開いているようだ。ちなみに自分に抱きついたままである。


「あれ、リナちゃんまだ寝てないの珍しいね。いつもはうつろうつろしてるのに」


「やはり緊張しているんでしょうか、少しだけ外の空気を吸いに行きたいです」


「いいよ、一緒に行こうか」


そういってカリナ様と共に外に出る。この世界はあまり虫はいないのだろうか。というか、元の世界の国がおかしいだけなのだろうが。他の国では、自分たちの国と違って虫の音を騒音と感じてしまうと聞いたことがある。この世界もあまり虫はいないからなのか比較的静かで聞こえるのは鳥っぽい鳴き声だけだ。この世界に来て初日以来に夜の外を眺める。初日は安全を確認してさっさと寝てしまったが、こちらの世界でも静かな夜はいいものだ。なんというかこう風情がある。この家がある木に囲まれた静かな場所にポツンと自分が置かれているような状況はこちらの世界に来てからの自分の心境を表しているようだ。ふぅと息を吐きリラックスする。ふとアーモンドの様子を見に行くとこちらはすやすやと眠っているようだ。起こさない程度に軽く撫でてから部屋に戻る。アーモンドの落ち着きを見ていたら自分も安心してきたのか少し落ち着いた気がする。再度布団に戻ると落ち着いた影響か寝れる気がしてきた。明日に備えてじっくり寝れるといいな。そう思い、リナは深い眠りにつくことができた。



カリナはリナのまるで安心しきったかのような顔を見て安心する。この2日間は安心して眠れていたようだが今日は色々とまた急な1日だったので考え込んで疲れてしまったのだろう。今はすやすやと寝ているようでほっぺをつついても「う~ん」と言いながら可愛らしげに指を弾き返してくる。うん問題なさそうだ、襲いたくなるぐらい可愛いのはいい事だ。明日はまた色々と大変な日になるだろう。アメリアが攻めると言っている国からリナを呼び寄せた時のような力を感じる。何も起きないのが1番だ。それが上から世界を見てきた観測者としての率直な感想だ。あとは自分も明日に備えて目を瞑ろう。ついでにリナちゃんを撫でておく。なぜなら撫で得なので。



――――――――――――――――――


目が覚める。今日もカリナ様に抱きつかれているようだ。まだ、何も起きていないのか外は静かなようである。と思ったがそもそも起きるのが早かったようだ。日の入り前ぐらいに目が覚めてしまったようだ。抱きつかれて動くことが叶わないので大人しくしているが、このまま何も起きなければいいのにと思いながらとりあえずカリナ様を揺さぶって起こす。少々時間としては早いがまあいいだろう。「もうちょっと寝ます~」とかまるで堕落した人間のようなことを言い始めてるが大丈夫だろうか。まあいいかと思い少しだけ自分も休むことにしようと思ったが来客が来たのでそれは叶わなかった。


「カリナちゃ~ん、メイドちゃ~んいるかしら~?」


アメリアさんと付き添いぇネイラさんが来たようであった。朝早くから来るとは想定外だがそれだけ早く動くつもりなのだろうか、ここに来たのはその情報を伝えるために来たのだろうか。


「私はこれから様子を見てくるわ。程々になったらカリナちゃんも来てちょうだい」


そう言うとあっさりとアメリアさんはネイラさんを連れてどこかに行ってしまったようだった。自分たちも準備を進めていく。といっても特にすることは無い。自分たちは基本傍観することに決めているため特出すべきことは無い。まあ今日もメイド服に着替えるだけだ。いつものように白ソックスを穿き、なぜか短めのワンピースを着てエプロンを被り、ヘッドドレスをちょこんと載せる。なんか既に慣れてきていないか?気のせいだ、そう気の所為。これはカリナ様から強制的に着るよう言われているからで、自分からウキウキで来ているわけは無い、なんだかメイド服を着るのが楽しくなってきた訳では無いはずだ。きっと多分、maybe。

などと謎の言い訳をしていると今日のカリナ様は前来ていたようなワンピースを着ていた。準備が出来たようである。


「リナちゃん準備できた?なら行こっか」


そういって出された手をぎゅっと握ると、景色が変わった

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