散歩から帰宅して
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家に戻ってくる直前見てはいけない物を見た気がするが忘れることにした。とりあえず今日の目的は終わったので何かしようと思ったが、家に帰ってくる前から自分の頭をずっと撫でている。荷物を置いてカリナ様にいつものように両脇を抱えるようにして椅子に運ばれ、昨日のように椅子の上でカリナ様の膝の上に座らされた。今日はいろいろと(先ほど見たもののせいで)反抗する気は無かったので大人しく撫でられておく。
・・・、しばらくの間ご主人様が撫でてくれて私も段々とうれしくなってきて尻尾をぶんぶんと振る。「ふわぁ~」と気持ちよさそうに声を上げ、ご主人様に寄り掛かる。撫でられるときは目を閉じているので少しばかり意識がうつらうつらとしてくる。
「あらあら、今日はリナちゃんが積極的ですね」
「うぅ~、ご主人様~。もっと撫でてください~」
「くぅ~、嬉しそうに寄りかかってきてくれてるリナちゃん可愛すぎます!!!!耳とか尻尾を撫でると落ち着くように弄っていましたが最高です。・・・いつまでもリナちゃんとこんな日が過ごせるようにしたいですね」
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ふと意識がゆっくりと覚醒していく。少しばかり寝てしまっていたようだ。なんだか心がポカポカと温かい感じがする。頭にカリナ様の手の感触を感じながら目を開けていく。
「おや?リナちゃん起きましたか?」
目を覚ますとカリナ様がいた。そういえば昨日と同じようにカリナ様に座らせていたのだった。ふと外を見てみると日が沈みはじめている。今日は少しばかりお腹が空いているようなので何かを食べよう。とりあえずカリナ様にどいてもらわねば。なんでまた抱きついているのだろうか
「すみません、カリナ様。ちょっとした夕食を作ろうと思うので。ぐぐぐ!!!動けないから離れてください!」
「えー、しょうがないなぁ~。アメリアちゃんに教えてもらったおねだり?とかしてもらいたいけど料理も楽しみだしどいてあげる」
なんだか昨日に引き続き嫌な予感がする。カリナ様は自分のことを玩具か何かにしか思ってない気がする。いや、ペットにされたりメイドにされている時点で遊ばれてる感じもしなくもないが。
「とにかく、お昼に結構ごちそうになったのでそこまでの量がいらないかと思いますので、軽いものだけにしようかと思います。それと調理中はさすがに危ないので手を出さないでくださいね!」
「ふ~ん、そうだね危ないから”調理中は”手を出さないよ。リナちゃんがケガしても困るからね」
なんだか含みのあるような言い方だが気にしたら負けの気がしてきた。とりあえず料理を作っていく。元の世界にいた時はある程度自炊ぐらいは出来るが、そこまで料理は出来るほうではない。しかし、昨日の時もそうだったが家事スキルの影響か問題なくできそうだ。買ってきた食材から野菜を取り出し切り刻み始める。スープの出汁用にきのこっぽいのを水に入れて浸しておき、しばらくしたらキノコを取り出して味見をする。自分の知っているキノコと大差なさそうだ。味を確認して野菜を投入していく。時々水を入れたりして味を調整しながらあとは時間経過を待つだけだ。カリナ様が作った台所は火がいらないIHみたいなキッチンになっており、魔力を通すことで火力を調整できる。残った食材はカリナ様が作ってくれた冷蔵庫もどきに放り込む。元の世界ほど便利ではないがカリナ様が魔法で氷を作れたり、冷蔵できるように作ってくれた。カリナ様の力は便利だな~とかと作っていた時に思ったものである。
しばらくして、いい感じに鍋から良い香りがしてきたのでふたを開けると野菜らしい優しい匂いが鼻を包む。発言通りカリナ様は手を出さなかった。いや、手を出されると怪我しかねないので本格的に困るが。というか、今更だがなんでこんなにカリナ様の動向を気にしているんだ?!これだとまるでこっちがカリナ様を意識しまくってるみたいじゃないか・・・!!などと思ってると匂いにつられたのかカリナ様が野菜スープに指を突っ込んで味見をする。
「う~んおいしい!リナちゃんに料理を任せて正解だ!」
頭をぶんぶんと振って、考え事をやめる。
「ありがとうございます、カリナ様。スープを運ぶので食べましょう」
適度にスープを用意した皿に注ぎ、椅子に座る。この世界での食事のマナーは知らないので元の世界準拠でしておこう。
「いただきます」
キノコと野菜の甘くて優しい味わいが口に広がり、自分でもいい料理が出来たのではないかと驚愕する。カリナ様も舌鼓を打ってくれているようで作った甲斐がある。思ったよりも料理が楽しかったのでまた今度も作ろうとリナは思った。
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少し苛立ちを隠せない様子で指を机にトントン打ちつける。周りの者が近づくのも憚られる様子で国王は不満げにしていた。そこにノックを三回して入室許可を求める人物が現れる。
「よいぞ、入れ」
「は、勇者の動向を確認して参りました」
「そうか、やっとか。して結果はどうなった?やはり死んでおったか?」
「いっ、いえ、それがワニカタ村の門番から村に入ったということまでは確認できたのですが、途中までは勇者らしき人物の跡が確認できるのですがそこからが行方知れずで・・・。アストレア国にも斥候を遣わせましたがそれらしき情報は得られませんでした。隷属のバングルは自分で破壊できるものではないので、亡くなった可能性が高いかと。ただ亡くなっていたとして遺体や渡していた馬すら見つからないのは不自然なのでアストレア国が情報を隠し持っている可能性は僅かかもしれませんがあるかと思われます」
「そうか、ご苦労であったか。うむ、そうなるとそれを理由にアストレア国に本格的に宣戦布告するかの。適当に理由を付けて民衆の注目をそちらに向けるとしよう。民衆の中には勇者の音沙汰がまだ数日とはいえ、無いことを訝しんでいる物もいると聞くからの」
「はっ!では私も民衆にいくらかうわさを流すようにして参ります」
「うむ」
そういって部下の男が退いていく。国王としては勇者が行方知らずの今攻めるのはあまり得策ではないのは知っているが、民衆の支持を得るためにも領土を広げ国土を強大化させようという意志が強くなっていた。ただその傲慢さが滅びを生むとは知らずに。
翌日、部下の男の扇動は上手くいったようで近々アストレア国と戦争がありそうなこと。アストレア国が勇者に対して非道な行いをしていること。また民衆がそれに対し怒りを示していることを聞いた。近々戦争をするということで国王は来る日のために準備を着々と進めていくことにした・・・。
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「アメリア様、また急で申し訳ありません。またヒラシア王国の方で動きがあったようです」
「あら、だいぶ早かったわね。もしかしてこちらに戦争でも仕掛けるつもりかしら」
「はい、そのようです。民たちは避難させますか?」
「そうね、今回は避難させておきましょう。前、暴れていた者たちは少々おいたが過ぎていたので懲らしめておきましたし問題はないでしょう。城内を含む各地の避難施設に避難させなさい。もし戦えそうな人物や戦い人物がいたら別に徴収しても構わないわ。そこで変に不満を持たれても困りますからね」
「承知しました。では明日の日の出のタイミングでお触れを出しておきます。ではまた明日に」
「ええまた明日。よろしくねネイラちゃん」
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今日も昨日同様に風呂に入る。どうせ着替えの服もあのパジャマしかない(他にもネグリジェとかあるが恥ずかしいので取らない)ので、無難な下着を取って風呂場に向かう。そして昨日と同じようにカリナ様が風呂に一緒に入ってきた。いや普通に入ってくるんじゃないよ。大人しく尻尾をと耳を触られなんだかとろ~んとしたがなんとか風呂を終えることが出来た。ちなみに風呂から上がった後は昨日と同じように乾かされた後にブラッシングをされた。気持ちよかった。
ブラッシングをされた後、今回も両脇を掴まれそうになったがいい加減恥ずかしくなったので自分から寝室に向かう。何だか女性の部屋に自分から向かっていくのは恥ずかしい。今日はカリナ様はすぐに入ってくることなく何やらすぐに終わる用事があるようで「すぐ戻ってくる!」とだけ言って部屋に一人取り残されてしまった。どうしたものかと部屋を見渡すも質素なこの部屋はベッドぐらいしかない。月明かりに照らされて暗い外が窓越しに分かる以外は特にない。ベッドの上にぽつんと座っていても暇なので横になる。とりあえず横になって少しだけ目を瞑りながら待つことにした。少しだけ意識が遠くなった頃ベッドからはカリナ様の匂いを感じた。
・・・数分ほど経ってもご主人様は戻ってこない。私を置いてどこかに行ってしまったのだろうか。ご主人様がいつも使っているらしい枕に顔を埋め、匂いを感じる。
「ご主人様ぁ・・・」
やや眠そうな声でぼそっと口から出る。なんだか不安になってきたので尻尾を自分で触ることにした。ご主人様は私の耳や尻尾を触ってくれるので、ブラッシングされた後だが自分でもふわふわになっているか触って確認する。リナはそれが毛づくろいと認識してやっていたわけではないが、カリナ様の匂いが近くにあることと毛づくろいをしている安心感で少しだけ寂しさが和らいできた。ご主人様はまだかとうつろうつろとしているとようやくご主人様が帰ってきた。ぴくんと耳が立ち、がばっと起き上がってご主人様に抱き着きに行く。まるで寂しさを紛らわすように。
「ごめんねリナちゃん。少し戻るのが遅くなっちゃった」
「ご主人様が私を置いてどこかに行ってしまったのかと思いました・・・」
「そんなことはしないよ。安心して、どこにも行かないから」
と言って私の頭をゆっくりと優しい手つきで撫でてくれます。ああご主人様はお優しいです。
「とりあえず明日に備えて寝ようか、リナちゃん」
「はい、ご主人様」
そういって布団に入る。布団に入ってもご主人様は優しく私のことを撫でてくれて、ご主人様が近くにいるという安心感を得て私は深い眠りについた。




